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シスターズアルカディア~転生姉妹とハーレム冒険奇譚~  作者: 藤本零二
第4章~ワールドブラディ~
40/103

第1話「吸血姫の妹」

*


 “ワールドアイラン”で、二人の妹、“銀毛ぎんもうの九尾”のキョウカと“猫又”のリン、そして一人の姉である魔人のカナン姉ちゃんと再会出来た俺達は、この世界でお世話になった人達に挨拶を終え、いつか再会することを約束して、その世界を旅立った。


 残る“姉妹”は二人。

 【水皇石アクアブルー戦乙女ヴァルキリー】という異名を持っていた双子の姉か、はたまた【吸血姫きゅうけつき】の異名を持っていた最年少の妹か。



 はたして辿り着いたその世界は……、



「お兄ちゃん、お兄ちゃんっ!!

 大変だよっ!大変だよっ!!」


「また勝手に俺の部屋の鍵をピッキングして入ってきたなカズヒ…

 まぁ、いいや、それで何が大変だって?」


「窓の外見てっ!!」



 カズヒに言われるまま、俺は寝ぼけ眼のままベッドから出て窓の外を見る。

 そこから見えた景色は昨日までいた自然豊かな山が広がっているのではなく、はたまた機械文明の発達した人工的な世界が広がっていたわけでもなく、何もない、いや正確には人の住んでいた村のあった形跡だけが残る焼け野原が広がっていた。



