ピットーニ家では
タイラーが捕まった。
ケイトは身体から血の気が引いた。
その知らせを聞いてガクッと床に膝をつく。
「ど、どうすれば……。」
今回の事は、思惑とは違う結果になったとは言え指示したのは自分だ。
主犯という事になるのだろうか……。
その時、メイドが入ってきた。
「お嬢様!すぐに出発を!」
「出発って。どこに行くと言うの!」
ケイトはメイドに向かって怒鳴り散らした。
その後、すぐにケイトの父親が部屋に入ってきた。
「お父様!わたくし!わたくし!」
ケイトは父にすがるように歩み寄った。
バチン!!!
父親がケイトを殴った。
ケイトはなにが起きたのか理解できず、ただ呆然と立ち尽くす。
「お前は!お前は!なんと言う事をしたんだ!私に内緒でタイラーに命じて殺させようとするなど!お前は我が家の面汚しだ!」
「お父様!わたくしは!殺すつもりはなかったのです!」
父はケイトの言い訳に耳も貸さず言い放った。
「この事は私には関係ない。お前が全ての責任を負いなさい。それから無罪になってもこの屋敷には帰って来るな。顔も見たくない!今すぐどこかに行け!」
そう言って父親が冷たくケイトに言った。
ケイトは目に涙を溜めている。
「では、わたくしは捕まったらお父様の今までの悪事を全て話しますわ!」
「なんだと?」
父親がまたケイトに近寄り手を振り上げた。
その時、誰かが部屋に入ってくる。
「喧嘩はそこまでにしていただこう。」
声の主はトーマスだった。
「ト、ト、トーマス様……。」
トーマスは振り上げられた手を掴み下ろした。
そして、2人に向かって一礼した。
「ケイト・ピットーニ嬢、これから騎士団本部にご同行願います。ユリア・エスターク誘拐及び殺害未遂事件の事についてお聞きしたい事が。」
「トーマス様!わた、わたくしは!」
「おい!お連れしろ!」
トーマスは部屋の外に控えていた団員に声をかける。
ケイトは団員たちによって連行されて行った。
ケイトの父親の方を向き直し一礼する。
「ピットーニ子爵殿には、後日また改めてお迎えを。」
「なに?私がなんの関係があると言うのだ!」
「調べによると、捕まえた男には他にも余罪があるようでして。」
「なんだと!私を誰だと思っている!」
「ピットーニ子爵殿。私はまだ余罪があるようだと言っただけでございます。子爵殿には確認をさせていただきたいと思っておりますので、ではこれで。」
トーマスは一礼すると足早に出て行った。
ケイトの尋問は難しくはなかった。
ただ、ケイト自身は殺害を命令したのではないと言う事はタイラーの証言も一致していた。
動機は、ユリアに対しての嫉妬心。
恋心がどこでどう間違ったのか。
この事件の事はあっという間に街の噂になったのだった。




