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2.世論の嵐

宇宙飛行士OB会の記者会見は、全国のニュース番組で繰り返し放送された。OB会長である佐藤の、宇宙から見た地球の悲鳴を訴える言葉は、人々の心を強く揺さぶった。

「宇宙では、食べ物は命そのもの。なのに、この国の政府は、豊かな土地を遊ばせている愚かな政策を続けている」

「政府の温暖化対策は、ただの絵空事。地球は、確実に悲鳴を上げている」

彼の言葉は、SNSで瞬く間に拡散された。

•#宇宙からの警告: 普段、政治に関心のなかった若者たちが、このハッシュタグを付けて、政府への批判を投稿し始めた。

•#宇宙飛行士を信じろ: OB会を支持する人々が、彼らの言葉を信じ、政府への抗議デモを呼びかけた。

•#食料自給率を上げろ: 減反政策への批判は、農家や食料問題を憂う人々を巻き込み、全国各地で集会が開かれた。


しかし、世論は一枚岩ではなかった。

政府は、直ちに記者会見を開き、宇宙飛行士OB会の発言を全面的に否定した。

「宇宙飛行士OB会の発言は、宇宙開発の専門家としての意見であり、地球の気象や農業政策に関する専門的な知見に基づくものではありません」

「彼らの発言は、国民の不安を煽り、社会の混乱を招くもの。断固として容認できません」

政府の広報官は、OB会を「国民を扇動する危険な集団」としてレッテルを貼った。そして、一部のメディアや専門家は、政府の主張を支持した。

•「宇宙飛行士は、地球の政治に口を出すべきではない」

•「宇宙からの視点と、地上の現実的な問題は、全く異なる」

•「これは、単なるパフォーマンスであり、科学的根拠に乏しい」

世論は大きく二つに割れた。宇宙飛行士の言葉を信じる人々、そして、政府の主張を支持する人々。両者の間で、激しい議論が繰り広げられた。

 

この対立は、田中飛行士の家族にも影響を及ぼした。

美咲は、夫が宇宙に行った後も、彼の言葉を信じ、彼の無事を祈っていた。しかし、ニュースで報じられる、宇宙飛行士OB会と政府の対立を見て、心が揺らいでいた。

「パパは、なんで宇宙に行ったんだろう…」

子供たちの純粋な問いに、美咲は答えることができなかった。

彼女は、夫が宇宙に行く直前に言った、「このままじゃ、自分が何者なのか、わからない」という言葉を思い出していた。夫は、自分の記憶を取り戻すために、宇宙に行った。だが、彼の行動は、今、国民全体を巻き込む、巨大な渦の中心にいる。

美咲は、夫がどこかで、この争いを静かに見守っていることを知っていた。そして、夫が、この争いに巻き込まれ、二度と帰ってこないのではないかという、漠然とした恐怖に襲われていた。

彼女は、この争いの行く末に、一体何が待ち受けているのか、知る由もなかった。

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