観察日記
5月20日
女児を模した人形の背中に小さな傷が付く。母親の人形には傷が付かない。
5月21日
男児を模した人形を設置した。女児を模した人形の、脚の付け根と、首筋に傷が付いた。母親の人形は変わらず。
5月22日
女児の人形の傷は増えている。相変わらず母親の人形は無事。男児の人形にも傷は付かない様子。父親の人形も設置した。
5月23日
女児以外の全ての人形は無事。女児の人形のみ、髪や服装まで切りつけられたような跡ができる。
5月24日
ドールハウスのオーブンから甘い匂いがする。精巧に模してあるので小さな料理を作ることはできるが、私は何も手を加えていない。この家の効果であろう。女児の人形の傷は増えている。
5月25日
実験の邪魔になると思い、男児と父親の人形は処分した。母親の人形は相変わらず無事である。女児の人形は首が取れている。おそらくこれこそが四津島鞠子の本当の死因であろう。彼女は自殺などしていなかった。母親の虐待が原因ではない。ここの家には、女児を連れ去る何かがいるのだ。
そして、それは私にも言えることである。私は早急にここから出なくてはいけない。しかし玄関は開かなかった。窓は割れない。この家に閉じ込められたのだ。それなら最後まで記録しようと思う。私が四津島鞠子の死に際を再現できるなら、本望だ。
何かに引っ掻かれているように、首がチリチリと痛む。これは首が取れる前兆なのだろうか?
次第に呼吸ができなくなってくる。視界がゆがみ 、いた い 息 が て




