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どうしますか?

この国の貴族の屋敷には

普通何人もの使用人が働いている。

使用人達は、それぞれの仕事スペシャリストが多く

メイドや執事の為の資格も沢山ある。


ただの召使いとは違い、資格を持った者を

屋敷に雇う事が貴族のステータスなのだ。

もちろん、トーマスの実家の屋敷にもその様なスペシャリストが大勢いた。


トーマスが結婚した後は、次男として分家を持ち

本家を支えていく事になるのだから屋敷もそれ相当の物を持たなければならない。


しかし、トーマスはあまり分家を相続する事に気が進まなかった。

トーマス自身、騎士団に入り騎士としてこれからも生きていたいと思っていたこともあり

この年齢までお見合いなども一切断って来た。


ユリアに出会って恋に落ち、こうして想いを通わせる様になってからはトーマスも将来についてあれこれ考えたり妄想したりするようになった。


ユリアが料理をする姿を見ながら、トーマスは今日の事を思い出す。


白の魔法使いか……。

実際、ユリアさんが白の魔法使いになったとしたら

今後はどのような生活になるのだろう。

結婚に支障はないだろうか?


魔法使いになる事はユリアが決める事だと分かっているが、トーマスは少し心配になる。

しかし、ユリアがどう決めたとしても自分がユリアを支えていくと決心していた。




しばらくして、キッチンからいい匂いがして来た。

トーマスはその匂いに釣られて、キッチンに近づく。


「ユリアさん。何かできる事はありますか?」


「大丈夫です。もう直ぐ出来ますので座って待っていてください。」


ユリアはキッチンにひょこっと顔を出したトーマスを見て微笑む。

トーマスはリビングに戻ったが、椅子に座ったり立ち上がったり落ち着かない。


しばらくして、ユリアが美味しそうに湯気を立たせている料理を運んできた。


「お待たせしました!」


トーマスの前に料理が並ぶ。


「おっ!ビーフシチューですか!」


「はい。トーマス様と初めて会った時の思い出の料理なので……。」


「ありがとうございます。美味しそうだ。」


「「いただきます。」」


ひと口食べると、心がふわりとあたたかくなる。

トーマスは目を瞑って味わう。


「本当に美味しい。」


「お口に合ってよかったです。今日は時間がなかったので、ちょっと魔法を使って早く煮込みました。」


「そんな事が魔法で出来るんですか。びっくりだな。」


「私の魔法は、料理の為に色々変化させた物が多いので。」


「あの、ユリアさん。」


「はい。」


「今日の王宮での話。魔法使い見習いの事ですが。」


「はい。」


「どうするつもりですか?ユリアさんが決めた事なら、僕は全力で応援するつもりです。」


「ありがとうございます。でも、あの時もセレニウム様にお話しましたが私は見習いになるつもりは今の所ありません。」


ユリアはトーマスにサラダを取り分けながら話す。


「白の魔法使いの事も、まだよく分からないし。コートおばあちゃんと今度きちんと話し合ってみたいと思っています。何かあれば、必ずトーマス様にご相談しますので。」


「そうですか。いや、ユリアさんのやりたい事をやってくださいね。」


「はい。ありがとうございます。」


「では、改めてサラダをいただきます。」


「はい!どうぞ!」


その後も2人で楽しくお喋りしながらの時間。

トーマスはビーフシチューを2回もおかわりした。


夕飯を食べ終わり、後片付けをしているユリア。

トーマスは暖炉の薪を外から運び入れていた。


「ユリアさん、明日の分の薪は入れておきましたから。」


「ありがとうございます。助かります!」


ユリアはキッチンから顔を出してお礼を言った。

食器を片付けながら、内緒でちょっとだけ料理をしていたユリアはトーマスが戻ったら出そうと準備をしていた。


「トーマス様、お疲れさまでした。紅茶入れましたのでどうぞ!それと……これは、クッキーです。」


ユリアは今日騎士団にお土産として持って行ったクッキーをトーマスが食べられなかった事を少し気にして準備していたのだ。


「ユリアさん……あ、ありがとうございます。」


トーマスはユリアの焼いてくれたクッキーを嬉しそうに頬張った。




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