初めての謁見室
その日の夜、団員が目覚めたとの連絡が入り
コートとユリアは騎士団の宿舎に来ていた。
「それで、あんたが襲われた時何か見たかい?」
黒い穢れに侵食されていた団員は少し考えた。
「あ、そういえば!黒い鳥の様な…カラスかな…いや、もっと大きかったような。あ、鷹!鷹です!何か変な音が聞こえたので、振り向いたら大きな黒い鷹がいました。」
「鷹?鷹だって?」
「はい!でも、見えた瞬間から記憶がありません。」
「そうかい…鷹かい。」
コートの言葉に、部屋にいたエバンが驚く。
「マグゴナル様…黒い鷹ですか…?」
「ああ、間違いないね。ガダルーシャの消えた国王だ。」
「ガダルーシャ?ガダルーシャってこの間言っていた?」
「ああ、我々が攻め入った時姿を消したガダルーシャの元国王だ。」
「あの国王は、黒魔術に操られていてね。姿を消した時、黒い鷹になったという証言があったんだよ。」
「もし、あの元国王がまた現れたのなら…すぐに王様にお話しないと!」
「ああ、エバン。そうしてくれ。それからトーマスさん。王宮筆頭魔法使いのセレニウムを呼んで来てくれ。」
「わかりました。」
「それから、ユリアちゃん。」
「はい!」
「これから、この騎士団の全員を診るよ!他に穢れに侵食されている者がいないか調べなくては。」
「分かりました!」
しばらくして、騎士団全員の穢れを調べたコートとユリアは王宮の謁見室に向かった。
途中、トーマスと合流して事の次第を聞く。
「先程、エバン総長殿が王様に謁見してお話しました。セレニウム様も謁見室に向かわれております。」
「わかった。ユリアちゃん、これから王様に会うからね。」
「お、お、王様にですか!」
「ああ、ユリアちゃんは聞かれた事だけ答えればいい。なあに、心配いらないさ。王様は素晴らしいお方だから。」
「は、はい。」
ユリアは王様という言葉に物凄く緊張していた。
その様子を見たトーマスはユリアにそっと近づいた。
「大丈夫ですよ。王様はとても話しやすい方です。それに僕が側にいますから。安心してください。」
「はい。」
ユリアは大きく深呼吸する。
3人は王宮の中をしばらく歩き、1つの大きなドアの前に着く。
ドアの両端には騎士団の団員が警備についていた。
そのドアが大きく開けられた。
赤い絨毯が敷き詰められた部屋には、見るからに豪華なシャンデリアが下がっている。
部屋の1番奥の少し高い位置に椅子があり、その下にはエバンとセレニウムが待っていた。
「お待たせしたね。」
コートは慣れたようにスタスタと歩く。
ユリアはコートに遅れないように付いて行った。
「ユリアちゃんは私の後ろに居なさい。」
コートは自分の後ろにユリアを立たせた。
エバンはコートより椅子側に立ちその後ろにトーマスが立っている。
セレニウムはコートの向かい側へ。
ユリアの隣にいるトーマスがユリアをチラッと見て頷いてくれた。
ユリアはそれだけで少しホッとしたのである。




