『オバサン!・・・ナイス!』
私は都内に住む中堅IT企業で働くしがないサラリーウーマンだ。仕事はSE。
朝が苦手だったこの私が、今ではすっかり早起きが楽しみになった。時計代わりに点けていた朝の情報番組で、清楚なカワイ子ちゃんがお天気キャスターになったのだ。これがもう、初々しくて、健康的で、いろいろとたまらん子なのだ。
先週の月曜日、その子が初登場した日、遅刻して会社に行ったら、職場でもその子の話題で持ちきりだった。若さゆえに、肌つやが良すぎて、ピカピカしたその顔は、昨日の夜、何かHなことでもしたの?と疑いたくなるぐらいだ。素直そうな笑顔が、いろいろな想像を呼び逆にエロい。
同僚の中には、朝っぱらから番組をR指定ビデオ並みに活用している輩もいるぐらい、いろんな意味で人気番組になっている。おい!早朝番組だぞ、せめて録画して寝るときにしろ!私みたいにな!
私はこうやって早起きして、健康的に彼の天気予報を堪能するようになった。
今週から彼の出演時間が伸びることになった。
昨日、月曜日の放送は衝撃だった。あのオバサンがアドリブで私の雪ちゃんをイジメたのだ。最初はおばさんの突っ込みに腹が立ったけど、困惑する彼の様子が私の心に何やら背徳的な感情を呼び覚まし、朝から妙な興奮で体がほてってしまい、危なく非健康的なことをして遅刻してしまうところだった。
そして、昨日は彼の予報に従い傘を持たずに出勤し、夕方、小雨に降られてしまったのだ。あのオバサンは、何やら、今日の放送を楽しみにしろとか言ってるし、どうしよう、ちょっと、いや、かなり楽しみだ。
あ、そろそろ最後のアドリブの時間だぞ。今日は降水確率0%、そうか、迷いなしか。彼の表情も安心しているようだ。うん、やっぱり若い男子は笑顔でいるのがいいね。
『・・・・ということで、本日、傘は不要です。徐々に暑さが厳しくなるので、屋外では熱中症に気を付けてください』
分かったよ、雪ちゃん。こまめな水分補給だよね?了解。む!あのオバサンが出てきた。
『はい。雪緒君、昨日の予報は残念でしたねえ、たくさんの人が小雨に振られたみたいですよ?』
『あ、はい。・・・ごめんなさい』
大丈夫、私は平気だよ。そんな落ち込まないで!でも、そんな表情もいい!
『ということで、雪ちゃん、君には少し頭が冴えるように、こちらをお願いしようと思います!はーい、出して出して!』
む!このオバサン、何を企んでいる?ん?何か出てきたぞ?こ、これは?
『はーい、雪緒君、じゃあこのルーレット、回して下さい!さ、早く早く!』
『な、なんですか!これ!・・・・どういうことですか?』
『いいから、ちょっと健康になってもらうだけだから!さ!回して!回して!』
あ、オバサンが雪ちゃんの体を押して、強引にルーレットを回させようとしている!こらあ!汚い手で私の雪ちゃんに触るんじゃない!セクハラだ!訴えるぞ!
あ、雪ちゃん、仕方なくルーレット回した!・・・・・・止まるぞ・・・・・・こ、これは?
『 “足つぼマッサージ” ですね。そうですね。頭を冴えてもらうにはちょうど良いですね。はい、じゃあ、準備お願いします!急いで急いで!』
何やら長椅子と、白衣を着たプロレスラー並みに体格のいい、これまたおばさんが走って出てきたぞ?あ、私の雪ちゃんが椅子に座らされてる!これ、痛いやつじゃないの?大丈夫なの、雪ちゃん!
『ちょっと、北別府さん、彼は未成年男子なんですから、ちゃんと気を付けてあげてください!篠塚君、痛かったらすぐに言って!やめさせるから!』
『はいはい、衣ちゃんは黙ってて!さ、先生、お願いします。早速、やっちゃってください』
『え?・・・え?・・・い、痛い!!・・・ああ!!』
!!!私の雪ちゃんが痛みに悶えている!・・・こ、これは?・・・な、なにこれえ!こんなの、朝っぱらから放送していいの?ああ!た、たまらああん!!!
オバサン!ナイス!!
『うう!!・・・もうダメ!ストップ!・・・ああああ!!』
逃げようとする雪ちゃんをあのオバサンが押さえつけてる!美人男子アナウンサーがオバサンを雪ちゃんからはがそうとするも全く動じてない!そりゃそうだ。身長差が10cm以上ありそうだもん。力じゃかなわないよ!
『先生、彼は毎日早起きして大変なので、他にも健康になるツボもお願いします。いやー、これは視聴者の皆さん!いかがです?このまま、本日の放送終了まで、雪ちゃんの身をくねらせる姿をご堪能ください!それでは、また明日!』
!!!
その日、しがないサラリーウーマンは、朝から非健康的な時間を過ごし、立派に遅刻したそうである。