「…なるほど、次はこの世界にやって来た、というわけか」


「お兄様、起きてらっしゃいましたか」


「ああ、イツキ、おはよう」


「おはようございます、お兄様」



 そこへイツキもやって来て、俺の隣に並んだ。



「それでお兄様、ここは一体どのような世界なのでしょう?」


「ああ、ここは亜人と人間と魔人達によって無理矢理連れてこられた妖獣の子孫達が生活している世界、“ワールドブラディ”だ」


「“ワールドブラディ”…」


「亜人、ってことはこの世界にいる“姉妹”は、」


「【吸血姫きゅうけつき】の“妹”、だな」




*


 食事を終えた俺達は、皆にこの世界の大まかな説明をするために談話室に集まった。



「まず、この世界には亜人と呼ばれる人類と、普通の人間が共存している世界だ」



「亜人というのは、一言では説明し辛いんだが、

 簡単に言うなら、人間とは別の進化を辿った人類のことで、例えるならクロマニョン人とネアンデルタール人の関係のような感じだな。

 ちなみに亜人だけでなく魔人も妖獣も人間とは違った進化を辿った人類だ」



「彼らの違いは、大まかにはその見た目と、使える能力だ。

 いわゆる普通の人間は、自然界の精霊力を用いた精霊術であったり、

 自身の持つ霊力を用いた霊能力を使える。

 魔人は自身の持つ魔力を用いた魔術、妖獣は自身の持つ妖力を用いた妖術をそれぞれ使える。

 そして亜人は世界に満ちる呪力を用いた呪術を使えるんだ」


「呪術?」


「それは、相手に呪いをかける術、みたいなことですか?」


「いや、そういうのとは少し違う。

 むしろ、その場合の呪いは魔術という方が近いな」



「呪術と言うのは、この世界に満ちる人々の恨みや妬み、嫉みといった負の感情、呪力を変換して術と成す技で、どちらかというと精霊術に近い能力だな。

 ただし、精霊力は世界によってそのキャパが違うが、呪力は人類が存在し続ける限り無くなることはあり得ないから、ほぼ永久的に使える術、ということになる」



「そして、そんな呪術を扱う亜人にもいくつかの種族が存在する。

 人間にも黄色人種や白人種が存在するみたいな感じだな。

 主な亜人は、“鬼人デーモン”、“夢魔鬼人サキュバス”、“魚人鬼マーメイド”、そして“給血鬼ヴァンパイア”」


「“給血鬼”?」


「“吸血鬼”じゃなくて?」


「ああ、今では“吸血鬼”と一般的に書くが、

 元々“ヴァンパイア”は、牙を相手に突き立てて、自らの血を相手に注ぐことによってしもべとすることから、血を与える鬼、“給血鬼”と書くのが正しいんだ。

 だけど、いつの頃からか血を吸う鬼で“吸血鬼”と呼ばれるようになった。

 そして“ヴァンパイア”達も“給血鬼”よりは“吸血鬼”の方がカッコいいということから、自分達でも“吸血鬼”と書いて“ヴァンパイア”を名乗るようになったんだ」



 そこで俺は一息ついて、レイさん(メイさんとは違ったデザインのメイド服を着ている)が淹れてくれたコーヒーを口に含んだ。



「さて、大まかに亜人のことを説明したが、肝心のこの世界にいる“妹”のことだが、

 昨日も少し説明したと思うが亜人の中でも最上位クラスの力を持つ“吸血鬼ヴァンパイア”、

 その中でもさらに上位クラスの力を持つ“真祖”と呼ばれるクラスの“吸血鬼ヴァンパイア”で、

 周りからは【吸血姫きゅうけつき】と呼ばれ、亜人や妖獣達からは羨望の、人間達からは恐怖の視線を向けられていた」


「お兄様、話の腰を折って申し訳ありませんが、少しよろしいでしょうか?」


「ん?どうしたんだ、イツキ?」


「先程も部屋でお兄様はこの世界に妖獣がいるみたいな話をされてましたよね?

 確か魔人に連れてこられた者達の子孫、だとか…」


「その件なら、わたしが説明したげる」



 そう言ってカナン姉ちゃんが俺の代わりに説明をしてくれた。



「魔人達が勢力を拡大しようとして、色んな世界パラレルワールドに侵略してるのは知ってるよね?」


「ええ、他ならぬわたくし自身も魔人達から、わたくし達の世界を守るために戦っていましたもの」


「そうだったね。

 そんな中で、一部の魔人達が“ワールドアイラン”、リンちゃん達のいた世界で捕らえた妖獣達を隷属させる魔術を開発したことで、妖獣売買が活発化した時があったの。

 特に、この世界に侵略に来た魔人達が多くの妖獣達を買っては連れてきていた。

 今この世界にいる妖獣達は、そうして連れてこられた妖獣達の生き残りの子孫達と、そういうことよね、ヨウちゃん?」


「ああ、カナン姉ちゃんの言う通りだよ」


「それは何故なの?

 この世界に何か特殊な事情でもあったの?」



 サクヤ姉ちゃんの質問に、カナン姉ちゃんがさらに答える。



「うん、魔人達はとある目的を叶えるために、この世界に散らばるお宝を探しだすために人が欲しかった。

 そのための労働力として、魔人の“奴隷”だけでなく、“隷獣”とした妖獣達を大量に連れてきたの」


「この世界に散らばるお宝~?」


「魔人達の目的を叶えるために必要なお宝って、

 まさか、そのお宝を集めれば何でも願いが叶うとか言うんじゃ…?」



 モトカとマコトの問いには俺が答えた。



「マコトの言う通りだよ。

 かつてこの世界を支配していたとされる“竜神ドラゴン”、その“竜神ドラゴン”が勇者達によって討伐された際に、

 その鱗が一つ一つの宝石“竜の涙(ドラゴンズクライ)”となって世界各地に散らばったんだが、

 この“竜の涙(ドラゴンズクライ)”を全て集めた時、願いが叶うという伝説がこの世界にはあってな、

 魔人達はこの“竜の涙(ドラゴンズクライ)”を欲しがったというわけさ」


「まさか、その目的は…、」



 どうやらイツキは魔人の目的に見当がついたようだ。



「魔王ヤミの復活…」


「その通り。

 魔人達は魔王ヤミを復活させるために“竜の涙(ドラゴンズクライ)”を集めようとしていた。

 そして、その同じ頃に、俺と“妹”も“竜の涙(ドラゴンズクライ)”を求めて世界を旅していたんだ」


「え、ヨウちゃんはそんな昔にこの世界に転生してたんだ!?」


「厳密には、魔人達が“竜の涙(ドラゴンズクライ)”を探していたのは数十年に及んでいるから、

 俺達がそんな魔人達と争ったのはその末期頃になるけどね」



 ここで少し時系列を整理しよう。


 まず約2000年前、最初の妹であるイツキと共に魔王ヤミと戦ってそれを封印した。

 それからおよそ60年後、魔人達が“ワールドブラディ”に“竜の涙(ドラゴンズクライ)”を求めてやって来た。

 そのおよそ40年後に俺と“シホ”が“竜の涙(ドラゴンズクライ)”を探す旅に出て、その旅の中で魔人達と戦い、魔人達の野望を打ち砕いた。

 そのおよそ200年後に俺はカナン姉ちゃんの弟として“ワールドダークネス”に転生した、という感じだ。



「…待って、そういえば学校の授業で習った覚えがあるような?

