始まること
久しぶりの投稿なんで、暖かい目で見守ってください。
強さとは何か?
比類なき力を持ったものを倒すこと
大切な誰かを守ること
多くの人を救うこと
色々な強さがある
ならば自分はどう強くあろうか?
ーーーーーー
「目を覚ましましたか?」
大きな光から声がする。
ここはどこだろう?
匂いもなく、音もなく、光に全てがかき消され
何もないことを認識していながらも、自分の意識だけが存在していると認識している。
不思議だ。
「あなたはどうなりたかったのですか?」
どうなりたかった?
俺は何かになれなかったのだろうか?
何も思い出せない。
ただ意識に浮かんだ言葉が相手に伝わったことがわかった。
「わかりました。」
「それでは次こそはあなたの成し遂げたかったことを。」
ーーーーーー
鳥の鳴き声が聞こえる。
眠い目をこすりながら、ベットから起きる。
懐かしい記憶を夢見ていたようだ。
俺は産まれた時から意識があった。
産まれた時の父親の泣きっ面も、母の疲れ切った顔も。
そこから、俺は何不自由ない生活を送った。
ご飯を食べて、遊んで、寝る。
ただこれだけのことだがなぜだか無性に暖かく感じて、
ふと泣き始めた時があった。
それはきっと「前の自分」の名残りなのだろう。
俺は生まれ変わったことを知っている。
だが俺はなぜ生まれ変わったのか、
「前の自分」がどう人生を終えたのか覚えてはいない。
ーーーーー
少し大きくなった。
一人で歩けるし、一人でご飯も食べられる。
ただ問題なのは暇なことだった。
僕の家はどうやら村の少し外れにあって、近くに家がない。
だから遊ぶ相手もいなくてとても暇だ。
お母さんはいつも家事で忙しそうだし、お父さんは仕事に出ていていない。
とても暇だったので、何かしようと考える。
もう少し小さかったら家の中で探検するだけでも、それはそれは心踊ることだったが、今の僕にはそれだけではつまらない。
家の外に出て、そこら辺に落ちている木の棒を振ってみることにした。
お父さんはよく朝早くから長い棒を振っていた。
長い棒はとてもかっこよく見えて、一度触ろうとしたけどお母さんに怒られた。
「それは人を傷つけるものだから触ってはいけない。」
ならお父さんはなぜそんなものを振っているのだろうか?
お母さんに聞くと苦い顔をした。
「お父さんは人ではないものと戦ってるのよ。」
「戦う?」
「それは僕と遊ぶことより大事なこと?」
またお母さんは苦い顔をした。
「お母さんを困らせないで。とりあえずそれには触ってはいけないのよ。」
お母さんは意地悪だ。
だから僕はそこら辺に落ちている、お父さんのとは違う長い木の棒を振ることにした。
右から左へ、上から下へ、なんだか棒を振るってると楽しくなる。
全てが、僕の中の何かが躍動する。
もっともっと自由になりたい。
もっともっと自由に。
ーーーーー
ある日夕方まで、木の棒を振り回して遊んでたら。
お父さんが帰ってきた。
いつもだったら僕の「おかえり」になんだか疲れた顔で「ただいま」を言う。
でも今日は違っていた。
お父さんの服はなんだか黒く汚れていた。
それに右腕を抑えてるし、足も痛そうだ。
「おかえり」と言っても何も言ってくれない。
僕を無視して家に入ってくお父さんが怖くて、僕はその場から逃げ出した。
ーーーーー
どうしてだろう。
どうしてあんなに怖かったのだろう。
お父さんもお母さんもいつも優しくしてくれた。
でもときどき僕に何か怒ってることがあった。
僕にはそれがなんでなのかわからなくて、いつも怖かった。
でも今日はそんな怖さを超えて。
僕に向かうお父さんの気持ちは、お父さんの視線は僕に居なくなってくれと言っているようだった。
僕はなんでそうなったかわからないけど、とりあえず僕が居なくなれば良いんだと思って、怖くて森に逃げた。
森はいつもお父さんにもお母さんにも行くなと言われていた。
なんで?と聞くと、危ないことがあるからだよと言われた。
危ないことって何?と聞くと、
僕をご飯にして食べちゃうケモノが居るからと言われた。
僕がご飯になる?
ご飯になるってことは僕より大きい何かが居るから怖いんだ。
そう思って、森が怖くて入らないようにしていた。
でも今はその森がなんだか、僕に優しくしてくれるような気がした。
虫の鳴き声や何かの鳴き声、土の匂い、水の音。
全てが僕を包んでくれる。
僕は棒を振っていた疲れと、お父さんから逃げた安心感から、うとうとしてしまった。
外では寝てはダメと言われてるのに悪い子だ。
僕は眠りに落ちていった。
ーーーーー
何か臭い匂いがする、何かおかしな感じがする。
ふと目を覚ますとさっき僕を包んでくれていた森は、違う何かに変わっていた。
虫の声も聞こえない。
土の匂いじゃなくて、まるで僕が口からご飯を出してしまった時のような、とても嫌な匂いがする。
僕は逃げ出そうと思った。
でもそれは遮られた。
そいつらは僕を囲んでいた。
お母さんが読んでくれた絵本のケモノに似た何かがたくさんいる。
ケモノは怖いものだからと教わったからだろうか?
いや違う、目の前のこいつらは僕をご飯にしようとしている。
こいつらは僕を食べちゃうんだ。
そう思ったら、声も身体も縮んで、何もできない。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。
良い子に約束を守れば良かったんだ。
森に入っちゃダメだったんだ。
僕はただ縮こまって、ちっちゃい虫になった。
もう僕は何も考えれない。
何も考えれない。
何も、
なにも
ーーーーー
ケモノたちは子供が静かになった瞬間に襲いかかった。
彼らは嬉しかっただろう、柔らくて美味しいごちそうだ。
人間は歳をとれば、とるほど臭くて、不味い。
だから子供なんてご馳走だ。
ケモノたちは完全に目の前の子供をただの食べ物だと思っていた。
ケモノたちは侮っていた。
子供を。
襲いかかった瞬間だった。
ケモノたちの身体は一斉に弾け飛んだ。
何に吹き飛ばされたかわからず、ケモノたちはしばらく動けなかった。
だが先程まで目の前に居た食べ物が何かに変わったことに気がついた。
見た目はそのままだが、まるで何かに操られているような、まるで何かになったような。
生存本能がケモノたちに叫ぶ。
逃げろ!
逃げろ!
ケモノたちは一斉に散り散りに駆けていこうとした。
だがもう遅かった。
子供の姿をした、何かはその手に持った、ただの木の棒でケモノたちを全員殺してしまった。
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目を覚ますとお母さんは泣いていて、お父さんは喜んでいた。
ふたりの様子の違いに驚いたが、なんだか力が入らなくて、声も出ない。
ただ口を動かすだけだ。
お母さんはそれを見て、更に泣き始めた。
だが後ろのお父さんはそんなのお構いなしに喜んでいた。
お父さんは叫んだ。
「この村に英雄が誕生したぞ!」




