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「ほう、いい名前じゃないか」


「そうっすよね?私も結構気に入ってるんすよ。この名前」


「……まあ雑談はこの辺にしておいて、MPの補給を頼む。最悪死ぬらしくてな、さっさと済ませたい」


「はぁ……しょうがないっすね」


シリウスはヤナギの胸に手を置き目を閉じる。

ヤナギはなんだかむず痒くなると、段々と何かが入ってくるのがわかる。

胸を貫き、心臓に何かが入ってきている。

不快な気持ちではなく、心地よい気持ちになる。

数十秒が過ぎる。


「はい、おしまいっすよ」


「もう終わりか……ふむ、心地の良いものだったな。俺はこのまま学習しに向かうのでな」


ヤナギは心地よさそうな顔をしながら、本棚へと歩き始める。

その後ろ姿をシリウスは眺めながら、本に手を伸ばし読み直す。

前までは手の進みがあまり早くなかったが、ヤナギはもう単語を色々と覚えていたため、かなり手の進みが早っている。

時計の針が何周かした頃、空が暗くなりヤナギは帰りの支度を始める。


「お?もう帰るっすか?」


「ああ、夜が更けはじめたからな。身体も大切にしたいのでな。ここらで帰らせてもらう」


手鏡で軽く髪を確認した後、ヤナギは出口へと歩き始める。

その途中で本をシリウスに手渡しし、道に出る。


「ふぅ……ようやく終わったっすね……」


シリウスが一息ついてコーヒーを一口飲むと、図書館のドアが音を立てながら開いた。


「なんすか……忘れ物っす……ああ、別の」


ヤナギが帰ってきたかと思い見てみると、そこには三人の男がイライラとした様子で図書館に入ってくる。

そしてシリウスのことをちらっと見ると、顔を少しニヤつかせる。

シリウスは視線を本に返すと、段々と足音が近づいてくる。

何となく視線を向けると、一人の男が首を力いっぱい掴み始めた。


「お前、ヤナギっつうやつ知ってるよな?俺たちはよ……そいつに恨みがあるんだよ……わかるか!!!お前は確か、仲良かったよなぁ!?クソが!!こっちは毎日見てんだぞ!!」


「俺は……俺は!!!大事なところを壊されるところだったんだ!!!あれから二週間は動くことすら大変だったんだぞ!!」


「あんだけ、俺達に恥をかかせたんだ……こっちもかけさせてもらう」


「知らねっすよ……勝手に恨んでこっちに迷惑かけんな……すよ」


男の手の力がどんどんと強まる。

骨が音を立てながら狭まり始める。

少し、呼吸しずらくなり始める。


「……はは、いい顔してんじゃねぇかよ……恨みを晴らす一環でヤっちまうか……」


「いいじゃねぇか……恨むなら、あのクソナルシストを恨むんだな」


男達はいかにも下賎な顔をしながら、ニヤニヤと近くによる。

シリウスを地面に叩きつけ、力任せに服に手をかける。

男のひとりがナイフを見せつけるかのように見せびらかす。

その様子に品性の欠片も感じられない。

シリウスはゴミを見る目で男共を睨む。

それに興奮したのか、更に締める力が増す。

足をバタバタとしながら抵抗し、手を引き剥がすようにするが、全く動かない。

男は狂ったかのような顔をしながら、舌舐りをする。


「や……めろ。……最終、警告……すよ……」


「俺達に力で勝てないクソ女が何言ってんだよ!黙ってろこのボケが!!」


上にのしかかってきた男が力一杯に拳を握り、シリウスの顔面目掛けて拳を放つ。


「……チッ」


シリウスは、小さく舌打ちをする。



「……む?ペンがない……」


ヤナギは図書館から出てから十数分後に何となくポッケを確認すると、ペンを忘れたことに気づく。

まだ図書館は空いている時間のため、小走りで向かう。

少し息を切らしながら、門をくぐりドアを開ける。

大きな音を立てながらドアが開く。

声をかけようとするが、人の姿が見えない。


「おかしいな……そこまで時間はかかってないと思うんだが……」


中央に向かって歩き始める。

なんだか、気分の悪くなるような匂いがする。

あまり長くは嗅いでいたくない匂い。

それに、変な音もする。

ヤナギは何やら嫌な気配がし、中央の机の真ん中を上から見下ろそうとする。


「何やってんすか?勝手に近寄らないで欲しいっすね」


「シリウス……いや、ペンを忘れてしまってな。取りに帰りに来たんだ。それに、嫌な予感がしてな。何もないならいい」


「……別になんも無いっすよ。ただ、迷惑な客が来たんすよね。まあ、直ぐに帰したっすけどね」


「そうか……まあいい、それじゃあな」


ヤナギは軽く手を振り、ペンを持ち外に出る。

シリウスは首元を撫でるように触る。


「ん〜〜治したっすけど、やっぱりなんか違和感あるっすね……それに、」


「肉塊の処理って大変なんすよね……だいたい、二百キロぐらいっすかね…………めんどい」


シリウスは黒の袋に包まれた三つの肉塊を見つめながら、処理の仕方を考えていた。

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