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球技大会2


「す、すげーな……」

「ああ……圧勝だな」


 ななたちの試合を見ていた晃輔たちは、圧倒的な点数差で相手チームを負かすななたちを見て驚いていた。


「しょうちゃーん! 応援ありがとう! 頑張ったよー!」


 試合が終わり、汗だく、とは言えないが汗で髪がしっとりと濡れた希実が昌平に抱き着いた。


「おう! のん、ほんとに良く頑張ったなー」


 そう言って、昌平は希実に抱き着かれた状態で頭を撫でた。

 すると、昌平に頭を撫でられている希実が晃輔たちを見て告げた。


「ななは晃輔に抱き着かないの?」

「なっ!?」


 希実にそう言われたななは、顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。


「あのなぁ……あおいじゃあるまいし、ななはそんなことしない」

「えー、折角勝利したのにー?」

「うるさい」


 晃輔が呆れた表情でそう言うと、なな方へ向き直って告げた。


「ななかっこよかったぞ、よく頑張ったな、お疲れ様」


 晃輔がそう言うと、晃輔は無意識のうちにななの頭にポン、と手を乗せていた。


「え! え、えっと……ありがとう……」


 すると、落ち着きかかっていたななの顔の赤みが一気に増して、それから、ななは目を右往左往し始めたと思ったら、突然ショートしたかのようにななが動かなくなってしまった。


