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第10話「山崎さんの復讐」

「愛奈!愛奈!起きなさい!」

ふぁぁ、まだ眠いよぅ。あれ、お母さんの声?

「愛奈!愛奈!」

もう、うるさいなあ、寝させてよ。

「いい加減に起きなさい!」お母さんは、そう怒鳴って、目覚まし時計を私に突きつける。

「何時だと思ってるの? もう九時半よ! 起きて!」

突きつけられた目覚まし時計は、確かに九時半をさしていた。

ええ!?なんで起こしてくれなかったの!

お母さんは、私を仁王立ちでにらみつける。

「もう高校生なんだから、そろそろ自分で起きたらどうなの!」

ああ、もう……


そこからはもう、急ぎっぱなし。

急いで一階におりて、着替えて、顔洗って、歯を磨いて、トースト食べて、玄関の戸を開ける。

さあ、もう本当に急がないと。

今、授業二時間目の途中ぐらいかな?

ダッシュで家を出た。

どうしよう、今九時四十五分ぐらいだよね。

いつも学校まで二時間はかかるから、六時半には家を出るんだけど……

駅までの道、十五分ほど。

その間、いろいろ考える。

なんで遅刻しちゃったんだっけ?

昨日の夜、福川くんのことばっかり考えて寝付けなかったからかな。

だって、クラスメートにいじめられてた私を、助けてくれた男の子なんて初めてだったし……

あの最悪な出会いのことだって、あんなに言うことなかったかなって反省してるし。

よくよく考えてみれば、すごく道理が通ってるもんね。

やっぱり、福川くんが私の「ヒーロー」なのかも。

お礼を言っても言い足りないよ。

今日もお弁当、一緒に食べられるといいな。


そこから電車に乗って学校の最寄り駅について、徒歩十分。

徒歩って言っても、急いでたから、十分もかからなかったけど。

だんだんと、学校の正門が見えてきた。

よーし、全力ダッシュだ!


「遅れてすみません!」

校舎の四階まで急ぎで駆け上がって、勢いよくドアをガラッと開けた。

みんな、私の姿をみて、目を真ん丸にした。

「三七? おまえは欠席じゃなかったのか?」

先生も、すごく驚いている。

「もう十二時前だ。四時間目が始まっているんだから、さっさと席に着くんだ。」

私は自分の席に向かった。

その途中の、「ちぇ、あいつ休みって思ってたのに最悪……」とかいう山崎里緒菜さんの声には、

相変わらず心が痛むけど。

もうそんなの気にしない、気にしない!

ポジティブに考えればいいよね。

さあ、張り切って勉強だ!

そういえばうちの高校、結構難しいほうだから、ちゃんとテスト頑張らないと、授業についていけなく

なるんだよね。

さあ、頑張ろう!


お昼の時間が来て、私はまた福川くんに誘ってもらって、教室でお弁当食べたんだ。

「三七、その具、だし巻き卵じゃん。うまそうだな!」

「福川くんの煮込みハンバーグも、とってもおいしそうだよ!」

お弁当の具の話題で、たくさん盛り上がっちゃった。

もっと、いっぱい話したい!って思った、その時。

「達也くん。」

え、名前呼び!?

びっくりして振り返ると、山崎さんが立っていた。

さっきまでのわたしの悪口を言っていた顔とは打って変わった美人顔。

こういう裏表のある子って、苦手かも……

「うちらと食べようよ!」

え?

わたし、目が点。

急にそんな話を持ち出されて、福川くんもどぎまぎしているみたいだった。

「あの、おれは今三七と食べてるから……」

わたしも思わず言った。

「なんで急にそんなこと言うの?」

山崎さんは、私をきっとにらんでから、強引にまくしたてた。

「じゃあ、明日からはこんな子と食べないで、絶対にうちらと食べてね! こんなうざい子と

一緒にいると、達也くんまで悪く言われちゃうよ!」

そう言ってから、去り際に私に向かってふん、と笑った。

どうしよう!?

これは、山崎さんの、私に対する復讐なのかもしれない。


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