02-16.世界征服
偵察機が完成した。コルカ様々だ。
「量産は難しいかな」
精密パーツが多すぎるんだよなぁ。コルカ以外にこんな仕事が出来る人っているんだろうか。
「お爺ちゃんなら問題ない」
それもそっか。流石マリー。ナイス差配だ。
「なら後は向こうに任せよう。僕らは新しいものにチャレンジだ♪」
「その前に話してほしい」
「知識の出どころについてはまだ言えないよ」
「ならせめて旦那様の目的を」
「世界征服さ♪」
「……」
「ああ、待って。無言で去ろうとしないで」
「真面目に答えて」
「本気だよ。僕は世界の王となる。この世界を救うために」
そしてステラの隣に並び立つ。ステラに平穏な暮らしを与えることこそ僕の望みなのさ。
「……」
「信じておくれ♪」
「……旦那様」
「なんだい?」
「次は何を作ればいい?」
ふふ♪
「次はね♪ 映像技術を発展させていこうか♪」
偵察機に積む用の装置は作ったけれど、どうせなら領内でも流通させたいからね♪
要はテレビジョンを作りたいのだ♪
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「アミ様。フォルティス伯爵が応じましたわ」
会談の件だね。
「よく取り付けられたね」
「ベルナールのお陰ですわ。彼は想像以上のやり手ですわね」
「何したの? まさか特使でも務めたってわけでもないんでしょ?」
「伯爵の弱みを掴んでくれたのですわ♪」
脅したんかい。
「弱みって?」
「商業ギルドと揉めているのですわ」
「それ別に隠れていたような情報じゃないよね?」
「だからですわ」
ああ。なるほど。表面上は揉めているのに、それでも領堺で行われているであろう狼藉がまかり通っているのは、上の誰かに金でも握らせているからってわけか。
「けれどそんな情報を掴んでしまっては、ベルナールの立場だって危うくなるだろう?」
情報っていうか、明確な物的証拠くらいは掴んじゃってるんだろうし。でなきゃ説得材料として成立しないもんね。
「だからやり手なのですわ」
彼はその手の手腕も優秀なのか。恐れ入るね。
「会談はいつだい?」
「二週間後。この屋敷にて行われますわ」
「ここでかい? よく先方が来ると言ったね」
てっきり呼び出されるものかとばかり。
「魔道具を見たいのでしょう。どうかご用心を。この屋敷を漁るつもりなのですわ」
「隠密でも連れて来るの?」
「必要ありませんわ。彼らにとってこの屋敷は自分たちのものなのですわ」
えぇ……。そういうことぉ……。
堂々と物色されるのは堪らないね。毅然とした態度で立ち向かおう。
「兄の件については調べが付いたかい?」
「……いいえ。なにも」
そんな筈はないよね。マリーは優秀だ。僕には言いづらいことなんだね。
「そうか。ならその件も聞いてみないとね」
「わたくしにお任せを」
ふむ。僕には何も口にするなって言うんだね。わかった。マリーがそう言うなら従おう。
「お願いね」
「はい。アミ様」
さて。会談の件は一旦脇に置こう。
「ステラの情報は?」
「相変わらずですわ。時折目撃されてはおりますが、屋敷の中にまで入ってこようとはしないんですの」
一応様子を確認しに戻って来てくれてはいるんだね。
「ならまあいいや。本人の意思で距離を置いてるなら今はどうやったって捕まえられないだろうし」
ステラだからね。
「偵察機の量産と配備は?」
「予定通りですわ。少々操縦者の習熟には時間を要しましたが、それも余白の範囲内です」
「そうか。それは何より」
皆も優秀だね♪
「例の組織に関する情報は? その後王都では何かあったかい?」
「小競り合い程度ですわ。おそらくお姉様も動いてくださっておりますわ」
だろうね。流石にそこまで放り出せはしないだろうし。
「ステラは何か情報を掴んだのかもしれないね」
「狙われているのやもしれません。明確な脅威足り得る何かに」
ガルディオンの一件も関係がありそうだ。
「偵察機の一つをガルディアス竜王国に向けられるかい?」
「手配致します」
「うん。お願いね」
未開拓領域の上空を飛び越えるのは難しいかもしれないけれど、外周に沿って飛ぶ分には問題ない。
操縦者の魔力量や通信可能範囲の問題もあるけど、どちらも解決策は用意されている。試すだけ試してみよう。実地試験も必要だ。
「いよいよだね」
「はい。アミ様。始めましょう」
「うん。始めよう。僕らの世界征服を」




