表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
余命二年と宣告されたのでマイナースキルを授けられた私は聖獣と共に寿命を集めながらスローライフを楽しみます!  作者: 相木ふゆ彦
第一章 新しい命

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/5

第5話 アンネリーゼの異世界初日の終わり

「空間収納(生)は、どうしたらいいのー!」

『困ったらエヴァリディアス様に相談するといいよー』

 

 なぬ……連絡手段があったのか。

 あ! あのチャットアプリ。

 

「空間収納(生)ってなんですか……っと。お返事くるかな」

 

〈よーーーお、アンネリーゼやってるかーー! 今日のリストは無事に終わらせたな!〉

 

 あ、頭の中に直接……!

 チャットなのに、チャットじゃないの??

 

〈まだフリック入力を使いこなせてなくてな! 慣れるまでは直答だぜぇぇぇ!!〉

 

 神様が、フリック入力に苦戦してるの……?

 慣れるまで脳内会話かぁ。

 あんまりチャットのありがたみがないなぁ。

 

〈空間収納についての相談だったな! アンネリーゼにつけた空間収納は俺様が与えた使徒オリジナルスキル、いきものだけが入る空間収納だ! 生き物以外なら、マジックバッグでも買うんだな! じゃな、頑張れよーー!!〉

 

 あ、消えた!!

 言い逃げに近いんだけど……。

 

 結局、(生)って生き物の生? らしい。

 なんか、使徒オリジナルとは言ってたけどマイナーなスキルじゃん……。

 普通は、ここはポーションとかたくさん入る空間収納じゃないの?

 

『アンネリーゼ、ぼくは普通の空間収納があるよ。ひとまずぼくの空間収納にしまう?』

「うん……コハクにお願いするよ……」

 

 マジックバッグを買えっていうことは――つまり、お金を稼がなきゃいけない。

 私に出来ることは、いまのところポーションだけだよ。

 

 そして、街の場所を知らない。

 今の時点では詰んでるので、しばらくはコハク頼みだね。

 ひとまずポーションは瓶に全部しまった。

 

 いち、にー、さん……二十本か。

 

『アンネリーゼ、ステータス見てみて~』

「ん? ステータス?」

 

 コハクに言われて、ステータスを見る。

 魔力50が、魔力40/50になってる。

 

「魔力が減ってる……ポーション作ったから?」

『そうだよー、錬金術とか想像魔法とか、結界魔法は魔力を使うから気を付けてね~』

 

 MP切れってやつだね。

 私は、ドレッサーから寝間着とタオルを見つけた。

 

 ワンピースの泥は浄化で消して……と。

 他にも服はあるけど、明日はもっと動きやすい服にしよう。

 

 明日はもっと動き回る予定だからね!

 お風呂をわかして、石鹸で体を洗う。

 

 石鹸は、食器を洗ったココノア石鹸の固形版。

 泡立たないで、少しキシキシする。

 

 体を洗う石鹸と、ボディソープが同じなのか……。

 自分で体を洗うのは久しぶり、とはいえ洗顔もない。

 えーー! 全部同じ石鹸なの!? 分けようよー。

 これは……私が錬金術で作る流れかな……??

 

「コハクー、リンスとかコンディショナーとか、ないよね……?」

『何に使うもの~?』

 

 コハクが知らないってことは、ないのね。はい。

 浴槽でチャプチャプ浮いてるコハクを見ながら、私が現代にあって異世界にはないものを数えてみる。

 今の時点で、洗剤石鹸と――ん?

 

「コハク、浄化ってものにも使えるよね?」

『さっき服にかけてたのにー? アンネリーゼって不思議だねー』

 

 可愛い外見で、ちょいちょいこの子狐毒を吐くよね!?

 えーっと、そうじゃなくて……服に使えるなら食器にも使えるよね?

 

 つまり、あのココノアの洗剤って洗顔用とかだったんじゃ……!?

 待って待って、浄化や流水があるから手洗いも困らないし、洗剤そのものがいらない!?

