二の第9話
そうして二人はリビングで寛ぐ。蛍はテーブルの椅子に座り、冷たいアップルジュースを飲んでいる。開けた窓から偶に入りこむ小風が、風呂上がりの火照った体を撫でる。会社勤めの時代には無かった朝の安らかな一時である。
一方、カナはキッチンでコップ一杯の牛乳を一気していた。物凄くおっさん臭い行動だが、本人曰く「アニメの影響」らしい。そういう行動をマネする時期があったようで、終わった後も日常的に真似した物は残っているとのこと。
そうしてちびちびとりんごジュースを飲みながら、スマホで天気予報を確認していた蛍は、ふと先程抱いた疑問を思い出した。
「そういえば聞いてなかったんだけどさ、どうしてカナはうちの家で風呂に入ろうとしてたんだ?」
蛍は夏菜子にそう問う。先程風呂場でテンパりながら疑問に思っていた事だ。
夏菜子が蛍の家に泊まる時や、雨に濡れて雨宿りさせてもらった時などであれば、夏菜子が蛍の家の風呂を貸してもらうことはあるだろう。
だが、今日夏菜子が家に泊まるという話はないし雨も降っていない。
「あ、うん……実は今ね、私の家のお風呂が水しか出なくなっちゃってさ…」
牛乳一気した後のグラスを律儀に洗いながら夏菜子が答える。
なるほど。お湯がねー……それでここをあてにした訳か。
うっかりでガス代でも滞納してたりしたんだろうか…?
「ふーん、そっか……おけおけ、そういう事情ならうちの風呂くらい好きに使ってくれ」
「うん。ありがとね」
困った時はお互い様ってやつだ。それくらい気にすることでもない。
というかカナはそれなりの頻度で泊まりに来るから、マジで今更な事でもある。なんならカナん家の風呂が直るまで泊まっていくか?ってレベルだ。
ちなみにそう聞いた場合、夏菜子は即決で泊まる選択をする。当然である。
「ほたる〜。このポッキー食べていい〜?」
「いいよー。どーぞー」
「ありがと♪」
カナは台所にある戸棚のおやつカゴからポッキーを取り出して来て、俺の対面の椅子に座る。ガサガサと封を開けたポッキーを、机の真ん中に横向きで置いた。
そこから二人で抜き取って食べながら、他愛ない雑談に花を咲かした。
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