28部
「聞いたか、昨日の夜に組織犯罪対策課の方で指定暴力団の事務所を一斉に家宅捜索したらしいで。覚せい剤やら、違法薬物の他に銃器類も多数押収して、組は完全に崩壊状態らしい。
今まではこんなに厳しい捜索はしんかったらしいけど、今回は床から天井からはがして至る所を捜索したから、やばいもん全部見つけられたらしいで。」
竹中が今川と三浦に話していた。ちょうど捜査の間に部屋に戻ったところで、三浦と会った竹中が話していたのだった。三浦が
「知ってますよ。今、警視庁内はその話ばっかりですからね。公務執行妨害で100人以上捕まえてきて、その他の偉い奴らも罪状を付けてしょっぴいて来たっていうので人手が足らなくなってるらしいですからね。」
「かなり思い切った捜索をしたんですね。しかも捜索を始める前にほとんどの構成員を捕まえてから捜索の邪魔をさせないようにしてたって噂もありますよ。」
今川もいい、竹中が
「でも、色々わかって来たらしいで。
山本が襲われたのもどこかの政治家に頼まれて、山本が持ってたUSB目的やったらしいしな。
他にも、覚せい剤の売人の話とか輸入のこともかなり強引な取り調べやけど吐かせてるらしい。」
「そんなことする刑事が組対課にいたんですね。知らなかったですよ。」
今川が感心したかのように言い、竹中がため息をついてから、
「いや~、それがちゃうねん。
その指揮を執ったのがうちに配属されててまだ来てなかった伊達やねん。
構成員の中には鼻の骨折ったり、肩を脱臼させられてたり、腕の骨折られてたりと、まあ、かなり違法捜査ぽいこともしてるらしいで。」
「そんなことして責任は誰が取るんですか?」
三浦が聞くと、竹中は肩をすくめて
「俺もようわからんけど、伊達の上司は黒田ちゃんになるわけやけど、組対課が主導した捜索やったから向こうの課長が取るんかもしれんけど、誰にもそのへんはわからんな。」
「山本さんを襲わせた政治家はわかったんですか?」
今川が聞き、竹中が
「さすがに組長クラスになると、そのへんは死んでも吐かんやろな。
暴力団なんやから警察に捕まることくらい何とも思ってないけど、政治家とか裏でつながりのあるやつらに目を付けられると命の危険があるからな。」
「上田さんが連行して来た奴らもそんなこと言ってたらしいですからね。
上田さんの取り調べた二人は正直に話して、身柄の安全を要求してるそうですよ。」
三浦が言い、今川が
「でも、そんなに重要な証言はなかったみたいですよね。下っ端過ぎて何も知らなかったみたいですし。」
「でも、あれやろ、佐和田さがしとった奴の名前くらいは話したらしいから、そいつ探して情報聞けば、佐和田のことについてわかるかもしれんからな。
まあ、取調べが進むのを待つしかないんやけどな。」
「どっちにしても、伊達って刑事の処遇次第では俺らの方にもシワ寄せきそうですよね。」
「まあ、しゃーないやろな。」
三人は何となく不安になり、同時にため息をついた。




