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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月22日(土)
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第48話「ソシャゲでピックアップのSSRが引けるくらいの確率だと思えば」

 ホラーというジャンルは何故無くならないのでしょう。見る者に恐怖を与え震え上がらせるコンテンツが一向に廃れないのが私は不思議で仕方ないのです。

 私の私的感情を抜きにしたとしても、大多数にとって見ていて心地の良いジャンルではないでしょう。南川様のようにそういうものとして楽しめる人も一定数存在する一方で、少し触れただけでも気分を害する人、耐えられない人というのももちろん存在します。割合で言うなら後者の方が多いのではないでしょうか。

 それなのに何故ホラーというジャンルは、定期的にテレビで特番が組まれたりゲームソフトや映画が絶えず制作されるほどの人気を保ち続けているのでしょう。もちろん楽しめる人が一定数いると言うことは需要があると言うことですから、完全に無くならないのはわかります。また、夏=ホラーというイメージが既に出来上がっているのも大きいですよね。このイメージのお陰で夏になれば自然とホラーを求める人が増えるわけなので、供給側もそれに合わせて新たな恐怖を用意するわけです。そりゃあ無くなりませんよね。

 私が考えるに、ホラーというジャンルの人気が衰えない理由もその辺りにあるような気がするのです。夏に合わせて毎年のように新しいコンテンツが生み出され続け、供給側は去年を超えろ、飽きさせるなと気合を入れてより良いものを創り続ける。そのサイクルが、ホラーの衰えない人気を支えているのではないでしょうか。

 まあ、実際のところは知りませんけどね。だってホラーで検索かけるなんてまっぴらですし。うっかり怖い画像とかに出会ってしまったら嫌ですし。ですからこの話に根拠はありませんので悪しからず。

 では、スタート。



 南川様が提案した罰ゲームに怯えつつ、バンドレ縛り開始です。先手は南川様。

「いきなり選曲ミスは嫌だし、確実なところからいこうかな」

 そう言いながら南川様が選曲したのは有名なボカロ楽曲です。バンドレとボカロのコラボは過去に何度も行われているので、確かに確実なラインと言えるでしょう。加えて私が点数を稼ぎやすいボカロ楽曲を消してくるとは、初手からやりますね。私には毎曲点数というプレッシャーが掛かるので、疲労の溜まってくる後半に自信のあるボカロ楽曲を残しておきたいのですが、それを見越しての選曲でしょうか。だとしたら想像以上の策士ですね。

「♪生き急げ全開少女 寝ても覚めてもその刹那飼いならせ!」

 選曲さえ間違えなければ後は点数など気にせず楽しく歌うだけの南川様は、アップテンポの曲を元気よく歌い上げます。羨ましいですね。私は99点を下回ればホラーゲームをしなければいけないというプレッシャーで既に回路が不調を(きた)しそうなのですが。

「89.421点。まあ、悪くはないね。じゃあ次、ユリの番だよ」

 1曲歌い終えた南川様が何やらニヤニヤした顔で告げてきます。……なるほど、私が敗北してホラーゲームに怯える姿を想像して楽しんでいるわけですね。これは意地でも負けられません。

 こういう時こそ考え方を変換しましょう。負けた時の事を考えるのではなく、勝った時の事を考えるのです。私が勝てば、南川様になんでも一つ言う事を聞いてもらえるわけです。今まで躊躇っていたアレとかコレでもいいわけです。そう考えると……この戦、絶対に勝ちたいです。

『では、この曲から』

「おお、大王道」

 私が選んだのは、この2030年においてもアニメ好きであればまず知らない人はいない某有名作品のエンディングテーマ。バンドレ1周年の際に実装された、ダンスの有名なあの曲です。

『♪ある晴れた日のこと 魔法以上のユカイが 限りなく降り注ぐ 不可能じゃないわ』

 南川様もよく聴く楽曲なので私にも耳馴染みがあって非常に歌いやすく、案の定点数は99.926点でした。歌う前のプレッシャーは何処へやら、絶好調ですね、私。中畑氏も驚く勢いです。

「さすがの安定感だなぁ。これ、僕に勝機あるのかな」

『今まで私がカラオケで歌った全ての曲を元に算出するなら、私が99点を割る確率は約2%くらいですね』

「ひっく! え、それどうやっても勝てないじゃん!」

『あくまで全ての楽曲を元にした値です。私にも点の取りやすい曲、取りにくい曲はありますからね。点の取りやすい曲を選択していけばその数字はさらに低くなるかと』

「さらに絶望的な情報!」

『とはいえ、のびのび歌っている時と本日のように罰ゲームのプレッシャーの中で歌うときとでは回路の動きも異なります。緊張から音が遅れたりずれたりすることも多くなるでしょう。昔のAIであればそんなことはなかったのでしょうが、人に近付いて感情を持つようになった弊害みたいなものですね。というわけでそれらも込みで再計算をすると、私が99点未満を出す確率は約2%ですね』

「結局!? え、ここまで長々といろいろしゃべって、結局2%に落ち着くの!?」

『ですがほら、ソシャゲでピックアップのSSRが引けるくらいの確率だと思えば』

「確かに出るときはすぐ出てくれるけども! 出ないときは300連しても出ないやつじゃん!」

 とまあこんな調子でバンドレ縛りスタートです。序盤はお互いに何も問題ないでしょうから、面白くなってくるのは中盤から終盤にかけてですかね。

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