私のお友達
ミュゼットとプリアンヌ、そしてエディは馬車に乗っていた。
向かっている場所は、ユリアの魔法カフェ。
ミュゼットはソワソワしている。
久しぶりに大好きなユリアに会えるのだ。
ミュゼットはパレードの日、ユリアと知り合ったが自分の知らない事を沢山知っているユリアが一発で気に入った。
ミュゼットは貴族令嬢ではあるが、古いしきたりが好きではなく貴族令嬢だけで集まるお茶会の類もあまり好きではない。
プリアンヌは子供の頃に数回と社交界デビューの時に王都に来たぐらいで、馬車から見える景色を楽しげに見ていた。
街中のレストランや野菜を並べているお店。
そんな様子が気になってエディに質問している。
「わたくしは、あまり領地から出た事がなくて……王都はすごいですわね!」
馬車の中でワイワイやっていると、程なくして馬車が止まった。
プリアンヌはカフェの看板を見て首を傾げる。
「魔法カフェ?」
「ユリアちゃんは、魔法が得意なんだよ。だからここで提供されるものには少し魔法がかかってるんだ。」
エディを始め、ミュゼットもプリアンヌも貴族である為ある程度の魔法は使える。
貴族は子供の頃にある程度の魔法力を測定し、魔法力が高い者は魔法使いや魔法に関する役職についたりする。
この3人は、さほど魔法力が高くなかったようだ。
「まぁ!魔法がかかっている食べ物なんてワクワクしますわね!」
プリアンヌは飛び切りの笑顔で、ミュゼットと手を取り楽しげにしている。
ミュゼットはチラッとエディを見た。
エディはプリアンヌをじっと見ていた。
お兄様……プリアンヌ様の事気になり出したわね。
ふふふ。
ミュゼットは心の中でエディの変化を喜んだ。
ユリアが馬車が止まった音に気づきカフェから出てくる。
「ミュゼットさん!」
「ユリアさん!お久しぶりですわ!」
ミュゼットはユリアの手を握ってブンブン振っている。
ふと、ミュゼットの少し後ろに可愛らしい女性がいる事に気づく。
ユリアの視線に気付いたその女性は軽く会釈をする。
「ユリアちゃん、こちらは僕のフィアンセのプリアンヌ嬢だ。」
「プリアンヌでございます。どうぞよろしくお願いいたします。」
「まぁ!エディ様のフィアンセの!お会いできて光栄です。ユリア・エスタークと申します。」
「ユリアさんもプリアンヌ様も!中に入りましょう!私、ユリアさんのカフェに来たかったの!さぁ、入りましょう!」
「ふふふ。狭いカフェですがどうぞお入りください。」
そう言うと、ユリアは3人をカフェに招き入れた。
カフェで、ユリアが淹れた紅茶とタルトをいただく。
「ユリア様、本当に美味しいですわ。」
プリアンヌが目を丸くしてタルトを見る。
「ありがとうございます。それはいちちじくのタルトです。いちちじくは女性の美に欠かせない食材なんですよ!……あと、あの私に様付けはしないでください。……私は庶民ですので。」
「あ……では、わたしくしもユリアさんで良いですか?」
「ええ!もちろんです!」
「では、わたくしもプリアンヌと呼んでくださいね!ミュゼット様、よろしいかしら?」
「もちろんですわ!」
ミュゼットはうんうんと頷く。
しばらくしてエディが聞いた。
「そういや、ユリアちゃん。今日はトーマスは?」
「トーマス様は今日はお仕事なので、夕方終わったらいらっしゃるとお聞きしましたよ。」
「まぁ、トーマス様は毎日こちらにお越しになられるの?」
ミュゼットは嬉しそうに聞く。
「そりゃそうだろ。トーマスとユリアちゃんは恋人同士なんだからさ。2人の時間は沢山あった方がいい。」
「そうですわね!では、お兄様もプリアンヌ様と2人きりの時間を沢山作ってあげてくださいませね?」
「えっ………いや、まぁその……うん。」
プリアンヌも何とも複雑な表現だ。
「そうだわ!わたくしユリアさんとちょっと大切なお話がありますの!そう!だから、ちょっとお二人でお散歩に行ってきてくださいませ!」
「「えっ!?」」
これにはユリアもびっくりだ。
しかし、ミュゼットは真剣そのもの。
早く行ってこいと手で合図している。
「お、おい!ミュゼット!」
「お兄様?わたくしユリアさんと内緒のお話ですの。プリアンヌ様、少しお時間いただいてよろしいかしら?」
「え、ええ。わたくしは構いませんが……」
プリアンヌはエディを見る。
エディは頭を抱えていた。
「では、プリアンヌ様、お兄様、いってらっしゃいませ。そうね、1時間くらいで帰ってきて大丈夫ですわ!」
そう言ってミュゼットは2人をカフェから追い出した。




