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22部

「ほな、捜査会議を始めるとしよか。」

 山本以外が集まり、竹中が言い、続けて

「じゃあ、俺らの調べたとこから行くわ。

出版社、特に週刊晩夏の井上っていう編集長の話では、印刷会社に出版社を装って原稿を送って、週刊紙の記事を差し替えてたみたいやな。記事の出元はおそらく、佐和田と名乗ってるブラックジャーナリストや。」

「佐和田についてですが、免許証などの身分証では該当する登録者はいませんでした。」

 上田が報告し、藤堂が

「それから議員の贈収賄事件ですが、捜査二課が裏どりした結果、全ての事案で確証を得ているみたいです。」

「ほな、ガセネタで議員をゆすってるんやなくて、事実を突きつけてホンマに追い詰めてたってことやな。」

 竹中が言い、三浦が

「議員などに対する嫌がらせも、かなり度を越えたものが出てきてます。投石だけじゃなくて、敷地内に侵入して窓を割られたり、庭に置いてあったオブジェを破壊された等の報告もあります。

 残念ながら、犯人の特定には至ってませんし、使用された石などからも犯人の特定に繋がる指紋などの証拠は出てないそうです。」

「公衆電話の使用者の割り出しは?」

 竹中が聞き、加藤が

「付近の防犯カメラを調べましたが、人影すら写ってませんでした。」

「どういうことや?公衆電話が使われてたんやろ?」

 竹中が不思議そうに聞き、加藤が

「海外の電話代行会社を利用したか、あるいは特殊な機械で番号を偽装したのではないかと思われます。」

 上田が、

「じゃあ、その公衆電話からの連絡をしたやつは犯人グループの可能性が高いということだな。」

「そうなりますね。一般人にそのような機械やサービスを利用して電話番号の偽装をする技術がまだ広まってませんし、こういった行為をするのは詐欺グループの手法に近いですからね。」

 三浦が言い、竹中が

「週刊誌のネタをさかのぼった結果はどうやったんや?」

「山本警部の推理通りに、三橋元教授の論文盗作や、その他の黒い噂の記事が、かなり多くの出版社から出てました。三橋元教授の近所の人の話では窓ガラスが割られるイタズラも壁に落書きされることも、電話の音がずっと鳴りやまなかったこともあったそうです。」

 三浦が言い、竹中が

「三橋の自殺を見つけたんは誰やったんや?」

「それが、電話が急に鳴らなくなって、家の中で花瓶が割れるような大きな音がして、近所の人が様子を見に行ったところ、大きな花瓶を足場にして首をつっていたということです。」

 加藤が報告し、今川が

「おかしくないですか?自殺する前に電話が鳴りやむのは?」

「そうですね、自殺した後で鳴りやむならわかりますけど、自殺する前に電話が鳴りやむとすると自殺することがわかったから電話しなくなったのかと思えちゃいますよ。」

大谷が言い、竹中が

「近くで見張ってたか、盗聴器などを仕掛けて様子を把握していたかってことか?」

「たまたま、電話が途切れた時に自殺したとも考えられるんじゃないか?」

 上田が言い、加藤が

「でも、自殺する前の電話の大半は公衆電話からでした。他にもイタズラ電話をした人はいましたが、その人達の番号は自殺した後も続いていたので、今川さん達の言ったことが正しいかもしれません。実際、自殺した後には公衆電話からの着信は無くなってましたし。」

 竹中が

「それなら、盗聴器が仕掛けられてんかったかと近所に見張れるような建物がなかったか調べてくれ、そうやなこれは上田と藤堂に任せるは。

 三浦加藤は今、発売されてる週刊誌で叩かれてる政治家が誰かと内容を調べてくれ。

必要に応じて、その人物の保護も頼む。

 俺と今川は印刷会社を回って、記事の送られ方から、出元の特定やな。

もし佐和田が死んでるなら、今出てる記事の出元は誰なんかってて話やからな。」

「あの、僕はどうしたらいいでしょうか?」

 大谷が言い、竹中が

「ここで待機して、情報が集まったら山本に教えてくれ。あと、俺が週刊晩夏に流した情報の結果が出てないかを上杉刑事部長に聞いといてくれ。これは大谷しかできんからな。

 じゃあ、そういうことで今日はこれまでや。各自捜査に戻ってくれ。」

竹中がそう言うと、全員が「はい」と言って、捜査に向かおうとしたところで、課長室のドアが開いた。


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