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異世界召喚された勇者たちののんびり気味逃亡旅  作者: 邑雲
第三章:ダンジョン攻略
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31.ダンジョン初クリア


「あー、5階層ってウベルスなのか。食えないな…」

「そこ?」

「毛皮使えるかなあ…」

「もう服職人っていうより狩人みたいですよ」



誰かの琴線に引っかかることもなかったので、全員で平等に倒すことにした。

というより、1~4階層が何かおかしかったとも言う。何で誰か一人が突出して倒すことになってたんだ。3階層はともかく。

アキ兄さんが大活躍なので、一番経験値溜まってそう。

そういやここに入る前に銀級冒険者が「ウベルス倒せるなら問題ないか」とか言ってたな。5階層がウベルスだったからなのか。

ちなみに上位種はウベルフだそうですよ。

毛皮と牙のドロップを回収しつつ進む。トランタ周辺で狩り慣れてたのもあったのか、サクサク進めた。

ボス部屋に着いたのは昼前だったので、昼食をとってからボスに挑むことにした。

まあ、ボス部屋があと30分開かないってのも理由だけど。



「前の人、最下層まで進んでたのか」

「まあ初心者用だし、引き返すほどでもないんだろ」

「一応一階層ごとに帰還用転移陣ありましたけどね」

「一階層ごとにあるの親切だな。これが初心者用の仕様か。ダンジョン街のとか、5階層ごととか書かれてたはずだし」

「マジか、大変だな。攻略しようとしたら大荷物になりそう」

「それこそポーター連れてくんじゃない?てか、ポーターだとこの階にあったような落とし穴に落ちたらまずいよね」

「まあ見てわかったから落ちなかったけど」

「わざと落ちたアキ兄さんは反省してください」

「どの程度か調べた方がいいと思いましたごめんなさい」

「まさか中に泥があったとは…ハルの洗浄がなかったら大惨事だったな」

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

「あれ見て絶対落ちるかって覚悟決まったからよかったんじゃないか?むしろアキ兄さんがやってなかったら僕が落ちてたぞ」

「兄貴ども自重して」

「ギルドの人から落ちても問題ないとは言われてましたけど、穴に針山とか普通にありえるんですから、もうしないでください」

「はい…」

「気を付けマス」

「リオ兄、これ絶対やるやつだよ」

『リオ様???』

「う…」

「危険なものは触らない!鉄則でしょう!どの程度のものか確認なんていりませんから!」

「あい」



いや、まあ、僕ほど斥候に向いてない人間もいないだろうけどさ。

毒効かないし、あっちでも瘴気とか効かないから、あるのかないのかの判断が出来なかった。

でも子供を守るためならやった方がいいかなって…あ、ジト目で見られた。ごめんて。


ご飯食べて腹休めをしたら、ボス部屋に突入だ。

ボスの相手は僕とハルが務めることになった。ウベルスは狼で、スピードタイプだからだ。ボスのウベルフも同様。

この中で俊敏が高いのが僕らなので、速さに翻弄されにくいだろうという理由でこうなった。あと物理攻撃なので僕の『物理壁』も使えそうだし、とのこと。

ボス部屋を開いて目に入ったウベルフはでかかった。ウベルスの1.5倍はある。そして取り巻きのウベルスは10匹。多いな。さすが最下層。

このダンジョンは土でできた洞窟タイプで、石もごろごろ転がってる。牽制のために石を蹴り飛ばした。ハルも投げていた。

『投擲』スキルがあるので、命中して怯んでたので効果はあったらしい。

その怯んだウベルスが2匹固まっていたところに、アキ兄さんが『衝撃波』をぶち込んで倒していた。剣筋が2つ見えたので『倍化』も使ったらしい。

先制攻撃で2匹減った。



「よし、行ったれ!」

「頑張って!」

「よし、行くぞハル!」

「はい!」



こっちに向かってきたウベルスの一匹の前に物理壁を出せば、思い切り顔からぶつかって転んでいた。

ちょくちょく牽制を挟みつつウベルフの相手をする。牙や爪の攻撃は脅威だけど、当たらなければどうということはない。

物理壁、一回の攻撃なら無効化できるからなあ…

こっちに向かって爪を繰り出してきたが、横から拳で叩いて体を捻って躱す。いやあ、今さっき護身術が4になって『回避補正・微』が生えたからな。

物理壁さん使いまくってたら護身術の経験値かなり溜まったらしい。すごい。

これで体勢を崩したのか、それを狙っていたのか、ハルがウベルフの目にダガーを突き立てていた。

目の攻撃の理由、目潰しの杖の影響とか言わんだろうな。大丈夫だよな?

