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元大賢者、転生してレベル1からダンジョン配信  作者: 相木ふゆ彦
第一章 元大賢者(SSランク)、剣聖(SSSランク)になる

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第一話 現代に生まれ変わった大賢者、夜白

夜白やしろ~起きなさい」

 

「今いく」

 

 俺は起きていて、今日から入学する朱雀高校の制服に着替えていた。

 ダンジョンが生まれて今年で二十五年。現代はダンジョンとの共存に慣れてきている。

 

 それどころか、俺が入学する科はダンジョンの配信やバトルをメインにしたハンター科。妹だけじゃなく、家族に反対されたけどハンターの覚醒紋が出てる以上はやるしかない。

 

「朝ごはんは何かな」

 

「今日は和食よ――夜白、制服、似合ってるわよ」

 

 キッチンで母が、しみじみと俺を見る。

 いわゆる学生服とは違って、バトル漫画の制服みたいなんだが。親の欲目だろうな。

 

 まあ、俺は前世では孤児だったので地球という異世界に転生してからは、親を大事にしている。

 

「いただきます。きらりは?」

 

「お兄ちゃんの入学式ついていきたがってたけど、ほら部活の朝練」

 

「そっか。どのみち、測定は国がやるから保護者も来れないしね」

 

 いただきますをして、豚汁をすする。大根にごぼう、人参と豚肉の甘味が口の中に溶ける。

 前世にはなかった和食、いつ食べてもうまいんだよな。食に関しては完全にこの世界より遅れてたし、硬いパンだとかスープだとか。

 

 俺は、前世では大賢者と呼ばれて魔術の頂点にいた。二十五歳のときに、エンシェント・ドラゴンの背中で調子に乗ってドライブしてたら滑り落ちて死んだ。実にダサい死因だ。

 そのあと地球に転生して、思ったんだ。

 

 防御力は大事だ。次こそは防御を鍛えて見せると。

 

「お父さんもお母さんも未覚醒者なのに、夜白やしろだけ覚醒するなんてねぇ。しかもハンターなんて」

 

「なすの浅漬けもうまいよ」

 

 母がこの話をするのは二十回目なので、適当に相槌を打つ。

 覚醒者は、ダンジョン適応者のこと。世界にダンジョンが生まれたあと、生まれてくる人類の一部は左手に覚醒紋と呼ばれる紋章が出てくるようになった。

 

 攻撃職――いわゆるハンターは剣の紋章。回復特化でもバトルに参加できるものも含まれるらしい。補助職――アシスト。武器や武具などの生成に関する役職は丸い紋章。一説では八咫鏡やたのかがみと言われる。

 

 サポート職は、魔物から出た魔石を使ったポーションや魔力ポーションなどを作るジョブで勾玉の紋章をしている。

 なので、この剣の覚醒紋を見ればそれが剣士だろうがヒーラーだろうがとりあえずハンターになるってことだけは分かるんだよな。

 

「覚醒者になったら配信して稼がないといけないでしょ?母さん心配だわ」

 

「ちょっとピリ辛コチャジン入りの肉じゃがも旨い」

 

 国からの支援金も、全部というわけじゃない。ダンジョンが生まれた当初、経済は一度破綻したらしいから、今のダンジョンの儲けもかなりの税率で持ってかれる。

 なので、サポート職だろうとハンターだろうと配信による自立した資金を持たなきゃいけない。

 

 問題は、何のジョブなのかだよなー。鑑定の魔法を持っているけど、あえて測定待ち。

 願わくば防御力の高いジョブで、絶対防御したい。

 

 何を受けても無傷で立ってるとかめっちゃカッコイイわ。

 攻撃とかもう要らん。

 

 大賢者の能力は、今の体――不破夜白ふわやしろ にも備わっている。

 遅刻しそうなときに瞬間移動したり、名前が分からないときに鑑定したりと便利に使ってきたが、攻撃力はもう99999もあるんだよなぁ。

 

「ごちそうさまでした」

 

 さすがに行ったことのない場所には瞬間移動はできないからな。遅刻はまずい気がする。

 家を出る前に、もう一度鏡を覗いてみた。

 背は平均よりやや低め、防御力のなさそうな体。冴えない黒髪。

 

「配信映えは……期待できないな」

 

 いっそ、ハンタージョブじゃなくてアシストジョブで、付与魔法の使い方とかレクチャーしたほうが人気でそうだよな、俺。

 

 とりあえず朱雀高校行きのバスのある駅まで瞬間移動することにした。


ダンジョン配信ものです。楽しんでいただけると嬉しいです。

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