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帝国の栄華  作者: ロンメル
第二次世界大戦
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開戦から十二時間後の定時連絡でニューヨークへの攻撃を命じられた潜水艦は機会を伺い、夜間に電探に反応が無かったのでニューヨーク沖に浮上した。

「電探再度確認!」

「敵影無し。」

「よし、浮上!哨戒員は艦橋で待機。」

「深度三、二、一、浮上!」

「対空、対艦哨戒厳にせよ。ロケット発射用意!」

「用意よし。」

「一本目、射出!」

ロケットブースターに火が灯り、一本目が放たれた。

「よし、二本目用意!」

「用意よし!」

「テエ!」

再びロケットが発射された。

「三本目用意!テエ!」

月月火水木金金の訓練の成果か素早く三本全てを発射した。

「艦長!対空電探に感あり!」

「哨戒員、噴進弾員は艦内に退避!タンク注水!急速潜行!」

荻野中佐は艦内に入るとハッチを閉めた。

「潜望鏡深度まで潜航!機関無音で待機。」

「潜航よし。」

「潜望鏡上げ!」

「コンソリか、無音航行、深度100、目標、アイスランド、イギリス海軍基地!」

ニューヨークだけではなくてハワイ、ダッチハーバーが襲われたことは米国市民をパニックに陥れた。戦略攻撃を米政府は隠蔽しようとしたがそれすらも失敗した。メディアによってハワイ、ニューヨーク、ダッチハーバーの市街地が日本軍の攻撃を受けたことがさらされたのだ。米政府をも震撼させたこの攻撃に対し米軍は本土防衛を強化して次なる攻撃に備えた。

一方台湾では上陸から五日目、火炎戦車とモンスター重戦車の数によりようやく日本海兵隊の地下陣地線を突破した米軍はガランビ直前で再び停滞した。原因は日本軍遊撃隊で昼夜、場所を問わず出撃しては米軍に損害を与えていた。彼等の迅速な移動を支えているのも地下壕陣地なのだ。更に電気トロッコで予備兵力も南方面へと送り込まれたのも大きい役割だ。航空攻撃を仕掛けても地下陣地には歯が立たずしらみ潰しにやるしか無かった。潰したはずの陣地にいた部隊も転進して別のところから襲う、といったことも行われ米軍はおびただしい死傷者を出していた。北部では第一防衛線にすら穴を開けられずにいた。

「ようし、いい子だ。動くなよ。」

土肥はマークスマンライフルとして使用されていた二式半自動小銃の照準眼鏡を除きこんだ。民家の屋根に設置された3インチ無反動砲が日本軍機関銃陣地の天敵だった。重機関銃もとなりの屋根に設置され歩兵は地上に出られなかった。土肥上等兵は民家の瓦礫からその無反動砲砲手を狙った。呼吸を整えると引鉄を静かに落とした。排薬と同時に砲手が屋根から転げ落ちる。

「よし、命中。」

観測手の熊谷上等兵だ。台湾に配属される前からコンビを組んでいる。迫撃砲の落下音が響いた。その音に合わせて引鉄を引く。犠牲となったのは装填手だ。彼は屋根の上に崩れ落ちた。

「よし、もう一発命中だ。」

履帯の地面を踏む音が廃墟の中にまで響きわたる。

「熊谷、撤退するぞ。」

「いや、戦車が通り過ぎるのを待とう。」

空挺部隊用の短銃身折りたたみ式銃床の三式突撃銃を熊谷は取り出すと三十発入り弾倉を装填した。折りたたんでいた銃床を伸ばすと射撃態勢をとった。やってきたのはチャーフィー軽戦車二両と歩兵一個分隊だった。待ち構えていた対戦車砲座が砲撃し、チャーフィー軽戦車は火達磨になった。戦歩分離を成し遂げた日本軍は機関銃の掃射で歩兵も片付けた。

「よし、狙うぞ。」

レティクルは確実にブローニング重機関銃の射手を捕らえていた。軽い銃声の後に敵兵が屋根の向こう側へと消えた。

「土肥、そろそろ下がろう。敵に居場所を悟られる前に。」

「そうだな。一番近い陣地はどこだ?」

「北へ三百メートルに戦車隊待機壕がある。」

「よし、そこに行こう。」

まず熊谷が三式突撃銃を構えながら脱出し、次に土肥が狙撃銃を抱えて瓦礫の隙間から脱出する。鉄帽を被って姿勢を下げたまま走る。待機壕直前で敵に発見された。潰したはずのブローニングが狙ってくる。

「伏せろ。」

艦艇の砲弾でできたと思われる窪みに滑り込む。地面を銃弾が抉った。照準眼鏡を覗くと敵兵の心臓に叩き込んだ。その隙に待機壕へと入った。待機壕の中には五式中戦車が控えていた。

