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ダイバージェンス・フィーネ  作者: 黒陽 光
Chapter-03『DANCE WITH CRISIS』
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第七章:エスピオナージ・オペレーション/01

 第七章:エスピオナージ・オペレーション



 ――――それから数日後の、夜更け頃。

 ノーティリア帝国を構成する二つの大きな島の片割れ、西のトリニティ島。その南部沿岸の洋上にある一隻の豪華客船。そこにウェインとフィーネ、二人の姿はあった。

 船内のカジノフロアの中、二人はそこのスタッフに扮して潜入している。

 ウェインは白黒のウェイター姿で、そしてフィーネはというと…………。

「いくら潜り込むためって言ったってよ……」

「なんだ、不服か?」

「逆に平然としていられるお前がすげえよ……」

 肩を竦めるウェインの横に立つ、フィーネの変装。

 それは――――何故かバニーガールの格好だった。

 そう、あのバニーガールだ。エナメルっぽい質感の青いバニースーツに、脚には濃いめの黒タイツ。頭にも可愛らしくウサギの耳なんか着けている。露出度は言わずもがな、肌面積は超大胆そのものって感じだ。

 あの時、寮でアタッシュケースを開けた二人が思わず顔を見合わせたのも、このバニースーツに目を疑ったから。マトモじゃない衣装チョイスだとすら思ったほどだ。

 ……が、蓋を開けてみればどうだろうか。

 二人が居る船内カジノフロアには、意外と同じような格好のバニーガールが多い。悔しいが、紛れ込むなら確かにこの恰好が一番だ。

 ……尤も、マトモじゃない衣装なのは疑いようもないのだが。

「とりあえず、今は適当に探るとしよう」

「……お、おう」

 そんなバニーガールの格好でも平然とした様子で振る舞うフィーネに、ウェインはどうにも戸惑いつつも……二人でスタッフを装って歩き出す。

 そうして二人でスタッフとして振る舞っていれば。

「ふふっ……なんだ、私に見とれているのか?」

 小さく笑いながら、フィーネが小声でそんなことを言ってくる。

「ばっ、なわけ……」

 そんなわけない、とは言い切れない。

 何せ今の彼女の格好はバニーガールだ。ただでさえ絶世の美少女そのものなフィーネが、そんな刺激的な衣装を着ていれば……嫌でも無意識に視線は向いてしまう。

 すると、そんな彼の反応を見たフィーネはふふっとまた笑って。

「心配しなくても、帰ったら個人的に見せてやる。好きなだけ……な?」

 なんて風にからかってくるから、ウェインも「あ、あのなあ……!」と微妙な反応しかできない。

 それを見たフィーネはまた小さく笑い。

「とにかく、今は任務に集中しろ。ここからは別行動だ……油断するなよ?」

 そう言って、ウェインとは別方向に歩いていってしまう。

 素肌を大きく見せたフィーネの背中は、すぐにカジノの人混みの中に消えていく。

 彼女の言った通り、ここからは別行動だ。ただでさえ広い船の中、二人で別々に探索した方がいいのは言うまでもない。

 だからウェインはやれやれ、とまた小さく肩を竦めてから。

「……よし、俺らも行動開始だな」

 と言って、彼もまた独自の判断で潜入捜査を開始した。

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