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彼女 ―桜は光の粒のように― 〜同じ記憶を持つ彼女が、二人いる世界で〜  作者: 雷火
第1章 彼女は少しおかしい

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第14話 次の日の教室

次の日の朝。


教室の窓から、やわらかい光が差し込んでいた。


まだ人は少ない。


静かな空気の中で、僕は席に座る。


昨日のことを思い出す。


ゲームセンター。

ボーリング。

喫茶店。

帰り道。

夜のLINE。


少しだけ、日常が変わった気がしていた。


――ガラ。


ドアが開く。


「おはよう」


彼女だった。


「おはよう」


自然に返せる。


彼女は隣に座る。


「昨日、ちゃんと眠れた?」


少し唐突だった。


「うん、普通に」


「そっか」


安心したようにうなずく。


「私も」


その一言が、少しだけ引っかかった。


“確認している”ように聞こえた。


少しずつ人が増える。


田中と佐藤も入ってくる。


「おはよー」


「筋肉痛やばい」


いつもの空気。


いつもの教室。


でも――


また、ドアが開いた。


先生じゃない。


スーツ姿の男。


静かに一歩入ってくる。


「……失礼します」


低い声。


教室がわずかに静まる。


男は、ゆっくり見渡す。


その視線が――止まる。


隣。


彼女の席。


その瞬間。


彼女の手が、止まった。


ノートの上。


ペン先が、わずかにずれる。


ほんの一瞬。


すぐに何事もなかったように動き出す。


でも、


今のは確実に“反応”だった。


「どうしました?」


先生が後ろから来る。


「転入手続きの確認で」


事務的なやり取り。


短い会話。


その間も、


男はもう一度だけ彼女を見る。


今度は、隠さない。


確かめるように。


数秒後、


男は教室を出ていった。


ドアが閉まる。


ざわつきが戻る。


「なんだあれ」


「さあな」


いつもの会話。


でも、


僕だけが違っていた。


隣を見る。


彼女はノートを書いている。


何もなかったみたいに。


でも、


さっきの一瞬。


確実に、


“見られている側の動き”だった。


ふと思う。


この子は――


守られているんじゃない。


“見張られている”。


本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。

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