当然ウベルフは絶叫していた。上を向いていたので、ハルが喉元を掻き切り、僕が腹のあたりを蹴り飛ばし、ウベルフは霧散してドロップになった。

牙デカっ。



「よし、あとウベルス4匹だ!」

「っしゃ、手伝う!」

「そっちの1匹、私が倒しますー!」

「よろしくー!」



消化試合はさっくり終わった。

牙と毛皮のドロップは、とりあえず毛皮はナズが使うかもしれないのでとっておき、牙はいらないのでラムのご飯になった。

だって虫歯みたいだったり欠けてたりするし…実際、使えないドロップだそうだ。一応冒険者は討伐証明だから回収するそうだけど。

ただ、ボスドロップの牙はちょっとデカイし丈夫みたいなのでとっておくことに。いつか使うかなこれ?



「ええと、これでダンジョンクリアですかね」

「そのはずだよなー。この扉開いたら、階段じゃないんだよな?」

「多分最奥のはずですね」

「てことは、コアがあるのか。あとクリア報酬?コアはスルーとして…」

「報酬何かなあ」

「料理が楽になるやつがいいな」

「そんなピンポイントな」



扉を開いて奥に進むと、すっきりした部屋だった。

頭より遥かに大きい球体が浮いている。多分これがコアだろう。そっちには用がないので、真ん中にある魔法陣っぽいところまで進む。

魔法陣に足を踏み入れると、光が目の前に現れた。



「わ!?」

「あ、これ、報酬です。触ってください」

「そうなの?わかった」



光は4つ。それぞれの前に現れた。うん、全員に1つずつあるらしいな。従魔分は含まないんだろう。

触れると、光が形を変えて手の上に載った。箱だ。開けて中を覗くと、これは…



「ポーションだ」

「私の、これ、何でしょう…ブレスレット?何この玉」

「あたし、風魔法スキルだって」

「生活魔法って何?」

「魔法!?凄いじゃないか!いいなあ!」



確か報酬にスキルもあったけど、ピンポイントで魔法を引き当てたのか。

鑑定すると、確かに『風魔法LV1』と『生活魔法LV1』が増えている。ちょっといい報酬のはずが、かなりいい報酬なんじゃないだろうか。

ハルのは確かにブレスレットというか、腕輪のように見えた。何か玉みたいなのがついていて、玉の上?に穴が空いてる。何だこれ。

鑑定すると『魔力変換装具(針)』と出た。どうやら装備者の魔力を針の形に生成するものらしい。生成されたら玉の穴から針が出るんだろう。

これ、ハルにはかなりありがたいやつでは?だって針って多分短剣術の範囲だろうし、投擲に使えるし。



「た、確かに…分身で苦無を投げた時みたいなことが出来るかも…あれより消費MP少ないなら、すごく使えそうです!」

「は、針って、縫い針とか出来る!?」

「いや、一時的に針の形を生成するだけで、分身と同じようにすぐ消えるタイプのやつだ」

「私もそんな気がしますね。まだ使ってないですけど、感覚的に…」

「僕は無機物干渉スキルがそう言ってる感じがするから」

「じゃあ絶対そうじゃん。あたしには使えないやつだ。実体の針を待ちます」

「てか、縫い針みたいに穴空いてないだろ、多分…」

「そうですね…あ、出ました。あー、縫い針は無理そうですね」



腕輪についた玉の穴から針が出た…というか、生成されたのだろうか?