「……ななキラー……むぐっ!?」


 その様子を見ていた希実が何か言おうとしていたが、昌平によって止められていた。


 すると、晃輔となな、昌平と希実の姿を見て、筋乃は呆れた表情で晃輔たちに告げた。


「あのさぁ~、誰もツッコまないから言うけど、ここはいちゃつくためにある所じゃないからねー。そういうのは家でやってよね」

「「…………!!」」


 筋乃にそう言われた晃輔は顔を赤くする。

 ななに関しては、筋乃の話を聞いていたのかすらよく分からず、既に顔を真っ赤にさせてフリーズ状態。


 二人して筋乃に何も言い返せない。

 また、晃輔たちと同じように言われていた昌平と希実は、筋乃の言葉を特に気にしてない様子だった。


 ったく、と筋乃は小さくため息を着くと晃輔を見て告げる。


「藤崎くん、そろそろ、ななの頭に置いてる手離してあげてくれる? ななが溶けちゃうから」

「へ?」


 筋乃に言われて自分の手を見てみると、晃輔の手がななの頭の上にあり、ななはジト目で晃輔を見つめていた。


 慌ててななから手を話す晃輔。

 晃輔もななも、お互いに目を合わせられなくなってしまった。

 すると、筋乃は晃輔たちを見てため息をついた。


「四人共、いちゃいちゃしてるところ悪いけど、そろそろ行かないとサッカーの試合始まるんじゃない?」


 筋乃は体育館にある時計を指さしながらそう告げると、晃輔と昌平から間抜けな声が出た。


「「……あ」」


 体育館にある時計を見ると、サッカーの出場選手はそろそろ集合の時間だ。


「……晃輔、頑張ってね」


 筋乃に言われて、少しずつ赤みがとれてきたななが晃輔に優しく告げた。


「……ん」


 ななにそう言われた晃輔は少し素っ気なく返した。


「素直にありがとうって言えばいいのにねー」

「あ、あはは……晃輔、行くぞ」


 希実に散々煽られている晃輔を見て昌平は苦笑いしつつ、晃輔を呼んだ。


「お、おう……じゃあ行ってくる」


 晃輔たちがサッカーが行われる会場に着くと、サッカーに出場するメンバーが既に集合していた。

 どうやら晃輔たちが出場する選手としては最後の会場入りだったようだ。


「お、来たな二人共」


 試合開始ぎりぎりに来た晃輔たちに、晃輔たちと同じくサッカーに出場する順哉が出迎えてくれた。


「悪い」

「遅れたー」

「大丈夫大丈夫」


 遅れてきた晃輔たちを見て、高絋が笑いながらそう告げる。


「……それにしても、順哉放送部で忙しいはずなのに、よく来れたな」

「まぁな、なんとか来れたわ。うちの学校は最低一個は競技に出なくちゃいけないから、そこら辺を同じ部員に話したら、融通をきかせてもらったよ」

「大変だな……」


 順哉の場合、放送部の仕事で忙しいため「もしかしたら行けないかもしれない」と事前に言われていたので、順哉が来れて良かったと思う。


「それにしても、大半はいつも一緒にいるメンバーだな……」

「まぁな、確かに……」


 順哉の言う通り、メンバーの大半は晃輔たちがよく一緒にいるメンツで、晃輔、順哉、泰地、高絋、昌平が揃っていた。


「よし、これで全員揃ったな」


 高絋がそう言うと、全員サッカーグラウンドに移り円陣を組む。


「じゃあみんな、分かっているとは思うけど、一回戦敗退、なんて許されないからな!」


 円陣を組んだ状態で高絋がそう声を上げる。


「相手チームにはレギュラーがいるけど、俺たちだって別に弱いわけじゃない! 絶対勝てる!」

『おおっ!』

「よしっ! 行くぞ!」

『おー!』


 円陣が終わり、事前に決めていたポジションにそれぞれが移動し始めた時、昌平が晃輔にだけ聞こえるように小さく呟いた。


「はぁ……サッカーってサボれないよなー」

「……あのなぁ、お前基本的に何でもできるだろ? 諦めて活躍してくれ。それに、サボってたら一発でバレるぞ」

「……何でもできるわけじゃないけどな、まあしゃあない。もし、ボール来たらすぐ晃輔にパスするから」

「……そこは臨機応変で頼む」


 晃輔は真面目な顔で昌平にそう告げた。



***



「……」

「流石だなーあの二人。結局、俺たちの方にほとんどボール来なかったな」


 晃輔の隣にいる昌平は苦笑いしながらそう告げる。

 試合が終わってみれば、高絋と泰地、順哉の活躍で圧勝だった。

 球技大会のため実際の試合時間よりはるかに短い、二十分ハーフの通常のサッカーの二分の一しか時間がない中で、高絋がハットトリック、泰地と順哉がそれぞれ一点ずつ決め、最終的に六対零という点数差で圧勝したのだ。


 因みに、隣で「すげーな」と言っている昌平も一ゴール決めている。

 結局、晃輔がやることは殆ど無かった。


「この調子だとこのまま決勝まで行くだろうな……」

「……だな……」


 晃輔は、昌平の呟きに苦笑いすることしかできなかった。


 サッカーの試合で無事勝利した晃輔は、休憩ついでに体育館へ向かっていた。

 すると、晃輔がよく知る人物と鉢合わせした。


「あ! こー兄ー!」

「あおいか、これから試合か?」

「そーだよ! バスケの試合!」


 黄緑色の実行委員会のビブスを着て晃輔に話しかけてきたあおいは、これからバスケの試合だったらしい。

 どうやら、実行委員の仕事もよく頑張っているらしい。


「そーだ! こー兄、試合見に来ない? どーせあとは全員強制参加のドッチボールだけでしょ?」

「まぁ、そうだけど……どーせって」


 サラッとあおいにディスられた晃輔の顔が少し引きつる。


「じゃあ来てねこー兄ー!」


 そう言ってあおいは、言いたいことだけ言って体育館の方へ行ってしまった。


「……はぁ……行きますか」


 晃輔は体育館に入ると観客席の方へ向かい、空いている席に静かに座る。

 晃輔から見て、体育館の奥側が片方は筋乃たちが運営するバレーボール。

 手前側でバスケの試合を行っていた。


 球技大会でのバスケの試合時間は、時間の都合上一クォーター七分が二つ、前半と後半に分けて行う。

 晃輔が席に座ると同時に試合が始まった。


 あおいは前半からフルスロットルで飛ばしており、仲間からパスを受け取ったあおいはそのままドリブルをして敵陣の中に切り込み、バスケットゴールに向かってボールを放り投げる。

 するとボールは吸い込まれるようにゴールに入っていった。


 あおいは前半からスリーポイントシュートを連発するなどして、得点を重ねまくり、ただの球技大会のはずなのだが、前半が終わる頃には二十点もの点数差がついていた。

 後半が始まると、今度は逆にあおいが皆にパスを出すことで相手チームを混乱させて、あおいのチームはどんどん得点を重ねていった。


 試合終了前、ラストワンプレーであおいはゴール裏からシュートを放ち、体育館にいた全員の度肝を抜いていたのが印象的だった。

 最終的に、あおいのクラスは相手のクラスに三十点以上の点数差をつけて勝利した。


 勝利した後、観客席に座る晃輔に気付いたあおいは、汗ダクになりながら満面の笑みで両手にピースをしている。

 そのあおいを見て、勝利の女神らしい堂々とした勝利に、改めて凄いな、と驚かされた晃輔だった。



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