球技大会3
あおいの大活躍で完全勝利した試合が終わると、あおいは満面の笑みで晃輔の下へやって来た。
「こー兄! どうだった試合? 見てた?」
「見てた見てた。凄かったな」
晃輔は、そう言いながらあおいの頭を撫でる。
「えへへ〜」
頭を撫でられたあおいは、気持ち良さそうに頬を緩めている。
晃輔に撫でられて、ゆるゆるになっているあおいの表情を見て、晃輔は先程の体育館のことを思い出してしまい、頬を赤らめた。
「こー兄? どうしたの?」
「い、いや何でもない。それより、あおい凄かったな。バンバン点を決めてたな」
「ふふ〜ん、すごいでしょ! 私たちのクラスの目標はね、全ての競技で一位を取って学年優勝だから!」
晃輔に褒められたあおいは、ドンッと胸を張ると恐ろしいことを口にした。
「……」
「だから、もしかしたらこー兄のクラスとドッチボールで対決することになるかもね。まぁその時は、私のクラスがこー兄たちに勝って優勝するんだけど!」
自信満々にそう言い切るあおいに、晃輔は苦笑いするしかなかった。
実際、現状ではあおいがいるクラスと晃輔がいるクラスが競技で最も勝利しており、この調子のままいくと、晃輔たちのクラスとあおいのクラスとの直接対決も全然有り得そうなのだ。
その直接対決で行われるのが、晃輔も出場している、先程あおいが言っていたドッチボールだ。
各学年の総合優勝クラスは、学年を跨いで行うドッチボール強制的に参加させられるのだ。
それに出て優勝すれば、事実上の学校で一番となる。
「うちのクラスも負けないからな」
晃輔があおいにそう言うと、あおいは楽しそうに笑って告げた。
「うん! 楽しみにしてるよ! そしたら、私実行委員の仕事あるから、じゃあーねー!」
あおいはそう言うと、ブンブンと手を振って何処かに去っていった。
さてどうしたものか、と晃輔がこの後のことを考えていると、泰地たち卓球部が運営している卓球の試合がアリーナで行われているらしく、卓球台でピンポン玉が跳ねる音が聞こえた。
サッカーかドッチボールの試合が始まるまでは、晃輔は特にやることはないため、時間潰しを目的に卓球の試合が行われているアリーナに向かった。
「…………みんな頑張ってるな」
出場する選手ではないため、中に入ることはせず、外から試合の見ていた晃輔はそう呟いた。
「晃輔」
「! ……泰地か……」
後ろから声をかけられ驚いて振り返ると、運営の責任者とは言い過ぎかもしれないが、それなりに責任があり、あの場に居ないといけないはずの泰地がいた。
「気になるのか?」
「……いや、別に……お前こそ、こんなとこにいていいのか? 部長だろ?」
「良いんだよ、ちょっとぐらい。俺はソフトボールやって来たばっかりなんだから」
「お疲れ様、どうだった?」
「ぶっちぎり。コールド勝ち。相手チームには悪いけどな」
「だろうな。流石だな」
「……なぁ晃輔、お前、もう一回卓球やらないか?」
晃輔にそう尋ねる泰地の顔は少し辛そうだ。
「俺はいい。もう十分だ……」
好きだったものが嫌いになってしまう、それを中学生で味わってしまうと……もう……。
「……ごめん晃輔」
「大丈夫だ。それより行かなくていいのか? 呼んでるぞ」
「え、ほんとだ……」
晃輔が見ると、泰地を呼んでいる部員たちの姿があった。
「ふ、んじゃあ、頑張れよ」
「お、おう! 晃輔も後でな!」
泰地はそう言うと、慌てた様子でアリーナの中に入っていった。
「……頑張れよ」
晃輔は小さくそう呟いた。
その後も球技大会は全くトラブルは無く、試合は順調に進んだ。
実行委員もびっくりするほど、これといったトラブルが全く無く、試合のスケジュールが進んだ。
思っていた以上に早く試合が進み、空いた時間を使って晃輔たちが昌平たちと昼食を取ろうとするも、予想以上に早く試合が進んだため、昼食を断念して試合に行かざるえなかったりもした。
あおいが先生たちから聞いた話だと、球技大会がここまで順調に進んだのは初めてらしい。
そして、それもこれも、完璧美少女であるななのおかげらしい。
また、試合結果でいうと、晃輔たち二年生は、晃輔たちのクラスがすべての競技で勝利し学年優勝。
結局、晃輔が出場したサッカーの試合結果は、決勝戦で晃輔たちのクラスが五対零で完全勝利した。
決勝までは一点も決められなかった晃輔もシュートを決めることができ、晃輔、昌平、泰地、高絋、順哉の五人がそれぞれ一点ずつ決めることとなった。
一学年下のあおいのクラスも、一年生の部では全ての競技で優勝をもぎ取っていた。