 確か、“竜の涙(ドラゴンズクライ)”を巡って、魔人達と“吸血鬼ヴァンパイア”達の壮絶な死闘が繰り広げられた結果、

 魔人達は“竜の涙(ドラゴンズクライ)”の回収を諦め、この世界から撤退した、って…」


「ああ、それは俺と“妹”と、一緒に旅していた“鬼人デーモン”や“妖狸ようり”達のことだな。

 まあ、その戦いで俺や“鬼人デーモン”の子達が殺されかけているのを見て、ぶちギレた“妹”がうっかりこの世界ごと滅ぼしかけたわけなんだが。

 いやはや、あん時は本当に危なかったよ、あははは」


「あははは、って…」


「笑い事じゃないでしょ…」



 カズヒとハルカから呆れたような視線を向けられる。



「まぁ、何はともあれ、本筋に戻ってきたところで話を続けようか」



「話の流れが前後したが、亜人と人間は基本的には共存の関係にあったんだが、

 一部の亜人の中には、その力を誇示して人間達を支配しようと考える者達もいた」



「特に、“吸血鬼ヴァンパイア”の下級クラスの者達などにその意識が顕著で、

 なまじ“吸血鬼ヴァンパイア”特有の、血を与えた者を眷属とする能力を使って、無作為に人間やその他の亜人達や妖獣達を襲っては眷属にしていたんだ。

 そんな“吸血鬼ヴァンパイア”連中を狩るための“吸血鬼狩り(ヴァンパイアハンター)”なんていう職業ができるくらいには恐れられていたな」



「勿論、俺達はそんな“吸血鬼ヴァンパイア”連中を許しておくわけにはいかず、出来る範囲でそうした連中を狩ってまわっていたんだが、

 一般の人間からすると、俺達も同じ“吸血鬼ヴァンパイア”、しかもその上位クラスの“真祖”なもんで、余計に恐れられていたわけだ」

 


「そういう事情もあって、俺達兄妹(きょうだい)は人間達とのいらぬ争いを避けるために、人間がほとんど住んでいなかった小さな村で静かに暮らしていた。

 それが、今ちょうど俺達のいるここだったんだ」


「えーっ!?」


「そうなのにゃ!?」



 キョウカとリンが驚いた声をあげた。



「ああ、今更ながら運命というのは恐ろしいものだなと感じるよ。

 それはともかく、俺達がこの場所にあった屋敷に住み始めると、次第に俺達を恐れた人間達が村を去り始め、ただでさえ少なかった人間は余計にいなくなり、

 逆に人間に不信感を持っていたり、行き場を失った妖獣達や亜人達が集まり始め、

 ここら一帯はそうした世捨て人らによる隠れ里みたいな感じになっていったんだ」


「でも、じゃあなんで今はここら一帯、焼け野原みたいになってるの?」


「それは、俺達が少し村を離れていた間に、運悪く俺達を狩ろうとやって来ていた“吸血鬼狩り(ヴァンパイアハンター)”連中に村ごと焼き払われてな…

 その際に友達だった亜人や妖獣の子らがさらわれたりして、その友達を探し出すついでに“竜の涙(ドラゴンズクライ)”を探す壮大な旅が始まるわけなんだが、その辺りの話は長くなるか、ら…、」



 とその時、突如部屋が真っ黒な霧のようなもので覆われ、辺りが暗くなった。



「えっ、何々!?」


「敵襲ですの!?」


「い、いや、待て…!この感じは…!」



 姉妹達みんなが戦闘態勢に入ろうとするのを俺は制する。

 すると、何処かからか不気味な女の声が響いてきた。



『お主ら、何者じゃ…?

