44/229
## 零細生活者の生態### 第二十一章 四角関係の再来
**【橋下のブルーシートテント】**
三人の少女がテント内で横になり、ヨシオは入口の外に毛布一枚で座っていた。
「これでいいか?」
彼はテントの中を覗いた。
「寒くないか?」
「大丈夫」
柚希の声はかすれていた。
「ありがとう……」
約束どおり女性陣がテントを使い、
ヨシオは外で見張りをする。
最初はお互いに距離を置いていたが—
「あれ?」
花音の声が暗闇から聞こえた。
「紗月ちゃんが寝返り打ったら壁に当たっちゃう」
「そうね」柚希が応じる。
「もう少し中心に集まりましょう」
ヨシオの耳が敏感に反応した。
何かがおかしい。
「叔父さん…」
花音の甘い声。
「狭いのでぎゅうぎゅうになってます。隙間がないんです」
「気にするな」
ヨシオは平静を装った。
「でも……」
紗月の声。
「このままでは寝苦しいかも」
ヨシオが立ち上がろうとした瞬間—
「しっ!」柚希が制した。
「静かにして。眠くなったみたい」
外のヨシオは混乱した。
狭いテントでどうやって四人が眠れるというのか?
深夜。風の音さえ消えた静寂の中。
「すぅ……すぅ……」
三人分の寝息が聞こえてくる。
ヨシオが目を閉じかけた時—
**パサッ**
テントの隙間が静かに開く音。