 私の中の洗剤で一儲け作戦は、脳内で終わった。

 

 浄化かぁ~~便利だけど、現代知識無双は無理っぽい……。

 

『アンネリーゼ、結局今日のご褒美はなにがいいのー?』

「ご褒美って?」

『んっとねー、エヴァリディアス様のリストをこなすとご褒美に好きなものが貰えるんだよ!』

「えっ! なんでも!?」

 

 なんでもと言われて、とっさに大金や宝石が浮かぶ。

 コハクが、残念なものを見る目でこっちを見た。

 

 なんだよ、凡人なんだよ、私。

 今までは一番欲しいものは健康だったけど、もうゲットしたもん。

 

『あんまり大きな願いはかなわないよー? 少し高級なお肉食べたいとか、お菓子食べたいとか』

「食べ物じゃないとダメ?」

『うーん、ささやかなお願いだからねえ……スキルとかは難しいかなー』

 

 でも、その代わり頑張れば毎日、ご褒美が手に入るのか……。

 考えてみれば、いいかもしれない。

 

「うーん、地球のものでもいいのかな……?」

『ささやかなら、大丈夫じゃない?』

 

 ……私、食べたいものがあったんだよねぇ。

 散々、スマホやテレビでコマーシャルだけは見てたもの。

 

 そう、それはハンバーガー業界の大手、メックバーガー!

 ほかにも、カップラーメンでしょ、カップ焼きそばにお好み焼き、タコ焼き……。

 ああ、ジャンクフードってなんて魅力的なの!

 

「よし、さっさとお風呂でてご褒美もらおう」

 

 コハクのもふもふの毛をゴシゴシして、泡を流す。

 これも浄化すればいいだけの話だけど、もふもふとお風呂に入りたかった私の欲だ。

 少ししつこく肉球を拭いて、魔導ドライヤーで自分の髪とコハクの毛を乾かす。

 

 便利だねー、魔導具!!

 お風呂あがりに、冷蔵庫から牛乳を出してゴクゴク飲むと、それだけで幸せだ。

 

「コハクー、ご褒美はどうやってもらうの?」

『ボクの前にひざまずいて、エヴァリディアス様へリスト達成したって伝えて』

 

 えっと、コハクをベッドに乗せて、私は床でひざまずいて……。

 

「エヴァリディアス様、今日は初日たくさん頑張りました。ToÐoリストもありがとうございます、ノルマはクリアしました!」

 

 ぱあっとコハクの体が輝く。

 私は、急いでご褒美をおねだりした。

 

「地球のジャンクフードを、どうか私に与えてください! カップラーメンも色んな味を食べたいです! 願わくば最初はメックのハンバーガーをください!」

 

 キラキラとベッドの上が光る。

 ま、眩しい……!

 そんなエフェクトが去ると、スタンダードなハンバーガーとポテトが出てきた。

 

 おおおお!!

 ポテトはおまけかな!?

 

『どう? 望み通りだった?』

「おまけもあるなんて最高だよ!!」

 

 明日にとっておいて、今夜の食事は自分でなんとかしようと思ってたのに……!

 思わず、手が伸びて、ポテトを一本……そして二本……。

 

 ああ! 手が止まらないよっ!!

 サクサクのおイモを噛むと、じんわりとじゃがいものうまみと、塩の味でよだれが出そうだ。

 小学生になる前から、体が弱かった私はジャンクフードなんて食べたことがなかった。

 

 夢中でほうばって、気が付けば初のハンバーガーもあっという間になくなっていた。

 夢中すぎて、途方もなくおいしかったという感想しか残ってない。

 

「ああ……全部食べちゃった……明日に残そうと思ったのに……」

『アンネリーゼ、呼んでるのに夢中で食べてるんだもん』

「ごめん! コハクも食べたかったよね!?」

『ううん、油の匂いがけっこう強かったからいらない』

 

 聖獣さまは、ヘルシー志向っと。

 コハクは、自力でテーブルの上のパンを食べている。

 せめてジャムとかつけてあげたいなあ。

 

 スマホの中には、ジャムの錬成のレシピもある。

 台所には、塩やこしょうや砂糖があった。

 パンはまだあるし、明日は朝いちばんでジャムを作ろう。

 

 ――そう、今の私には明日がある。

 浄化で歯を綺麗にしてから、私はコハクを抱えてベッドにもぐりこむ。

 ふかふかのコハクを抱っこしながら、意識は次第に薄れていく。

 

 明日が楽しみなんて、初めてだな……。

 ちらりと、夢に落ちるまえに両親の顔がよぎった。

 

 ――ごめんね、病弱で手がかかって、何もできずに死んで。

 

 いま、生まれ変わってこうして元気なんだよって教えることができたらきっと喜ぶよね……。

 父さん、母さん、ごめんね……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
健康で何か出来ることを満喫しているアンネリーゼがかわいい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