探偵
私はとある探偵事務所を訪れていた。私に届いた一通の手紙。そこからなぜか「四津島家」を探し出すことができて――いや、招待されて――その家で、私はいくつかの資料を手に入れた。
それで分かったことは、鞠子は小学生だったということ、六年生で家庭科クラブに入り、クッキーを作れるようになったこと。おそらく母親と二人暮らしだったということ。鞠子はなんらかの異常をきたし、死んだということ。死因は公になっておらず、気になった何者かが家で実験をして死んだこと。
そしておそらく手紙の差出人は鞠子だということ。
私はコピーを取らず、そのまま探偵に渡した。雨宮努というその男は、少し嫌そうな顔をした。
「……あなたは、四津島家に入ることが出来たのですね?」
「ええ」
「それならなぜ私に依頼をされたのですか」
「鞠子がどうして死んだのか知りたかったんです。推測でも構いません」
「……手紙の差出人が鞠子さんではなかった可能性です。本当に、憶測でしかありませんが。差出人は鞠子さんくらいの女の子だったんじゃないでしょうか。彼女には思い人がいたものの、向こうには全く相手にされない。それで心を病み自傷するようになってしまった――――最終的に、彼女は首を吊って自殺したんじゃないでしょうか」
「首吊り? 実験の記録では、首が取れたと」
「はい。でも、その記録では『オーブンから甘い匂いがする』と記されているだけで、クッキーが焼かれていたとは書かれていません。結果を出すことはできても、物を出すことはできないんじゃないでしょうか。だから首吊りロープは出せなかった……代わりに、首が取れるという結果だけが出たのかと思いまして」
「鞠子はその子の霊に影響されたんでしょうか」
「そうだと思います。手紙の中では随分と自分の家を褒めていましたから、その家に留まっているのでしょう。それが鞠子さんに影響して、お菓子作りが好きになり、自傷するようになり、最終的に自殺した……。鞠子さん自身の意思で自傷していたのか、操られていたのか、霊に傷つけられていたのかは分かりませんが」
探偵の言うことはあっさりしていた。最後に「もう二度と四津島家に行ってはいけませんよ」と念を押されたが、そのつもりはない。だって、私が慰めてあげなくちゃいけないから……。




