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第1話 衆議院解散へ

今回は政治です。今まで保守政党平和党を題材にしてきたのであえて野党のしかも弱小政党である社会党を題材にすることにしました。ちなみに党のモデルは言わなくてもわかりますよね……社会〇主党とか……

ちなみに私の支持政党ではありません。なので左翼的な発想はしませんので右派の人も大丈夫です。そして、左派をそこまで嫌悪していないので左派の人も大丈夫です。

 「日本国憲法第7条により衆議院を解散します!」


 「「「ばんざーい! ばんざーい! ばんざーい!」」」


 たった今衆議院が解散された。よくテレビで見る衆議院の解散による万歳三唱であるが実はやっているのは基本的には与党のとりわけ当選回数の低い若手がやっているものだ。この万歳三唱についてはどうしてやっているのかというのは未だに謎であり複数の説がある。例えば、解散は天皇陛下の禦印が押してある。そのため天皇陛下に感謝して万歳三唱しているという説、解散をすることで前議員になってもう二度と当選することができないいわや選挙は戦争であり神風特攻を表しているという説。などなど多くがある。

 さて、そんなことはどうでもいい。

 今回の物語は、この選挙というわけではない。

 私の名前は、森本一樹。野党社会党の党執行委員長すなわちは党の代表だ。ここで私の名前を聞いたことがあるという人はそれは賢明な有権者だと思う。私の率いている政党社会党はかつては現在の与党平和党とうん年体制とか言ってお互い政権の座を巡ってしのぎを削っていた。しかし、平和党が野党に没落し、民友党という新興政党が勃興してきて再び平和党が政権与党に着き、民友党が野党第一党として確立すると社会党はその支持基盤を完全に民友党に持って行かれるようになってしまった。

 かつて1980年代には最盛期として衆議院定数512のうち136、参議院定数252のうち54と衆参合わせて190議席と野党第一党として輝いていたが、今や衆議院定数475のうち12議席、参議院定数242のうち8議席と計20議席と落ちぶれてしまっている。しかも、選挙のたびに議席を減らしている。今回の衆議院総選挙で一体どれだけ獲得することができるのだろう。

 衆議院が解散され本会議が閉会すると私が向かったのは、社会党本部だ。社会党の歴史は長いため日本一政党としての歴史が長い大衆党に負けず劣らずの政党本部を持っている。ただし、そろそろ年代的にきついので建て替えないといけないがいかんせん今の社会党にはそのような金はない。政党交付金も年々減っていく。何としてでもここで踏ん張らないといけない。中小政党との定めだろう。そのあたりは。


 ─社会党本部─

 中小政党としての運命に悲観している間に私の乗っている車は社会党の本部に着いた。私が向かったのは、社会党執行委員長室だ。先ほど説明したが、社会党においての党首の名前は執行委員長とついている。これは、昔の右翼左翼の対立が激しかった時代の名残だろう。そろそろ名前を変えてもいいと思うが、社会党の取り柄と言ったら左派的社会主義的な政策しか言えない。いまさらその政策を変えたところで転向と言われたり、嘘つきと言われたりするだけだ。変えたくても変えられないし、変えなくても叩かれる。社会党は八方ふさがりの状況だ。誰かこの状況を救ってくれないだろうか。

 ……祈っても状況は変わることがない。仕方ない。現実は非情なんだから。

 さて、常任幹事会に行くか。

 私が向かったのは常任幹事会を行う会議室であった。社会党においては重要政策決定の会議として常任幹事会というのが行われている。党の執行部に加えて地方組織の代表が参加するものになっている。今日の常任幹事会の議題は完全に1つしかない。それは、衆議院選挙の公認候補の話だ。現在衆議院総選挙の公認候補はまったくというほど決まっていない。それは、このタイミングで解散総選挙があるとは予想していなかったからだ。神本茂内閣総理大臣の大胆な行動は正直いって驚いた。さて、我が党はどうやって対抗していこうか。

