第2話
前略。
死んだと思ったら転生されられそこは………………巨大な文鳥が住まう世界でした――――――
大きい、なんという大きさ。
人間よりも二倍近くあろうサイズのそれ…………文鳥は威嚇のポーズをとっている。
色は………………全体がグレーだから並文鳥か…………
デカい黒目はつり目になっていて赤く鋭いクチバシは今から襲わんとするピリついた空気の中――――――
私は巨大文鳥をうっとりと眺めていると鎧を着た男に首根っこ掴まれて後退させられた。
そのまま引きずられて茂みの中に隠れさせられる。
「な、何するんですかっ!」
「それを言いたいのはこちらの方だ!無防備に加えてぼーーっとしてるなんて死にたいのか!!!奴らのクチバシの強さを知らんのかっ!」
「強さ??文鳥が???」
男達はまるで文鳥のクチバシが危険かのような口ぶりで文鳥から距離をとっている。
危険…………危険かぁ、鋭利なクチバシを持っている鷹などの肉食鳥類やコザクラなど力が強いインコならともかく…………文鳥のクチバシはそこまで脅威はない。
瞬間的な痛みはあれど腕が血だらけになる事はない。
や、ササクレを引っ張られた時は痛いけども…………と思考を巡らせて想像しているのは元の世界の文鳥なのだと思い出した。
小さい姿ならともかくここまで大きいと力の強さも段違いなのでは…………?
そういえば…………昔もし文鳥が大きかったら…………のもしもの想像をしたことがあったっけ。
飼っている小鳥が巨大だったのなら…………ある一定数の人は想像したことがあるだろう。
しかし文鳥は愛らしい姿とは裏腹に少々凶暴な面を持つ、いや文鳥飼いはそこも愛しているのだが…………
もし力が桁違いに強くなり、元々の文鳥の性格と合わさると………………
私は先ほどの男の装備を改めて観察する。
前身鎧に襲われているのは当然、頭には兜を被りとある箇所が出ないようになっていた。
その部位は………………
「あの、もしかして耳が隠れているのって…………」
「そうだ、奴らは気まぐれに人間を襲うが…………特に一箇所部位が表に出ていると狙われやすい、何人の耳が犠牲になったことか…………」
私は思わず耳を押さえた、確かに力が増しているあの文鳥なら耳を引きちぎっている姿も易易と想像できる。
きっと文鳥にとってはササクレと同様なのだろう…………
「そして奴らは主食は穀物だがある一定の割合で人間の皮膚や血を好むタイプがいると判明し…………なんだ、その顔は…………まるで分かってるじゃないかみたいな誇らしげな顔をして…………お前詳しいのか詳しくないのかどっちなんだ…………?」
「うんうん、文鳥は血吸いますからねぇ〜〜」
飼っていた子のうち、血を好む子がいた。
ササクレを引っ張しそこから滲み出た飼い主の手をチュウチュウとクチバシから吸うのだ。
死ぬ前に飼っていた子はササクレやカサブタの味を気に入ってしまったのか執拗に狙うのを何とか阻止しようとしていたのを思い出す…………
ああ、文鳥。おお、文鳥…………
触れ合いたい、もふもふしたい、匂いを嗅ぎたい、戯れたい…………とそんな思いが湧き上がってくる。
あの羽根の、えんがわの、お腹あたり、色んな所に埋もれたい………………
「もう!我慢出来ない!!!!」
「え、お、おいっ!!!待て!!!危険だ!!!死ぬぞ!!!!」
「文鳥なら本望!!!!いや!!死なずにもふもふしたい!!!!」
文鳥に突進し怒り狂う文鳥にそっとタッチする。
無論、野生なので元々威嚇していた文鳥は抵抗の為にクチバシで体を掴んでブンブンと振る。
すごい、これが文鳥に挟まれるという感覚…………!以前文鳥のクチバシで指を甘噛みされた時みたい……!とうすら笑う。
「あ、あいつ…………前身骨折しているはずなのに…………なんで笑顔なんだ…………?」
「ここが天国か……?みたいな顔してますよ…………血だらけなのに……」
と文鳥にされるがままぶんぶんと振られたかと思いきやぺいっと地面に捨てられる。
どうやらこの行為に飽きたらしい、文鳥はこちらに危害を加えると思っていたのか片目でじーーーっと様子をみている。
「大丈夫だよ、何もしないから…………あっ、少し触っちゃったか、ここで…………君を見てるだけだから…………ナニモシナイヨ」
「……………………」
ほくそ笑むヘンタイに文鳥は嘘つけと怪しい視線が飛んできたが少なくとも他の人間と同じように鋭い物を持っていない…………と判断したのか、敵意がないと分かってくれたらしくそのままどこかへと飛び去ってしまった。
文鳥が居なくなったと分かるな否や茂みの中から鎧男達がわっと出てきた。
「あ、あんた…………!怪我は…………!大丈夫かって…………いや大丈夫じゃないたらうけど…………とりあえず医者に!」
「え?怪我?ちょっと痛かっただけでそんな大怪我…………わっ、血塗れ!?!?」
「自分のことなのに何で驚くんだ…………とりあえず着くまでの辛抱だが応急措置を…………って、傷がない!?
こりゃどういうことだ…………?」
「ほ、ほんとだ、そういえば爪が皮膚に食い込んだ気がするけど、気の所為?」
「あんた…………もしかして別の世界から……?その妙な格好もそうだとしたら頷ける…………詳しいことはここじゃ分からんし……」
鎧男達は顔を見合わせ頷いた。
「とりあえず俺たちの村まで来い、そこにいけば異世界に詳しい神父様が教えてくれるだろう」
ここがどこからも分からない私はひとまず彼らに着いていくことした――――




