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魔王様の日記  作者: kakeru
6/6


さほど遠くない集落から、救援要請が届けられた。


どうやら、その集落の付近で、魔獣が暴れているらしい。



集落では対処できなかったらしく、なんとかしてくれ、と。




ふむ…

城の兵士を差し向けてもいいが…



久しぶりに、思いっきり暴れられるかもしれん



そう思うと、気持ちが高揚してくる。



傍に控えていた彼女に、早速出向くことを伝えると、一緒に来たいと言うではないか。



一緒に、ということは…



この間の二の舞になる可能性が否定できない。

むしろ、おおいに有り得るのではないか。


そんなことになったら、暴れるどころの話ではなくなるではないか。



断固拒否だ!



しかし、彼女も諦めが悪く、随分と食い下がってくる。

が、ここを譲るわけにはいかん!


必死の攻防の末、なんとか彼女を置いていくことに成功する。




気が変わらないうちに、さっさと件の集落へ出発した。



村人に話をきき、ある程度位置をしぼって、森の中を散策すること数時間――



とうとう魔獣を発見した。



それは、とても優美な生き物であった。

白い毛皮に、所々黒い毛が混じり、背には純白の翼を持ち、瞳は冷たい蒼をたたえている。


優美ではあるが、獰猛そうな雰囲気が醸し出されており、危険だと頭の中で警報がなる。




先手必勝ーーー!



茂みから飛び出し、魔獣に戦いを挑んだ。



俺は魔獣と数時間にも及ぶ戦闘を繰り広げた。

先代魔王にも引けを取らない戦いだったと思う。


最終的には、戦いの中で友情のようなものが芽生え、お互いを認めてしまった。

それからは、仲良く城へと向かった。


魔獣にシールという名を与える。


気に入ってくれたのか、頬ずりしてきた。



うむ、可愛いやつだ。



上機嫌で、城の屋上で戯れていると、彼女が姿を現した。

が、俺たちの姿を認めた途端、ピタリと動かなくなった。



…どうしたんだ?



彼女を手招きすると、なぜかフラフラとした足取りで寄ってきた。



魔獣を紹介すると、彼女はなぜかシールを睨んでいる。

シールを見ると、こちらも彼女に対して敵意のようなものを抱いているようで。


できれば、仲良くしてほしいが…


まあ、そのうち心通わせるようになるだろう。



彼女を伴い、居室へ移動する。

道中、彼女にシールのことを話してきかせた。



しかし、彼女は相槌はうてど不機嫌そのもので。



俺、何かしたか…?



まあ、明日になれば機嫌も直ろう。



居室前で別れる間際、彼女に呼び止められた。



振り向いて彼女を見上げる。

疑問を投げかける前に、彼女は俺の首筋に頭をうずめた。

彼女の髪が頬にかかりくすぐったい。


と、首筋にチクリとした痛みが走る。



思わず声を上げてしまってから気づく。



何をしてくれるんだ!!!



首筋を押さえて、彼女を一睨みした後、すぐに居室の中へ逃げ込んだ。



そのまま一直線に鏡の前へ。




案の定、そこには紅い痕がついていた。




キスマーク…



俺は項垂れるしかなかった…





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