 

 ─常任幹事会─


 「では、これより第1028回常任幹事会を始めます。では、司会の方は私沼田書記局長が務めさせていただきます」


 私の党政権下においてナンバー2に当たる沼田書記局長が議事を進行する。


 「では、各県の県連の皆様次期衆議院選挙の公認候補の内定状況を報告してください」


 「はい、北海道県連代表の木村です。北海道県連は現在北海道1、4、7区の選挙区で公認候補を擁立し、3、5区においては党本部に公認を要請中です」


 「青森は……」


 各県連が報告していく。北海道からはじまり沖縄まで一回回ったところで話をまとめることにする。


 「現在、党本部が公認した候補は39人。公認要請が48人です。党の選対としてもう少し候補者を減らしたい考えなのですがいいですか?」


 党の選挙対策局の小越淳佐局長が報告する。


 「ちょっと待ってください。候補を減らすってどういうことですか?」


 「そうだ。どうして候補者を減らすんだ。むしろこれから増やさないといけないだろう」


 小越局長の言葉に反論する意見が出る。それも複数だ。

 その反論の言葉に対して小越局長は冷静に反論する。


 「今、我が党にはそのような余裕はないのですよ。毎回選挙のたびに多額の供託金が持って行かれて党の財政は終わっている状況。今は、確実に取れる候補に絞っていく必要があるんですよ」


 小越局長の言い分はわかる。

 国政・地方選挙とわず選挙において立候補する際に供託金という300万円という多額のお金を収めることが決められている。この供託金は立候補者がその選挙区において有効投票総数の10分の1を超す得票をしないと没収されてしまう。つまりは、弱い候補者は選挙のたびに300万円をどぶに捨てているのだ。この供託金制度は、候補者が乱立することを防ぐために設立されたのだが、お金のない者は立候補することができずお金のある者が立候補できるという社会の格差を生んでいると私は思っている。ただ、思っていてもこの制度には候補者乱立を防ぐという有効な効果を持っているのだから廃止することはできない。

 社会党も毎度総選挙のたびに小選挙区に候補者を擁立してもほとんどが落選し供託金が没収されてしまっている。現在いる衆議院議員12人のうちで小選挙区で当選している議員は、粟田晴彦(北海道1区)、川島のぼり(北海道7区)、池純也(大分2区)、島崎幸彦(沖縄3区)そして、私森本一樹(北海道9区)の5人のみでほかは比例復活議員だ。しかし、今回はこれよりもさらに厳しい結果になることが予想されている。事前の政党支持率を見ると社会党の支持率は3%。前回の衆議院総選挙においての事前の政党支持率は5%であったことから前回よりもさらに下がった結果となる。このままでは前回よりも悲惨な結果になることが見て取れる。

 

 「そういえば、みなさんに報告しておくことがあります」


 そこに広報局長の川島のぼりが報告する。

 さて、その前にどうでもいいが社会党の組織について見ていきたいと思う。社会党は他の党と比べて違うものがある。それは党執行部の人数の多さだ。平和党や民友党、市民民主党、民主改革党などを見るとどの党も党の代表(平和党総裁、民友党代表、市民民主党代表、民主改革党党首)、党幹事長、政策調査会長(民友党は政務調査会長)、国会対策委員長、総務会長(平和党のみ)、選挙対策委員長で構成されている。大体はとう3役または4役程度である。しかし、社会党の執行部はいわゆる7人衆と言われており7つの役職がある。党執行委員長、書記局長、国会対策局長、選挙対策局長、政策局長、広報局長、参議院議員代表の7つだ。つまりは、他の党では軽視しやすくなっている広報部門も社会党では執行部の一員だということをここでは言いたい。

