結果の否定
俺の獣のような叫びを聞きアスールは頬の血を拭いながら呟く。
「勝利への雄叫び……獣のように勝利を求める闘争心それがお前の戦い方か」
獣?闘争心?それじゃダメだ。俺はこの世界の誰よりも肉体で劣る。
だからこそ冷静に自分を、分析し、猜疑し、破壊しなきゃならない。
俺は服についた砂を払うフリをして冷静さを装いながらアスールに宣言する。
「違うな。俺に必要なのは勝利や強さを求める熱い闘争心じゃない、敗北や弱さを否定する凍てつく冷静さ(フリジディティー)だ」
本来、体は自壊しないために自らのリミッターを脳から無意識下で発している。
しかしそれはクオンが俺に与えた弱さの呪いで壊せる。
そう自らを弱いと自認し追い込みら冷たく否定すれば俺は俺を壊せる。
「そうかそれがお前の考えか。弱さの否定と強さへの渇望、敗北の後悔と勝利の喜びは等号じゃ結べない。
求めない結果の否定から入るお前の底は知れた。
もう撤収だ」
そう言ってアスールは籠手を拾い付け直すと剣を背負い直す。
そのまま帰ろうとするアスールに対し、俺は後ろから殴りかかった。
すると彼は振り向きながら剣を抜き、容赦なく俺の右胸を貫く。
だが俺は貫通した剣を軸に体を回転させて彼の顔面に蹴りを入れた……はずだった。
俺の足は彼の顔に届く前に壊れて飛び散っていた。
アスールは容赦なく剣を引き抜くと倒れる俺を片手で支えながら喋りかけてくる。
「なぜクオンがこの世界で鍛えることにしたか理解した。まず俺が使うこの長剣の剣術は遠心力を利用しているからこそただ腕力で闘う剛剣よりもお前に向いている。
そしてお前の再生術はお前の肉体を強化するのの妨げになる。
だからこそ治癒の魔法が使えるルージュがいるこの世界に送ってきたってことだ」
俺は薄れゆく景色の中で倒されるたびに強くなる英雄と傷つけるたびに強くなる筋肉細胞を結びつけていた。




