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ダイバージェンス・フィーネ  作者: 黒陽 光
Chapter-03『DANCE WITH CRISIS』
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第五章:SWORD BREAKER/02

『オラァァァァッ!!』

『さあ、見せてみな……おめえさんの実力ってのをよ』

 ほぼ同時に飛び出した二騎が、真っ向勝負でぶつかり合う。

 壁掛けテレビに映るそんな二人の戦いの様子を、食堂の壁にもたれ掛かりながら……フィーネはじっと見つめていた。

「……始まりましたね、お二人の試合」

 そんな彼女の隣にやって来たフレイアが、同じ壁掛けテレビを見上げながら呟く。

 フィーネはうむ、と目を逸らさずに頷いて。

「この勝負の行方を、お前はどう思う?」

 と、隣に立つ彼女に問うてみる。

 問われたフレイアは「んー……」と少しだけ思案した後、

「……ナイトメイルとしてのスペック、単純な強さでいえば、間違いなくファルシオンの方がソードブレイカーを圧倒しているでしょう」

 そう、冷静な彼女らしい視点での分析を語ってくれる。

「互いに近距離戦型ではありますが、ファルシオンには背中の翼による機動力と防御能力、なにより例の破壊光線……ファルシオンブラスターがあります。隙は大きいですが、大きな切り札ですね」

「使いどころが問題だな」

「ええ。でも能力的には間違いなくウェインさんが優勢です」

「ふむ……」

「ですが……相手が相手です。この試合がどう転ぶかは、正直言って未知数ですね」

 フレイアらしい、本当に冷静で的確な分析だ。

 確かに単純にナイトメイルの強さだけで言ったら、ファルシオンの方が圧倒的にソードブレイカーより勝っているのは事実だ。

 得意の空中戦……はあの閉所では生かしづらいだろうが、しかしプラーナウィングを盾にすれば防御も十分だし、何よりも……彼にはファルシオンブラスターという切り札がある。

 そういう意味では、ウェインに分がある戦いだ。

 だが……ミシェルの怖さはあの底知れなさだ。

 ここまで楽に勝ち上がってきた男だ。ミシェルの魔導士としての実力は恐らくウェインと互角、あるいはそれ以上な可能性だってある。

 それをフレイアも見抜いているからこそ、どう転ぶか分からないと言ったのだろう。

〈……読めませんね、この戦いの行く末は〉

 そんな二人の会話の最中、そう言うのはフィーネが首から下げた銀色のペンダント――ジークルーネだ。

〈ボクもそう思うな。ソードブレイカーはとにかく頑丈だからねー、いくらファルシオンでも苦戦するんじゃないかな?〉

 と、続けて聞こえてくるのは朗らかな少女の声。

 フレイアが左中指に嵌めた、赤い宝石の指輪から聞こえてくるそれは……デュランダルの声だ。

 低く落ち着いたジークルーネの声と、少女のような甲高いデュランダルの声。

 二人のナイトメイルの女声が聞こえる中、フィーネたちはじっと戦況を見守る。

「ルーネ、お前はどう思う?」

〈……今のところは互角、ですね〉

「デュランダル、貴女はどう感じますか?」

〈うーん……開けたところならともかく、あんな場所だからねー。環境っていう要素に関しては、ウェインくんとファルシオンの方が不利だけど〉

「そこは、上手く立ち回れていますね」

〈だね、やっぱり強いよ彼は〉

〈当然です、ファルシオン兄様も一緒ですから〉

〈あはは、そうだねー〉

「……しかし、ブラスターを撃つほどの隙は見せてくれんか」

 ナイトメイル二騎が話す中、フィーネは腕組みをしたままひとりごちる。

 呟きながら、フィーネはチラリと隣のフレイアの顔を横目に見ると。

「一応訊いておくが、お前ならばミシェル・ヴィンセントに勝てるのだな?」

 そう、確認じみたことを彼女に問う。

 するとフレイアは「はい」と即答して、

「ミシェルさんはかなりの強敵ですが、状況を整えれば必ず」

〈現に何度もボクらは勝ってるからね、ソードブレイカーには絶対に負けないよ〉

 デュランダルと一緒にそう、力強く断言してみせた。

 それを聞いたフィーネはそうかと小さく頷き、

「ならば、安心だ」

 と、肩の力を抜いたような仕草をする。

 それにフレイアが「どうしてですか?」と問えば、フィーネは「簡単なことだ」と言い。

「お前が勝てる相手……ならば、ウェインは必ず勝つさ」

 そう、いつもの自信たっぷりな声と表情で答えてみせた。

 ……それと同時に、フィーネは心の中で彼に語り掛ける。

(ウェイン、必ず勝て。そして見極めてみせろ……奴がどういう男なのかを、お前のその拳でな)

 壁掛けテレビが映し出す、彼の戦いを見守りながら……フィーネは胸の中でそう、呟いていた。

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