手のひら側に玉があるので、すぐ手に取れる。ちょっと腕時計みたいだ。女性って内側に時計向けるっていうし、あんな感じ。



「何か病院とか鍼治療とかで使いそうな針じゃね?」

「そうだな。指より多少長いくらいか」

「ある程度調整はできそうですが…あ、消えました。10秒もちませんね。攻撃には充分ですが」

「ハルの戦力が上がった…」

「消費MPは?」

「分身より全然少ないです。普通に使えそうです。短剣術の恩恵もありそうですし、いいやつです!」

「あれ、針って短剣術なんだ?」

「短剣術って短い刃物って括りだから針がよっぽど長くない限り範囲内なんだと思う。このくらいの長さなら余裕で短剣なんだろ」

「そういや武器屋のオッサンも短剣系で針出してきてたよな。ナズ武器屋行ってないから知らなかったか」

「へー!知らなかった、ひとつ賢くなった気分!」

「もっと長いと剣術の範囲になるのかな」

「多分そうですね。でもアキ兄さん、10秒で消える長い針、使います?MP使えば出せそうですけど」

「使わん。投擲スキルもないし俺はいいよ」



苦無分身がいらない子に…あんなに活躍したのに、と思ったけどそれはそれで使い道はあるらしい。

まあまず形が違うしな。針は細いけど(長さの変更はできても太さの変更はほぼ出来ないらしい)苦無はそれなりに幅が広い。

傷口の大きさが違ってくるし、どうやら苦無そのものをコピーするので、苦無に仕掛けをしていたらそれも反映するらしい。分身だから。

苦無に仕掛けって何…と聞いたらニヤリと笑われたのでそれ以上聞けなかった。

毒とか仕込まんだろうな。せめて唐辛子とかその辺に…いやそれもヤバイか。

ともかく、苦無は投げやすい形状でもあるし、それなりに使えそうなので今後も使うつもりと言っていた。

使えば使う程慣れて分身の消費MPも減るだろうし、とのことだ。



「リオくんのはポーション?地味にありがたいやつだ」

「うん、えーと5種類あるな。ポーション、上級ポーション、マナポーション、上級マナポーション、…え、エリクサー…?」

「は?」

「待ってください。幻聴が聞こえた気が」

「エリクサーってやばいやつでは?」

「いや、上級ポーションも大概やばいですよ」

「あのさ、10本あるよな。2つずつ5種類…?え、エリクサーは1つだよな…?」

「いや…ぜんぶ、2つずつ…」



何度も鑑定したので間違いない。

それ聞いて三人は口をぽかんって開けてしまった。

可愛いけどちょっと間抜けに見える。



「あかん」

「これが一番やばいやつかもしれない」

「さすがに死亡は回復できないけど、欠損回復するし全状態異常も回復するしHPもMPも全快…あかんやつだ」

「リオ兄さん、ラストエリクサー症候群あります?」

「ある。めっちゃある。RPGでもエリクシールとか万能薬的なやつ使えず死蔵するタイプ」

「よし、カーくんに置いときましょう。棚の中、ポーション系は密閉空間にあったら劣化しませんから。アイテムボックス内だと永久に保存できるはず」

「へー、そうなんだ?」

「日光が当たるとだめなのか空気の流れが悪いのかはわからないそうですが、マジックバッグの中とかアイテムボックスの中だと一切劣化しないそうです」

「エリクサーも?」

「そのはずです。というかそういう薬品系は全部そうです」

「…うん、カーくんの棚に入れとくわ。使った方がいいって場面あったら遠慮せず使っていいからな」

「リオ兄さんから許可出ましたよ。リオ兄さんがまた何かやらかしそうだったら使いましょう」

「せやな。いつかとんでもねえ怪我しそうだし、この人」

「大賛成」

「あれ!?」



何か意図してない方向に話まとまってない?いいけど!

それにそこまでやらかしては…ないだろ…多分…

とりあえず、魔法陣から出てコアの前まで進む。こうすると、ダンジョンを脱出できるそうだ。

コアがクリアした人を外に出すらしい。なので大人しくコアの前に全員並ぶと、床が光り出した。

どうやらアキ兄さんにアナウンスがあったらしい。『脱出しますか?』みたいな。それに是と答えたんだろう。

光が止むと、そこはダンジョンの入り口だった。



「おー、外だ!」

「久々の日光ですねぇ」

「やったー、初攻略!」

「うおお、まぶし…」

『目が眩みますのー』

「ぴっぷ~…」

「あー、地下にいたもんだからなあ」



周りに誰もいないし、ということでダンジョンから少し離れた場所、少し広い場所でカーくんを出した。

全員で乗り込んで落ち着く。



「ボス戦前に休んで、まだ1時間ちょいしか経ってないのにもう懐かしい」

「おうち帰ってきたーって感じするよね…」

「どうします?すぐ出発します?」

「改めてステータス確認する?」

「あ、そうだな。何だかんだ落ち着いて見れてなかったかもしれない」

「レベル上がってもスルーしたりしたもんねぇ」



洗浄で汚れをとって、ポーションたちは棚に収納した。

アキ兄さんは飲み物を用意してくれた。ありがたい…



「とりあえず、順番に鑑定かけて確認するか?」

「そうだなー」



まあ、そこまで劇的に変わってはいないだろうけど。



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