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第7話

この国では魔眼の存在は偶像化されています

検査へ向かう準備をしていた夜、ファナが私の部屋に忍び込んできた。サイハを連れていないのはなぜだろうか。

「サナ姉様、姉様は怖くないのですか?」

何が?といえば、明日から向かう検査のことだろう。怖くないといえば嘘になるが、どちらかというと緊張の方が大きい。もしかして不思議な子と思われてしまうのではないか、転生者と気付かれるのではないかと考えてしまう。

「大丈夫よ、ファナ。お母様がついてきてくれるし、私もずっと一緒にいるのよ。サイハやハイナだって来るのだから普段と変わりないわ」

出来る限りの笑顔で私は答える。

「それでも今まで知らない人と会うことがなかったから心配なのです。遠出するのも初めてなのですから」

ユリィはファナが幼児退行しているというようなことを言っていた。周りへの不信感もそこから来ているのだろうか。転生前の姉はとても社交的だったので意外だ。

「今日は一緒に寝ましょう。不安で寝られなかったのではなくて?」

パジャマ姿のまま部屋を出てきたらしいファナに私はそう言う。この世界、少なくともこの家ではパジャマで部屋を出歩くことは通常ない。加えて夜は側仕えも離れてしまい、部屋には1人だけとなる。不安になって1番近い私の部屋へやって来たことは明白だ。

案の定浮かない表情だったファナが笑顔になる。前世と違いハッキリと感情が表れる彼女を見て私も緊張が解けたようだ。

2人向き合って広いベッドに横たわる。まもなくファナの静かな寝息が聞こえだした。


翌日。サイハとハイナに驚かれながら起きると、手早く身だしなみを整える。医局の本局は少し離れたところにあるため、早く出掛けなければならない。

「ファナ様がベッドにいないとサイハが取り乱してましたから、一言伝えてほしかったです」

ハイナが事情を聞いて苦笑する。部屋に置いてあるベルを鳴らせば簡単に言付けできたはずなのだ。忘れていたことに少し反省した。


「今日の服はお姉様とお揃いですね!」

廊下に出る時にはファナも丁度準備が終わっていたようだ。普段より装飾の多いドレスのような服は黄色をベースに私はピンク、ファナは黄緑の飾りが付いている。それぞれの髪色に合わせているようだ。

「普段より飾りが多くない、ハイナ?」

「お嬢様方は初めての外出ですからね。人前に出るときはこのような服を着るのですよ」

身体が弱いため、普段は外出すると言っても庭を散歩する程度だった。人目につくことはないので動きやすいそれほど装飾の付いていない服を選ばれていたらしい。


「準備ができたようね。出発しましょう」

ファナと二人で玄関へ向かうと、お母様が従者と話していた。荷物はもう馬車に積み込まれているようで、扉の閉まった質素な馬車と装飾のきれいな馬車の2台が並んでいる。


ワクワクするような、怖いような気持ちで馬車に乗り込むと、ファナと並んでお母様の正面に座る。初めての遠出の始まりだ。

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