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燃やしてしまいなさい

トーマス狙いの子爵令嬢ケイト・ピットーニは

屋敷の部屋で報告を聞いていた。


「なんですって!トーマス様があの庶民とお食事会に?」


ケイトは、トーマスとユリアがミュゼット主催の食事会に出席いている事を聞いて地団駄を踏んでいた。


「もう我慢できないわ!」


ケイトは前々からタイラーという裏の仕事を請け負う男にユリアの店の下見をさせていた。


ユリアがトーマスの前からいなくなれば、必ずトーマスは自分に目を向けてくれる。

そう思っているからだ。


「タイラー。」


「はい、お嬢様。」


「あの魔法カフェとやら。燃やしてしまいなさい!」


ケイトがそう言うと、タイラーは静かに一礼し部屋を出た。


ケイトは窓の外を睨んで言った。


「トーマス様は私のものよ。」




夜も遅くなると、魔法カフェが建つ辺りは人通りも少ない。

その人気のない魔法カフェに、3人の男達がいた。

男達は、魔法カフェに誰もいない事を確認すると外に積んでいた薪を家の壁にくっつけて並べた。


そして、その薪に火をつけた。


それを見て男達はニヤリと笑った。


「よし。」


1人の男が合図すると他の2人はその場から離れる。


そして、遠くに身を潜め火が家につくのを確認している。

しかし、なかなか火は家につかない。


「くそっ。なんでた。雪で消えちまったか。」


男達は、再度家に近づく。

そして、先ほど火をつけた薪を見てみると

焦げてもいない。全くの無傷だった。


「おかしいな。よし!もう一度だ!今度は一気につけろ。」


しかし、何度やっても家に火はつかない。


「くそっ!何なんだ!」


もう1人の男が言った。


「こうなったら、窓を割って中に火を放り投げたらどうだ?」


リーダー格の男は少し考えて

「よし!そうしよう!石かなんかで割れ!」


そう指示するとリーダー格の男は

落ちていた木を拾い火をつける。


「割ったらこれを投げる。投げ入れたら、すぐ逃げるぞ!」


他の2人は頷く。


「よし!割れ!」


グオーン!!!


「あれ?おかしいな。」


「何やってんだ!もっと力入れてやれ!」


グオーン!!!グオーン!!!


何度石で叩いても窓は割れない。


「何なんだ、この家!」



その時、馬車がやってくる音がした。


「まずい!逃げるぞ!」


男達は火のついた木を雪の中に放り込み

素早く逃げて行った。




ケイトの屋敷まで戻った男達は事の次第をタイラーに報告していた。


「わかった。また何かあったら連絡する。」


それだけ言うと、タイラーは屋敷に戻る。


タイラーが魔法カフェを燃やす事が失敗したとケイトに報告すると、ケイトは激怒した。


「何ですって!この役立たず!!」


ケイトはタイラーに向かって扇子を投げつける。

タイラーはケイトが落ち着くのを待って話し始めた。


「お嬢様。あの魔法カフェにはおそらく魔法がかかっているものと思われます。」


「魔法ですって?」


ケイトがピクリと動いた。


「はい。おそらく結界魔法がかけられていると思われます。結界魔法は様々な攻撃から身を守る魔法。あの店の主は家全体にその結界魔法をかけているものかと。」


「家全体?それじゃ、どうするのよ!それじゃあトーマス様は私の所に来ないじゃない!」


「お嬢様。それならば店ではなく、その店の主であれば……攻撃は可能かと。」


ケイトは少し考える。


「手荒な真似はしたくなかったけど。トーマス様と私の結婚の為だもの。仕方ないわ。タイラー!貴方に任せるわ。あの女を懲らしめなさい。」


「かしこまりました。」


「次は失敗は許しませんからね。」


「お任せください。」


タイラーはニヤリと口の端を上げた。





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