社会復帰への道 パート9 休憩
馬に乗って、街道を旅しながら、役1ヶ月でプリンはエルヴィアに帰ってきた。
王城に着くと6人の兄王子達が大喜びで抱きついてきた。
「ああ、プリン、我が愛しのプリン。
「みんなのプリンでしょうが!
早速いい年をした男達が喧嘩を始めている。
「プリン!おかえりなさい。
金髪の美しい髪を高く結い上げたレディがプリンにキスした。
プリンの許嫁、伯爵令嬢だ。
「ただ今、マーガレット。一段と綺麗になったね。
「まあ、相変わらずね。
マーガレットは華やかに微笑んだ。
「あら、それは何?
プリンの馬の陰から布を頭から被った、小さな子供みたいなものが歩いてきた。
「ああ、びっくりしないでね。僕の友達。
その時、布がはらりと落ち、アイビーが姿を見せた。
「ひっ………!ひい
マーガレットは気絶してしまった。
プリンは彼女を受け止める。
「プリン、プリンセチア!それはゴブリンではないか!
「そうだけど、このゴブリンは大丈夫なんだ、もう、後で説明するから!
プリンはマーガレットを寝かせるとアイビーを抱いて、自分の部屋に逃げ込んだ。
「ふう、わかってくれるよ、大丈夫だよアイビー。
プリンはアイビーを抱きしめた。
アイビーの首にネックレスがかかっている。
「あれ?こんなのいつの間に。
ああ、これ、フィカスがつけたんだな。お守りだって言ってたな、そういえば。
なんだかんだ言って、フィカス、ピクニックを楽しみにしてたのにさ、
結局行けなかったね、アイビー。
フィカスどうしてるのかな?
また引きこもってたりしてね。
ははは
…、笑えないね。ありえるよ。
アイビーはくうーと鳴いて、プリンの頭を撫でている。
プリンセチア王子の歌を聞くため、毎晩パーティが開かれ、毎晩、貴族達が城に集まった。
そして、マーガレット姫との結婚準備も着々進められる。
5着のドレス選び、ケーキの設計図作り、新宮殿の建設。
兎にも角にもプリンは大忙し。
結婚式も近いある晩、いつものようにコンサートで熱唱し、ワインを飲んでバルコニーに出た。
手すりに座って、青白い月を眺めていると、
連日の疲れからか、身体が急に軽くなった。
「あれ…?ふわふわする。
気付いた時には宙に浮いている。
「愚か者!
フィカスの顔が浮かんだ。
(なんで、こんな時に思い出すんだ。
ああ、会いたいな…。
プリンは転落して、意識を失った。
鈍い痛みで目がさめる。
自分の部屋に寝ているようだ。
くーっとアイビーが横で鳴いた。
「アイビー、心配かけてごめんね。
プリンは涙が目から溢れた。
「あれ?なんで…だろ。
アイビー、ねえ、僕さ、フィカスに会いたい…。会いたいよ。
「目が覚めたか!良かった。
「大丈夫?プリン!
兄王子達、マーガレットがベッドに集まった。
「どうして 泣いているの?痛いの?
「あのね、マーガレット…、君と結婚できない。
「え……。
「他に好きな人がいるんだ。
「はあ、まったくあなたはいつもそう。私を振り回すのよ。留学だってそうよ。
結婚したら大変なことになってましたわ。
あー良かった。
マーガレットは微笑みながらプリンの頭をくしゃくしゃした。
「許しますわ。なんだかそうなんじゃないかって思ってました。
幸せになってね。プリン。さよなら。
マーガレットは振り向きもせず、部屋を出て行った。
「それから、兄上様達、僕、王子やめます。
プリンはまた一月かけてアイビーと一緒にあの古城に向かって、旅をした。
道中は毎晩酒場件宿屋で歌を歌っては、旅費を稼いでなんとかかんとか、
たどり着いた。
懐かしい城への道を急いで馬を走らせる。
胸は高まり、今にも涙がこぼれそうだ。
古びたアーチ門をくぐるとローレンチが驚いて、泣きながら抱きついてきた。
それを聞きつけた他のヴァンパイア達も口々に叫びながら、プリンの帰還を喜んだ。
だがフィカスの姿はない。
「あのさ、フィカスは?
セダムが困ったように首を振って、微笑んだ。
プリンがフィカスの部屋の重々しい扉を開くと、
部屋のど真ん中に真っ黒な棺桶が置かれていた。
それを力を入れて開けると、中に少し干からびたフィカスが眠っている。
「もうずっと、ご飯食べてないんだね。
プリンはフィカスの机からナイフを取り出すと自分の腕を切った。
棺桶のフィカスに馬乗りになってから
血が溢れたところをフィカスの口に押し当てると、フィカスの喉がゴクリと動いた。
しばらくするとフィカスのしわくちゃな顔が元に戻り、パッと目が開く。
プリンは腕を口から離して、フィカスに覆いかぶさった。
「フィカス。 好きだ。
プリンは棺桶のフィカスに何度もキスした。
つづく




