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貴族達の洗礼

王様はトーマスに視線を移す。

そして、トーマスを見ながら言った。


「トーマスよ。」


「はい。」


「そなたには、ユリアをしっかりと支えて行く事を命ずるぞ。」


「はい。心得てございます。」


「ユリアと共に手を取り合って、ユリアの力を民の為に使って欲しい。」


「はい。」


「頼んだぞ。」


トーマスは深々とお辞儀をした。


「それではユリアに新しいマントを。」


王様の後ろからマントを持ったセレニウムが入って来た。

手には白いマントを持っていた。


「ユリア。このマントはそなたの母親が着ていたマントだ。セレニウムが新しくそなたの為に白金の色を施す儀式をした。受け取るが良い。」


セレニウムはユリアの隣に来て、そのマントを羽織わせる。


「ユリアさん。おめでとうございます。」


セレニウムにマントを着せて貰ったユリアは、そのマントをじっと見つめた。


「王様、ありがとうございます。」


「うむ。それでは、ここに白金の魔法使いの誕生じゃ!国民皆で祝おう!」


その瞬間、大広間から大きな拍手が起こった。


コートはユリアの側に来て言った。


「良かったね、ユリアちゃん。さぁ、みんながユリアちゃんを祝ってくれているよ!こちらに顔を向けて。」


ユリアはコート共に大広間に集まった貴族達に顔を見せた。


その人達を見ると、ふとその中に母の顔があったような気がした。


「お母さん?」


もう一度そこを見た時は、母らしき人はいなかったがユリアは母もこの場で見ていてくれたのだと感じた。



式典な終わり、祝賀会が催される。


ユリアの周りには沢山の貴族が集まっていた。

その中には庶民であるユリアにいい顔をしない者もいた。


その貴族がユリアに話しかける。


「白金の魔法使い様。これからも街でカフェをされながらお暮らしになるのですか?」


「は、はい。当分はそのつもりですが。」


「まぁ!白金の魔法使い様とあろう方が!男爵位を授かったとは言え、一代爵位ですものね。」


「え、ええ。そうですね。」


貴族の夫人達は扇子を口元において、ユリアの事を上から見下しているように見える。


ユリアはこの貴族達の圧にどう対処してよいか分からずに苦笑いするユリア。


すると、ユリアとその貴族達の前に1人の貴婦人が入ってきた。


「失礼いたしますわ。」


その姿にその貴族驚いた顔をする。


「クリムト公爵夫人!」


「お話中失礼いたしますわね。ユリアちゃんは、私共の娘になるのですよ。これから、よろしくお願いいたしますわね。」


その貴族は怪訝な顔をして言った。


「では、王様の言われていたのは本当の事ですの?」


「もちろん!我がクリムト家の大切なお嫁さんですわ。しかも!王様から白金の称号を授かった魔法使い。爵位も男爵位でございますから、みなさんと同じですわよ。」


その貴婦人はにこやかに話してはいるが、言葉はかなりキツイ。


「では、これで失礼いたしますわ。行きましょう、ユリアちゃん。」


貴婦人はユリアの手を握りその場を離れる。

2人は人混みから少し離れた場所までやって来た。


「ユリアちゃん、ごめんなさいね。突然の事でびっくりしたでしょう?貴族の中にはあんな風に嫌味を言うのが趣味の人が多いのよ。」


その貴婦人はユリアの事を知っているようだった。


「あ、あの。助けていただいてありがとうございました。それで…あの…間違いだったら申し訳ありません。もしかして…トーマス様の…。」


ユリアが言いかけた時、向こうの方でユリアを呼ぶ声がした。


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