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連携プレイ

エディは怖かった。


今、目の前で尋問しているトーマスが別人だ。


この国では罪人に対しての拷問は禁止されている。

それ故、尋問では拷問による恐怖ではなく別の観点から攻めて行かなくてはならない高度な技だ。

その為、騎士団には尋問専門の部署もある。


しかし、今のトーマスには高度な技など不要。

トーマスから出る謎の威圧感に捕らえられた男も顔を引きつらせている。


「お前に指示していた男の名前は?」


「……………」


「では、質問の仕方を変えよう。その男の名前はタイラーと言うな?」


男の顔が一瞬強張った。

トーマスはそれを見逃さない。


「では、そのタイラーの居場所は?」


「……知らん。」


人間というのは不思議なもので

秘密や嘘がバレそうになると口数が極端に減ったり、極端に増えたりする。


「そうか。知らないなら仕方ないな。」


トーマスは手元の書類に目を落とす。


「お前が誘拐した娘だが、命は取り留めたぞ。」


「なに?命?」


「なんだ、知らなかったのか。」


「…………」


「タイラーに斬られた。」


「まさか……。」


エディは黙ってトーマスの尋問を見ている。


「殺すつもりはなかったようだな。」


「お、俺は。誘拐して何処かの街に……。」


「街に?」


トーマスから謎の威圧感がドッと溢れ出す。


「……この街にいなくなるようにしろと。」


「この街にいなくなるように…そうか。」


「今日はこのくらいにしておく。後はエディ頼んだ。」


「ああ、わかった。」


エディと交代したトーマスは牢を出て行く。

つぎに男の前に座ったエディはにこやかな笑顔だった。


「さて。お前の知っている事を全て話せば、罪は軽くなるぞ。お前は誘拐にまでしか関わっていない。タイラーとやらはお前を置き去りにして1人だけで逃げたやつだ。そいつを捕まえられたら…お前はそうだな…国外追放くらいまでは軽くしてやるぞ。強制労働はしたくあるまい。俺が口添えしてやる。どうだ?」


男は下を向いて考え込んでいる。


「さて、あまり時間もかけられないのでな!言うのが嫌なら次の罪人から聞く事にするぞ?」


エディは席を立とうとする。


「あ、いや!待て!本当に罪を軽くしてくれるのか?」


「ああ、もちろんだ。俺は騎士だ。嘘は言わん。」


「わかった。」


牢の扉の影でこの話を聞いていたトーマス。

この一連の流れは、トーマスとエディによる連携プレイとでも言おうか。


トーマスの威圧感で、その罪人がどこまで知っているかを見極める。

重要な事を知っていそうな場合、エディがその後畳み掛けるように罪を軽くすると提案する。


余程、訓練されている者でない限り大体の罪人はこれで落ちる。


後はエディが聞き出してくれるだろう。


トーマスは牢を後にした。

トーマスは牢から出ると、部下が走ってきた。


「トーマス団長殿!今日はもう上がってください!後は私達が交代で受け持ちますので!」



ここの所、団員達が優しい。


あのトーマス団長殿に恋人がいた!


この事は騎士団の中でも話題になり、ましてやその恋人が事件に巻き込まれ怪我をした。

トーマスを尊敬する部下達は我先にとトーマスの仕事を代わりたがった。 


トーマスはそんな部下に礼を言うと

大切な書類書きなどをした後、宿舎を後にする。


ユリアが現れるまでのトーマスは休みも取らず、仕事ばかりしていた。

上司が休まなければ、部下は休みにくい!と

エディに言われたので最近はたまに部下の申し出をありがたく受け入れる事にしている。


「では、後は頼む。帰りは夜になるが何かあれば連絡を。」


「はい!かしこまりました!」


トーマスは颯爽とマントを羽織りながらドアを開けて部屋を出て行った。



部屋を出る時にマントを羽織りながらドアを開ける仕草が、この後騎士団で流行ったのはトーマスは知らない。


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