「なんだ。」

短機関銃を構えて機甲兵が出てきた。

「なにものだ。」

「はい、先程まで狙撃任務に当たっていた土肥上等兵とこちらは観測手の熊谷上等兵です。」

「そうか、任務ご苦労。この壕より至急自陣へと戻られよ。」

素っ気なく指示された。

「はい。ご武運を祈ります。」

「ああ、総員発動機始動!」

電気トロッコが二人を載せて動き出すのと履帯が遠ざかっていくのは同時だった。接近する軽空母から艦載機の目を逸らすため地上では機甲旅団を基幹に台湾警察装甲車隊、機械化歩兵が反攻に出た。

「行け!」

105mm砲を搭載した五式中戦車が履帯で土を踏み鳴らしながら前進する。シャーマンの75mmは通さない装甲で弾を弾いていく。

「テッ!」

105mm砲はシャーマンの砲塔を吹き飛ばした。五式中戦車の前に次に立ちはだかったのはシャーマンとパーシングだったがいずれも105mm砲に装甲を貫通させられた。日本軍機甲部隊に対抗できる対戦車砲座は橋頭堡にしかなく、橋頭堡まで怪しくなるほどの進撃速度で日本軍は攻撃した。勿論空母艦隊にこの報告は届けられ、すぐさま艦載機が出撃した。戦艦は支援砲撃すべきだったがガランビに海軍砲台が展開していたためそれは無理だった。この攻勢は橋頭堡に届くまでにすぐに地下壕に引き上げた。けれどこの作戦は日本軍に甚大な被害をもたらした。支援砲撃を行った砲兵陣地は位置が露見して爆撃を受け続けてかなりの数の重砲が失われたばかりか反撃の主力として温存が決定していた機甲部隊も多数が撃破された。しかしこの虚をついて沖縄から台湾へと隼、鳶が夜間突入した。夜間航空戦も訓練されていた日本軍は沖縄航空隊と軽空母二隻の攻撃の前にチャフを搭載した彩雲八機がその高速を活かして米海軍の電探を曇らせた。直後南東より六式陸攻二四機、これは台湾航空隊の陸攻の稼働できる全ての機体だった。

「いいか、俺達が少しでも艦載機の奴らの負担を軽くするぞ。」

ジェットエンジンが機体を押していく。

「ヨウソロウ、ヨウソロウ、ヨウソロウ、ッテ!」

魚雷が機体の下腹から放たれる。

「よっしゃあ!」

水柱が立つ。三〇ミリ機関砲を放ちながら艦橋をかすめるようにして飛び去った。彼等が雷撃を終えて米軍戦闘機を引き連れて南東に離脱した直後五式艦戦二十、五式艦爆十八、六式艦攻十八が攻撃を仕掛けた。軽空母二隻のほぼ全機体が襲いかかったのだ。戦闘機にすらロケットを搭載していた。夜間奇襲はダメージコントロールを行っていた際の消し切れていない火を目標に次々と爆弾と魚雷を叩き込んだ。結果として損傷で済んでいた艦も放棄された。これに絡めて昼間の機甲部隊の残りと前線付近の歩兵部隊をかき集めて再攻撃に出た。賀谷准将に引きいられた彼等は生き残った砲兵の総力を投じた砲撃で戦車のエンジン音を隠した。続いて歩兵が無声突撃をかける。哨所を各地で迂回した歩兵は弾薬置き場付近で待機した。そして戦車隊が遂にガランビに攻撃をかけていた部隊の側面から進出し、その補給を絶った上で南側から橋頭堡に突入した。歩兵も弾薬置き場に火をかけるとそのまま連隊主力は敵陣内で暴れた。戦車も夜間暗視装置を備えて敵に居場所を悟られる前に対戦車陣地を踏破した。日本軍は米軍が寝ぼけていた間は猛威をふるったが米軍が反撃態勢を整えた時点で歩兵と戦車が分離されていた。歩兵は直ぐに円陣を組んだが戦車はその円陣に合流しようとした部隊もいたが撃破された。結局戦車は夜明け前にほとんど全てが米軍のバズーカや対戦車砲によって撃破された。歩兵も午前八時頃までには壊滅した。文字通り最後の一兵になろうとも敢闘したため賀谷准将も戦死した。日本軍最大の鉾でもあった戦車隊もこの夜襲をもって以降の攻勢には兵力が不足したため栗林将軍は改めて持久作戦を徹底したがすでに第一防衛線の部隊も一部つられて夜襲に参加しており第一防衛線はその二日後に突破された。夜間航空攻撃を仕掛けた部隊は合計で未帰還二十二、米軍の反撃で軽空母鳶が大破して自沈処分という損害を受けた。台湾攻防に手間取っているのと反対に早くもマリアナ諸島、マーシャル諸島は陥落した。同盟はイランから機動艦隊を呼び戻していた。

感想お待ちしております。(ダメ出しでもなんでも構いません)

後活動報告で書きましたが留学関係で忙しくなるのでペース落ちます。ご了承下さい。

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