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アクト・ファミリア  作者: カミハル
妹たちとそうでない者
39/50

ガンマVSミーネ

「おっかねぇな……避けて通れる道なら避けるんだが……」

 ガンブレードの銃口をミーネにセット。

 広域、高出力射出ではレイも巻き込んでしまうので、貫通性を持たせ、尚且つピンポイントの精度で撃ち込む必要がある。

『ガンマさんはブラスターとかインパルスの広域射撃が大好きなんですよね』

「余計なお世話だが同意だ。敵を殲滅させるには広域射撃か集束砲で吹き飛ばすのが一番手っ取り早いしな。コア・ブレイク、スタンバイ」

 エネルギーの射出形態を選び、指示を出す。

 手の平から体温が奪われていく感覚、エネルギーの消耗を表すのはいいのだが、もう少し他の方法は無かったのだろうか、この感覚には未だに慣れない、あと百年生きたとしても慣れることはないだろう。

『セット完了、コア・ブレイク射出準備が整いました』

 銃口に現われる黒球、紫色の放電が黒と相まって非常に禍々しい。

 準備完了と同時に、ミーネがこちらに視線を向ける。先ほどまでとは打って変わった冷たい表情。出来ることならば逃げ出したいが、そうもいかないだろう。

「コア・ブレイク!」

 トリガーを引き、発射。同時にガンブレードの銃口が空を向き、ガンマの飛翔位置が反動で上昇する。

 踏ん張りの利かない空中での射出には向かないようだ。

「邪魔しないで」

 前方に力強く踏み込み、そのままこちらに跳躍。効果範囲の狭さが仇となり、ミーネの背中から二十センチも離れている。

「ちっ、身体能力高すぎじゃねぇか? 踏み込みから跳躍に繋げた割にはいい距離の詰め方だ!」

 ガンブレードを構え、ミーネのガンナイフを受け止めるが、下方向からもガンナイフが突き出されている。

「お兄様とあたしの理想郷にあなたは不適合。今すぐ破棄します」

「お兄様を破棄したら理想郷なんぞ築けるかよ、矛盾した妄言吐くな、このピンク脳!」

 せめぎあうガンブレードとガンナイフ、それを思いっきりミーネに向かって押し、反動で下方向からのガンナイフを蹴り上げる。

 空中でバク転するような形で距離を取り、そのまま地上へと降下、続いて目の前に落下し、こちらを見据えるミーネ。レイはミーネの背後で戦闘態勢を維持している。

『ようレイ、悪いな遅くなっちまった』

 AI間のチャンネルを開き、話しかけるといつもの淡々とした口調で返事が返ってきた。

『ガンマ兄さんの寝坊には慣れています』

『時間には正確なほうなんだぜ? っと、楽しいおしゃべりタイムはここまでだ、お前はケミネの所へ向かってあいつを援護しろ、こいつは俺がぶっ壊す』

『わかりました、エネルギーシールドにはご注意ください、あたしのハイエンシェントバルスを防ぐほどの出力です』

『あ? 人間どもはそんなものを使っているのか? あんなもんエネルギーの垂れ流しで何のメリットもないってのに』

『え? 知っているのですか?』

『ああ、なんせ俺が昔――』

 通信中にミーネがガンナイフをこちらに投げつけ、背中のガンブレードを抜き、襲い掛かってきたため会話を中断する、戦闘中に無駄話が過ぎたと反省するが、おかげで敵の弱点も見えた。

