表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/84

増え続けるデータの洪水は、どう解決されるか?


日増しに増えている全世界のデータは、今後どうなっていくのであろうか?


全世界の「デジタル情報の総量」がこの先どの程度増加し続けるのか? という疑問に対して、これまでに、いくつかの調査会社やシンクタンクが度々、推定を出している。


その数値の答合わせはおいておくとして、どの推計値をとっても「莫大」とか「膨大」とか以外に、感覚的な表現のしようが無いのは事実である。

その推計値通りのペースで増加するかどうかは問題ではなく、どう考えても『圧倒的に増加しつつづける」のは明らかだからだ。


さて、このペースでデータが増え続けていったら、一体どれほどのストレージが必要になるのだろうか? 数百年後には公園よりもデータセンターの数と面積の方が多い、という事態になってしまうのではないか?


しかし、恐らく心配はいらないだろう


以前のコラム「シリコン上に保存されたデータの寿命」で書いたように、現在の書き換え可能な半導体メモリー技術を用いたストレージ製品(USBメモリーやSDカード、SSDなど)に保存されたデータは、一定期間、通電されないと時間の経過と共に蒸発して読み取り不可能になっていく。


それは、家族の写真でもビジネスデータでも同様だ。


デジタル情報の維持においては、すべてのシステムが『ライブ』な、つまり定期的に通電され、動作している状態を保ち続けなければならない。


印刷された書籍や油絵のように、ほこりを被った天井裏の物置から数百年前の作品が発掘される、という楽しさはデジタルメディアにおいては期待できない。

仮にメディアや機材が発掘されても、そこにあるのは死んだ「殻」だけで、すでに中身は消失しているのだ。


誰かが亡くなられた時に、家族がその遺品の中から古い写真(紙焼き)やフィルムを見つけ、しばし感慨にふけりながら眺める、というのは、これまでは容易に想像できるシーンだったと思う。

実際に私自身も、その経験がある。


だが、これがPCに保管されたデジタル写真だったらどうだろう?

故人のPCを起動して中身を確認するだろうか?


もしもそんなことをされたら、私なら恥ずかしくて死ぬ。(もう死んでいるが二度死ぬ)


まあ、家族に見られると恥ずかしいデータ(くろれきし)が記録されているPCやスマホなら、パスワード保護ぐらいは掛けてあるだろうが、その場合、このデバイスとそこに保存されている情報も、持ち主と同時に「死んだ」ということになる。

保存された情報を確認することも、機材として再利用することもできないので、結局は資源ゴミに出すしかない。


データセンター(クラウド)に保管されているものも同様で、面倒な手続きを経てまで、故人のデータを回収しようとする遺族は極少数だろう。

従って、クレジットカードの支払い停止と同時にアカウントは凍結され、やがて関連ファイルは消去される。


こうして、誰かの人生の思い出(情報)は、パスワードと共に消えていく。


つまり、これが情報洪水への解決策だ。

なんであれ、誰にも参照されない情報は、こうして時間の経過と共に勝手に消えていくのである。

企業の情報はもっと能動的に、法的保存期間を過ぎたものから、保管ランクごとに順次消されていく。


情報が消えていくのは恐ろしいことのように思えるかも知れないが、これまでのすべての時代に、人間の寿命を基準に起きてきたことである。

むしろ、デジタル時代になって、あまりにも簡単に情報を記録して残せるようになったので、つい、その状態が永続的なものであるかのように「錯覚」してしまっているだけだ。


例えば、あなたが子供の頃に外部に存在していた情報で、いまもアクセス可能なものは、果たして何パーセントぐらい残っているだろうか? (この答は世代によって大幅に違うだろう)


ドライに思われたとしても、誰にもアクセスされなくなったWebページが二度と検索結果に浮かび上がってくることがないのと同じで、情報が『活性の喪失』によって沈んでいくことは、ネットワーク社会の基本的な「作動原則」なのである。

逆に言えば、どんなに重要でも「大勢に省みられない情報」は揮発していく可能性がある。


これは、知の蓄積という観点でみると喜ばしい状態では無いかもしれないが、現実的な「情報の利用可能性」を考慮すると、増え続ける情報をハンドリングするための致し方ない妥協点なのだろうと思う。


 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 


< ところで考えてみると、この「動的状態の維持」について、もはや追加も書き換えも行われないであろう静的なデータを『ただ保管し続けるために必要なエネルギーとコスト』はどの程度のものなのだろうか?

大変難しいことではあるが、研究対象として誰かがその算出と代案の検討にチャレンジしてみたら面白いのではないかと考えている。>


< ちなみに情報の消失はフラッシュメモリー技術の欠点というわけではなく、デジタルな情報記録技術のほとんどが持っている「性質」だ。

フラッシュメモリーは、単にその傾向が強いので、こういう話のサンプルとして挙げやすい、というだけである。>


< 「非アクティブな情報の蒸発」に対する根本的な解決には、さらなる技術的ブレークスルーの登場を待つしか無いだろう。でなければ、保存された情報は永遠に空間とエネルギーを消費し続けることになる。>


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