 わらわ達の家に土足で上がり込んで…?』


「女の人の声…!?」


「一体何処から!?」


「皆、落ち着けっ!この声は、」



 俺が姉妹達みんなを落ち着けようと声をかけようとしたところで、俺の背後に伸びた影から、声の主と思しき少女が現れ、長く伸ばした爪を俺の首に突き付けてきた。



「あっ、お兄様!?」


「お兄ちゃん!?」


『動くな!それ以上動けば、この男の、』


「落ち着け、“シホ”っ!!

 俺だよ、俺!“ヨウ”、お前の兄ちゃんだ!!」


『首を掻っきる…、って、何?お兄ちゃま…、だと?

 それに、わらわの前世の名前を知っておるとは…、まさか…っ!?」



 不気味に聞こえていた声が、最後の方だけ可愛らしい女の子の声になっていた。

 その少女は爪を引っ込めると、バッと俺の前に回り込み、両手で俺の顔を挟むと、まじまじと俺の顔を覗き込んできた。



「じーっ……、お、おおっ…!!

 ま、間違いないのじゃ!!お主は確かにわらわのお兄ちゃまなのじゃっ!!」


「ああ、久し振りだな、“シホ”」


「お兄ちゃまぁあああああっ!!」



 そう言って“シホ”が泣きながら俺に抱き付いた。

 抱き付いたその身体は、12歳らしく(?)むちむちで、俺の胸に押し付けられるそのおっぱいも姉妹の誰よりも大きく……、



「えええっ!?そのが最年少の妹ぉおおおおおっ!?」


「え、いや、だって…!?」


「どう考えても私達の中で一番スタイルいいじゃない!?」



 そう、12歳のハズの俺の妹は、身長160センチ強の、バストも100くらいはあるんじゃないかというくらいに大きな、何処からどう見ても大人の女性となっていた。




*


「ねぇねぇ、お兄ちゃん、どういうこと!?

 “吸血鬼ヴァンパイア”の妹ちゃんは最年少で、小さくてカワイイハズじゃなかったの!?

 いや、この大人のお姉さんな妹ちゃんも勿論カワイイけど!!」


「いや、俺は小さくてカワイイとは一言も言ってないぞ?

 まぁ、カワイイのは否定しないが」


「なんじゃお主ら、さっきからわらわのことをカワイイ、カワイイと…

 恥ずかしいではないか…」



 そう言って、俺から離れて恥ずかしがる妹。

 “シホ”は、12歳とは思えない程成長した体つきをしており、髪はポニーテールで、その抜群の体つきと合わせて、何処か健康的なエロスを感じさせる。



「…ん?よく見ればお主ら、お兄ちゃまにそっくりな顔つきをしておるが…、

 まさか!?お主ら、シスコンを拗らせたお兄ちゃまが産み出したクローン姉妹シスターズか!?」


「いや、何故そういう発想が出てくるんだ!?」


「クローンのネタは少し前にやったばかりだよ~」


「クローンではないとすると、お主らは一体…?」


「それについてはわたくしから説明致しますわ」



 そう言って、イツキがこれまでの経緯を“シホ”に説明した。



「お主ら全員、お兄ちゃまの前世の姉妹で、わらわのお姉ちゃま達、じゃと…!?」


「ええ、わたくしの名はイツキ」


「あたしはカズヒだよー!」


「で、アタシがハルカ」


「私がサクヤよ」


「ボクがマコトで、」


「ボクがモトカ~」


「自分はキョウカだぞ!」


「リンはリンだにゃ!」


「わたしはカナンだよ」


「それから、他にメイドのメイさん、セイさん、レイさんがいらっしゃいますわ」


「んで、俺の現世いまの名前はヨウイチ・フジワラだ、改めてよろしくな」


「うむ、なかなかに信じがたいことじゃが、お兄ちゃまがわらわにこういうことで嘘をつくハズがないしの、お主らのことは信じよう。

 では、わらわも自己紹介といこう。

 わらわ現世いまの名はセイラと言う、よろしく頼むぞ、お姉ちゃま方」



 そう言ってペコリとお辞儀をするセイラ。

 さて、皆の自己紹介が終わったところで、そろそろ皆が気になっているセイラの種明かしの時間だな。



「それで、セイラさん?