 さて、その広報局長が報告してきた。


 「各種週刊誌による議席予測が出ました。ご覧になりますか?」


 各種週刊誌の予測は毎度のことだが、その正答率がかなり低い。専門家がやっていないというのもあるが、それぞれの週刊誌の思想的立ち位置、支持政党などの影響もある。こういった議席予測で最も正答率が高いのは意外や意外ネットの某掲示板だと私は考えている。あそこは基本的には右寄りだが冷静に判断している人もいるため参考になっている。ただ、週刊誌の方も念のため参考にしておく。


 「見せてくれないか」


 「わかりました」


 川島広報局長は、私に週刊誌を差し出してくる。週刊木曜、サタデー毎日、週刊未来の3冊を渡してくる。

 まずは、週刊木曜から見る。

 社会党の予測議席は10であった。小選挙区で2、比例代表で8の計算になっている。

 サタデー毎日を見る。

 社会党の予測議席は6であった。小選挙区で0、比例代表で6の計算になっている。この内容を見て最も危機感を抱いた。小選挙区で0というのは壊滅ということだ。私を含めて現在小選挙区で当選している議員全員が比例復活になるか完全落選するという結果だ。

 最後に週刊未来を見る。

 社会党の予測議席は12であった。小選挙で5、比例代表で7の計算になっている。もっとも現状維持に近い予測だ。

 すべてを見て思ったことは、これはかなりまずいということだ。どれも現状議席を維持かそれよりも減ることを予測している。とりわけサンデー毎日は私の北海道9区について森本委員長落選の危機と煽り文句まであった。完全にピンチだ。


 「これは……」


 「かなり大変な状況になってしまった」


 他のメンバーも曇った表情をする。

 完全に私達は追い詰められていた。歴史ある政党も滅びの運命に逆らうことはできないのか。

 ちなみにここまで不利な状況に追い詰められているので初めてのように感じるかもしれないが前に述べたようここ最近社会党の議席は減り続けている。この危機を毎回感じてそして議席を減らしていっている。

 毎回何か策を考えている。でも、いい策が思い浮かばない。議席の回復が見込めない。社会党はこのまま衰退するしかないのか。


 「どうします委員長」


 「私は落選ほぼ決定のようですよ……」


 他の議員、とりわけ衆議院議員が弱音を漏らす。

 そりゃあ議員でなくなってしまえばただの人だ。議員でいなければできないこともあるしその力を使いこなすこともできない。議員であることと元議員であることには天と地ほどの差があるんだ。


 「どうすると言われてもなあ、池選対長はどう思います?」


 私の質問に池純也選対長は答える。


 「ここは、お金がもったいないとか言っている時ではありません。最低でも各県1選挙区は候補を擁立して票集めをしなくてはいけません。落選しても比例で復活させるため比例票を何としてでも集めましょう」


 「案山子か……」


 「ええ、そうでもしないと比例は稼げません」


 当選する確率がなくても比例に票を入れてもらうために活動してもらう候補のことだ。確かにそうでもしないとまずいな。


 「よし、では先ほど各県連から出されたすべての候補は公認として認めることにする。この案に関して決議を取りたいと思う。では、この案に賛成の方挙手をお願いします」


 約8割の人が手を挙げた。


 「よって、賛成多数として本案を社会党の決議とします」


 こうして、候補の問題は終わった。でも、まだこの問題は始まりの終わりに過ぎない。まだ、衆議院が解散されただけで告示はされていない。告示まであと3日。社会党が生き残るためにやれることはすべてやらないといけない。

 まず、私の考えは他の野党との協力しかないと思う。社会党と野党第一党民友党は左派と中道派という違いがあるが民友党の中にも左寄りの思想の人もいる。こういった人たちとの協力ができればいいと思う。しかし、成功する確率は低い。何といっても現在の民友党代表前山信之氏は民友党きっての右派だからだ。社会党と安易な妥協をするはずがない。成功するとは思えないが何事もやらなくては始まらない。明日が勝負の日だ。

 選挙の前にすべては始まっているんだ──

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