第九章:天の雷/02
そんな二人の熾烈な戦いを、フィーネたち三人は管制室で固唾を飲んで見守っていた。
「これは……予想以上に凄まじい戦いぶりですね」
真剣な表情で呟いたエイジに「ええ」と、フレイアもまたシリアスな顔で頷き返す。
「正直言って、私も驚いています。ウェインさんの実力は、私の想像を遙かに超えています……でも」
「でも、なんですかフレイアさん?」
「……それ以上に、あんなにムキになっている風牙を……私は初めて見ました」
「――――それは私も同じだ」
と、横から話に入ってくるのはフィーネだ。
彼女もまた腕組みをしながら、二人の戦いを真剣なまなざしで見つめている。一瞬だって目を離せないほどの、熾烈な二人の決闘を。
「あんなに楽しそうに戦うアイツ……私だって、随分と久し振りに見た気がする」
続けてそうフレイアに呟きながら、同時にフィーネが内心で思うこと。
(つまり、奴はそれだけの相手ということだ……雪城風牙、やはり侮れん男のようだな)
それは――――ウェインをああも興奮させるほど、彼は強いということだ。
そんな相手に彼が巡り会えたこと自体は、素直に喜ばしいことだとフィーネは思う。だが同時に……胸の奥でチリチリとした、どうしようもない危機感も彼女は抱いていた。
(…………熱くなり過ぎるなよ、ウェイン。お前の持つその翼は……ファルシオンは、ただのナイトメイルじゃないんだ)
腕組みをしながら、どこか憂いを秘めた瞳で……エイジやフレイアとともに、フィーネはただじっとウェインたちの戦いを見つめるのだった。




