凡人の転移
この章は、陵魔が異世界でどのようなことをしてきたかを描きます。
この前の話どうなってたっけ?と思った場合一章を読んでください
俺の体は光に包まれていく。
これは俺が倉庫に転送された時と同じもの…俺を異世界へと導く光だ。
あまりの眩しさに目を閉じて転移が終了するのを待つ。
なにもない無機質さを感じる空間から、薄らと風の流れを肌で感じられる空間に変わったことから俺は恐る恐る目を開ける。
するとそこはまるで御伽話に出てくるような中世ヨーロッパの城内だった。
四方の壁は、灰色の石材で作られており壁には縦長の旗がかかっている。
そして紡葉を抱え魔法陣の上で立っている俺の3メートルほど前方に3人の人間が膝をつき顔を伏せている。
左から青いコートを着た男、赤いドレスに身を包んでいる女、黄色い鎧を着ている男。
3人に共通しているのは首からかけている金色の紋章だ。
そしてその紋章は、俺がクオンからもらったものと同じものだと気づく。
何か話しかけようと俺が口を開こうとした時、真ん中の女が口を開く。
「待ってたのよ、クオン。貴方の帰りを…」
そう言って彼女は顔を上げ近づいてくる。
その時俺に雷に打たれたような衝撃が走った。
その女の顔はまさに今俺が抱えている昏睡状態の少女、大鷲紡葉にそっくりだったのだ。
正確にいえば髪色や瞳の色は違うのだが……
その衝撃からしばらくフリーズしていたが、慌てて自らの素性を名乗ろうとする。
「俺は、クオンじゃない。俺の名前は—」
俺がクオンじゃないとわかった瞬間彼女はバックステップで距離を取り、両脇の男たちも各々の武器——左端の男は槍のように長い長剣を右端の男はとてつもなく大きい斧を手に取る。
明らかに臨戦態勢に入り、殺気だっている3人に慌ててクオンからもらった紋章を見せる。
クオンは確かこの紋章を見せれば大体の無理は通るって言ってたけど…
そもそもここでこれが通じなかったらもう詰み出ぞ……
それを視認した後ろの男二人は武器をしまい、女は、
「ついてきなさい」
と言ってそのまま廊下を歩いていく。俺は慌てて後追いついていく。
移動中男二人が俺の後ろを歩いていたところを見るに、まだ警戒されているらしい。
そして案内されたのは、よく中世ヨーロッパ映画に出てくるような食堂。
一学級並んで食事を取れそうなほど長い机が四台なんでいる。
しかし気になったのは、不自然に差し込む太陽光だ。
天井を見上げると、元々は絵が描かれていたのだろうか?さまざまなカラーリングの生物シルエットが見受けられる。
しかしその天井画は所々茶色く焦げ、さらには天井自体に穴が空いてるところもある。
そういえば移動中通った廊下も所々崩れていたりしていた。
この世界は救われた後の世界ではないのか?
俺は、女に促されるまま席に着き紡葉を机の上に寝かせる。それを確認した後、彼女は対面に座る。
男二人は席に座らず俺の後ろに立っている。
「私の名前は、私の名前は、エリュテイア・フォン・ルージュ。
ロート帝国12代目女帝よ。
そして連合国プリマルファの初代女王よ
そして左後ろの青いのが、アスール・シーニー。ブラウ帝国の11代目皇帝。
右の黄色いのが、アスフィル・フラウーム。ゲール帝国の11代目皇帝。
そして二人も私と同じプリマルファの王よ」
すぐには覚えられない単語が多量に含まれたとんでもなく長い自己紹介が終わったようなので、こちらも挨拶をする。
「俺の名前は関谷陵魔。こことは別の世界でクオンと出会い。
クオンの力でこの世界にやってきた」