「楽しくおしゃべりがしたければあの世でしていただけますか?」

「仲間に入れてもらえなかったから僻んでるのか? 生憎と人様にそんな物騒な物を向けるやつと話すことは何も無い」

 自分も同じ物騒なものを相手に向けているが、そんなことは関係ない。今は相手の意識をこちらに向ける必要がある。

『さっさと行け、俺一人で十分だ』

「そうはさせませんわよ」

 突如、方向を変えレイに向かって突進するミーネ。

「AI間の通信を傍受だと……レイ!」

 今から援護に回っても間に合わない、今からではどの行動もレイの援護には間に合わないだろう。

「兄さん、あたしはあなたの右腕ですよ?」

 レイの眼前に迫る拳、速いが戦闘態勢を維持し続けていたのだ、こういった展開を想定した上で――

「ただの護られる――」

 重心を深く落とし、拳を回避。

「――か弱い乙女のような扱いはひどく不愉快です」

 そのまま全身のバネを利用した腹部へのアッパーでミーネの体を宙に浮かせる、当然突進の運動エネルギーは生きているので、進行方向へ放物線を描く――

「行きますよ、兄さん!」

 足首を掴み、ガンマの方向へミーネの体を思いっきり投げつける。咄嗟のことで反応が遅れたガンマは頭から飛んできたミーネの頭部に、遠慮のない回し蹴りを叩き込む。

「不思議ですね、兄さんのおかげで先ほどまでの恐怖が吹き飛びました」

「俺は鳥肌立ったよ、怒りの矛先がお前から俺になって安心しているだけだろ」

「ではあたしはケミネ姉さんの援護に向かいます、後の処理はお願いいたします」

「最後に自分だけスッキリして後は俺に丸投げってのはどうかと思うぞ、つかお前も最近俺の話聞いてないだろ」

「ただの被害妄想です」

 そう言い残し、ガンマに背を向け走り出すレイ。その後ろ姿を見送り、大きなため息を吐く。何にせよこれで舞台は整った。

「さて……ぶち壊すか」

 ミーネが飛んでいった方向に歩を進める。

 すぐにでも反撃してくるかと思ったが、そんな様子も無い、念のために周囲を警戒する。

 そして辿り着いたのは、生い茂った木に囲まれた開けた空間。あの日四人で訪れた湖だった。

 しかし、あの時のような澄んだ空気も、楽しく賑わっていた雰囲気も、今は遠い昔に感じられた。

 全身に叩きつけられる殺気。そのあまりの大きさに敵の居場所がわからない、背中に嫌な汗が流れるのを感じながら、ガンブレードを構え、周囲を索敵。

(まずいな……恐怖で感覚が濁りだしている。たく、こんなときだけ感情プログラムが鬱陶しい……)

 プログラム魔王を使えば、恐怖という感情も希薄化するのだろうが、使おうという気にはなれなかった。なぜかはわからないが、あのプログラムには不明な点が多すぎる、プログラム自身が意志を持つかのように、どんどんとAIの前面に移動しているのもそうだがたまに話しかけられている気がするのだ。

「お兄様はあたしのもの……」

 ボソリと呟かれたはずのセリフ、それがはっきりと聞こえた。


「そこか!」

 声の聞こえた方にエネルギー弾を射出、木の幹をへし折り、貫通するがミーネの姿は無い。

「異物は排除、あなたを排除」

 背後から聞こえた冷たい言葉、その単語の一つ一つが心を鷲掴みにするような力を秘めている、そんな錯覚さえ覚えるが――

「俺は誰のものでもないってんだよ!」

 ガンブレードを横一閃、三百六十度全てを薙ぎ払ったがミーネの姿は無い。

「うざってぇ……」

 見えない敵と戦っているような錯覚と恐怖に、一筋の汗が流れる。熱源反応も無ければ震動センサーにも引っかからない、実体の無いホログラフの仮想敵を相手にしているようだ。

「ガンブレード」

『無理です、完全なステルス状態で、全てのレーダーに反応がありません』

「くそっ、この周辺を吹き飛ばすか……」

『得策ではありませんね、エネルギーシールドの耐久性はレイさんのエンシェントバルスをも防ぐ出力です、広範囲の無作為攻撃が通用するとは……』

「削ればいいんだよ、あんなエネルギー駄々漏れにするような燃費の悪い装備を実戦で投入するなんざ俺に言わせれば愚行だよ」

 あの装備はシールドの形成までのタイムラグがほとんどなく確かに便利だが、エネルギーをシールドとして具現化するのに使用するエネルギー量が半端ない、高出力高エネルギー型のガンマでさえ実戦で使おうと思わない代物だ、この十年間ケミネが不審に思わないのならば、ミーネのエネルギースペックもガンマたちとそう変わらないはずだ。

「でも、事実この装備でお兄様に近づく雌豚を駆除することができた」

 もう一度背後から声。反応しない、ギリギリまで引きつける。


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