Girl’s Disturbance
陵魔は長剣を回転させて、弧を描きながら斬撃を放つ。
その斬撃は敵の攻撃を横に薙ぎ払いつつ、相手の身体を切っていく。
つい先日まで、なす術なくやられた相手に対し互角以上に戦っていることから、陵魔は何らかの力を異世界で手に入れてきたのだろう。
士は、おでこの傷口から流れてきた、視界を妨害する血液を白い服で拭いながら、
「いやぁ。強いなぁ」
そう語る士の顔から笑みは絶えない。
一見すれば追い込まれてるように見受けられるのに、彼にはまだ余裕があるのだろうか?
そんな士に対して陵魔は容赦なく剣を振り下ろす。
士は剣を避けにして受け止めようとしたが、剣は威力に耐えきれず真ん中で折れる。
そのまま止まることなく振り下ろされた剣は、士の体を切り裂いた。
両断とまではいかなくても、相当深く刃が通ったようで、大量の血が吹き出している。
しかし彼は自らの体から吹き出る血には一切の気を止めず、こちらに向かって喋りかけてくる。
「やっぱりこの剣じゃ無理だな。
俺の本気を出すのも、君に本気を出させるのも…
次は君が望む通り全力で。
刀で戦ってあげるよ」
「逃すと思うのか?」
陵魔の冷たい声が響く。
「逃すも何もないよ。耳をすませば聞こえてくるだろ?
破滅の音が…」
私は、士が言う通り耳を澄ます。
すると遠くの方から重く轟く振動音が聞こえてくる。
「そう言うことか…」
そう呟く陵魔はなにやら訳知り顔だ。
そういえば、陵魔が本当に修行してきたならいろんなことを知ったはず。
—クオンについて……
陵魔は剣を背中に背負うと士に背を向け私に対して
「帰るぞ」
と呟く。
私が謎の音の正体を知ったのは、帰宅してから数分後に流れた緊急速報からだった。
その内容は、私たちの住む街の一部、半径約2キロにわたる範囲が地盤沈下により瓦礫の山になったという内容。
そのニュースで流れた地盤沈下の映像では、崩壊の中心に眩く光る男と闇に包まれた男の二人が映っていた。
その映像を指差しながら、私は陵魔に説明を求めた。
「今なにが起きてるの?クオンたちはなにをしたの?」
そんな私の問いに対して陵魔は重々しく口を開く。
「光と影、陰と陽、天と地、白と黒……
相反する存在でありながら世界が創られた時に同時に生まれた者たち」
「難してくてわかんないよ!」
「つまりだな、クオンとあの白い敵は同じ世界で生まれた存在なんだ。
そして互いに求め合い、滅ぼすこと、滅ぼされることを願っている」
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困惑してる私に対して、陵魔と異世界から帰還した紡葉はさらに噛み砕いて説明する。
「だからね。どちらかが死ぬまで殺し合ってるのよ。幾千もの世界を渡り歩いてね」
私は彼女に抱いた猜疑心……いや嫉妬心かもしれない。
どちらとも取れない複雑な感情をぶつけながら言い放った。
「何であなたがそんな細かい事情まで知ってるんですか?紡葉さん…」
次の瞬間彼女から衝撃の真実が告げられる。
「私の名前は、エリュテイア・フォン・ルージュ。
ロート帝国12代目王女よ」
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さらに混乱する私の横で陵魔は頭を抱えている。
「ルージュ……紡葉のフリするって予定だっただろ?」
「どういうこと?」
私の困惑と怒りが混ざった質問に陵魔は答える。
「紡葉の代わりに、紡葉そっくりのこいつを連れてきたんだよ…」
「理由については…そうだなまず俺が異世界でなにをしてきたかを説明するよ」




