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ダイバージェンス・フィーネ  作者: 黒陽 光
Chapter-02『金色の姫騎士』
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第一章:少女の抱く想いと、月夜に祈る願いと/02

「――――突然ですけど、次の模擬戦の予定が決まっちゃいました」

 朝のホームルームが始まった直後、エイジが皆に告げたのはそんな突拍子もない一言だった。

「今度は二対二のタッグマッチ、対戦カードはウェインさんにフィーネさん、雪城さんとフレイアさんのペアですね」

 続けてそんなことも口にすれば、途端に教室はざわざわとざわめき始める。

 無論、言われた四人は他のクラスメイトよりもずっと驚いていた。

「タッグマッチ、ですか……先生、どうしてまた急に?」

 と、フィーネがあくまで冷静な声で問いかける。

 するとエイジは「えっとですね」と爽やかな笑顔で応えて、

「先日、ウェインさんと雪城さんの決闘があったでしょう? あれが他の先生方の間で非常に好評だったみたいでしてね。そのせいか、他の生徒の後学のために……と、先生方から是非にと頼まれてしまったんですよ」

 また模擬戦の予定を組んだ理由を、簡潔に説明してくれた。

 ――――先日の決闘。

 言うまでもないが、ウェインと風牙がフィーネを賭けて死闘を繰り広げたあの決闘のことだ。どうやらあの激戦が、エーリス魔術学院の教師陣の間でえらく話題になったらしい。

 まあ、さもありなんという奴だ。かたや転入生が駆る謎のナイトメイル、かたや雪城コンツェルンが総力を結集して造り上げた珠玉の魔導騎士。それを駆る魔導士二人も恐ろしいほどの実力の持ち主となれば……教師陣が度肝を抜かれるのも当然だろう。

 無論、そんな戦いは見ようと思って見られるものではない。間違いなく他の生徒たちにとってもいい勉強になったはずだ。

 だからこそ、エイジに再戦を強く頼み込んだに違いない。

「タッグマッチ、ねえ……良いじゃん、面白そうじゃんそれ。ウェインの野郎にリベンジも出来るし、何よりフィーネちゃんともいっぺん戦ってみたかったんだよね。俺っちは乗ったぜ、この話」

「私も構いませんよ、なんだか面白そうですから♪」

「なるほどな……他なら断っていたところだが、ウェインと組めるなら話は別だ。私は一向に構わんが、お前はどうする?」

「へへっ、言うまでもねえだろフィーネ? 俺が乗らねえわけねえだろうが。タッグマッチ……面白え、やったろうじゃねえか」

「お前ならそう言うと思ったよ。――――先生、そういうことですので」

「はい、皆さん快く引き受けてくださってホッとしました。模擬戦は来週の金曜日、今回の場所はアリーナエリアの仮想都市フィールドに決まりました。今回は前よりも多くの方々がご覧になるはずです……四人とも、期待していますよ?」

 ウェインたち四人が快諾し、エイジがいつも通りの爽やかな笑顔でそう言った頃、チャイムの音色が鳴り響いて……少しだけいつもと様子の違った朝のホームルームは終わりを告げたのだった。

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