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彼女 ―桜は光の粒のように― 〜同じ記憶を持つ彼女が、二人いる世界で〜  作者: 雷火
第1章 彼女は少しおかしい

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第3話 休み時間

二時間目が終わると、

教室はすぐに休み時間の空気になった。


椅子が動く音。

誰かの笑い声。

廊下を走る足音。


その中で、

一番人が集まっていたのは――


やっぱり、隣の席だった。


「ねえ、さっき言ってたけど前の学校どこ?」


「部活とかやってたの?」


彼女は落ち着いた様子で、

一つずつ答えていく。


「部活は……特に」


「じゃあ運動苦手?」


「ううん、そういうわけじゃないけど」


少しだけ考えてから、


「でも、みんなで何かするのは楽しそうだね」


その言い方が、引っかかる。


「放課後とか遊ばないの?」


「放課後?」


彼女は小さく首をかしげる。


ほんの一瞬、間。


「うん。ゲーセンとか、カラオケとか」


「そういうこと、するんだ」


どこか確認するような言い方だった。


「え、普通するだろ?」


男子が笑う。


彼女は小さくうなずく。


「そっか。楽しそう」


その表情は自然だった。


でも――


“知っている”というより、

“今理解した”みたいな反応だった。


そのとき、


教室の後ろでペンが落ちた。


――カラン。


小さな音。


でも、


彼女はその前に振り向いていた。


「……?」


音より、わずかに早い。


ほんの一瞬。


でも、確実に。


さらに――


ペンが床に触れる直前。


彼女の視線が、


落ちる位置にぴたりと合っていた。


まるで、


最初からそこに落ちると分かっていたみたいに。


僕はその違和感に引っかかる。


でも、


言葉にできない。


彼女はすぐに笑って、

何事もなかったように会話に戻る。


「ねえ」


今度は彼女の方から声をかけてきた。


「このクラスって、いつもこんな感じ?」


「ああ、まあ……こんな感じかな」


「そうなんだ」


彼女は少しうれしそうに笑う。


「いいね」


その笑顔は、いつも通りだった。


でも。


さっき見たものだけが、


そこから浮いている。


音より先に反応して、


落ちる場所まで、分かっていた。


それが、


ただの偶然だとは、


思えなかった。


本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。

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