 あのー、あなたはわたくし達の中では最年少、12歳だと伺っていたのですけれど…?」


「ふむ、確かにその通りじゃ。

 精神年齢的には、17で死んだ、というよりこの身を滅ぼしたから17歳と言えんこともないが、

 肉体年齢的には紛うことなき12歳じゃ」


「いやー、でもそのナイスバディで12歳と言うのは…、」


「ん?ああ、これは呪術で一時的に大人の身体に変化させておるだけじゃ。

 わらわの本来の姿は…、」



 セイラがパチンと指を鳴らすと、ボフンと黒い霧でセイラが一瞬包まれたかと思うと、次の瞬間、そこにはツインテール姿の、140センチ前後の小さな少女が立っていた。



「これが本来のわらわの、」


「キャアアアアアアアアアアっ!?!?」


「本らっ、むぎゅっ!?」



 突然、サクヤ姉ちゃんが奇声を発しながら小さくなったセイラに抱き付いた。



「うわっ、びっくりした!?」


「さ、サクヤ姉ちゃん…?」


「カワイイカワイイカワイイカワイイカワイすぎるわぁあああーーーーーっ!!!!」


「むぎゅっ…、ちょっ、お主っ…、サクヤお姉ちゃまっ!?

 くっ、苦しいのじゃっ!今すぐこのおっぱいを…、って柔らかいのじゃっ!?

 なんじゃこのおっぱい!?気持ち良すぎるのじゃーーっ!?」


「はぁああああん!!セイラちゃん、私のおっぱい気に入ってくれたのね?

 いいわよ、いっぱいいっぱい堪能させてあげるわ♪」


「あーっ、ズルい!!あたしだってサクヤお姉ちゃんのおっぱい堪能したいーっ!!」


「余計にややこしくなるからバカズヒは引っ込んでなさいっ!!」


「仕方ないのにゃ、サクヤねーねのおっぱいには誰をも惑わす魔性の何かがあるのにゃ。

 でも、リンはねーねーのおっぱいが一番好きなのにゃ♪」


「あんっ!?

 もう、不意打ちでおっぱい触らないでよ、リンちゃん!」


「キョウカは見ちゃダメよ!」


「ハル姉ぇ!?なんで急に自分の目を隠すんだ!?」


「仲良きことは美しきことかな、ですわね」


「あ、あははは…」


「まぁ~、いつも通りなのはいいことだよね~」


「とりあえずは、セイラも馴染んでくれそうで何より、かな…?」



 というわけで、10人目の姉妹が見つかった。


 これでこの世界での役目は終えた、のか…?



「というか兄ちゃ~ん、セイラちゃんが小説で言えば第一話くらいで見つかっちゃったわけだけど~、

 この世界でのクエストはこれで終わりなのかな~?」


「クエストて…」



 モトカも俺と同じ疑問を抱いたようだ。



「確かに…

 ボク達の世界や、キョウカ達の世界では何やかんやで“姉妹”探し以外にも色々とありましたよね?」



 これまでは“姉妹”探しの中で、色んな敵と戦うことになっていたが、この世界ではもう妹は見つかったし、戦うべき相手もいないように思えるが…



「…そうだ!“竜の涙(ドラゴンズクライ)”っ!!

 俺とセイラが前世で最初に見つけたあの思い出の石を、」


「ああ、それならもうわらわがとっくに見つけておるぞ」



 そう言って、サクヤ姉ちゃんのおっぱいの中から抜け出したセイラが俺のもとへやって来て、青く輝く涙のような形をした石“竜の涙(ドラゴンズクライ)”を右手に持って見せてくれた。



「え、あ、そうなの?」


「うむ。

 わらわに前世の記憶が戻ってから真っ先にこれを探したからの」


「へー、それが“竜の涙(ドラゴンズクライ)”なんだ?」


「あら、本当に涙のような形をしてるのね?」



 セイラの背後からカズヒとサクヤ姉ちゃんが覗きこむ。



「いや、これがたまたま涙の形をしておるだけじゃ。

 石の形は様々で、色にしても青以外にもあって、ここまで綺麗な青色で涙の形をした石はわらわ達が持っておったこれだけじゃったのじゃ」



 ふむ、思い出の“竜の涙(ドラゴンズクライ)”を探すというイベントはすでに完了している、と…

 となると、いよいよこの世界ですることはもう何も無くなってしまったような…?

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