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挨拶

前回の続きです。

直後的な感じで続きです。


 本当だったらもっと格好良くなるはずだった。

 まずは新入りが挨拶して、次に住人達が挨拶していき、その最後に自分がトリを飾るはずだった。

 しかし、どうだ?

 たしかに最後にはなった。が、みんなはすでに挨拶を済ませていた。後は自分だけで、さっさとしろよと、まるで誰からも期待されていない消化試合をさせられるかのような気分だ。しかも、その試合の結果もすでにわかっている。エルフが勝手に紹介してしまったからだ。これでは、期待されていない試合を再現しろと言われる様なものだ。

 こんなはずではなかった。

 ツヴェルフは、不満だった。

「どうしたよ、ツヴェルフ?」とツヴァイ。

「腹でも空いているのか?」とドライ。

「緊張しているのかしら」とフィーア。

「あんまり引っ張ると後で辛いぜ」とフュンフ。

「焦らされるのは、あまり好きじゃないな」とゼクス。

「さっさとしなよ」とズィーベン。

「こう言うとなんだけど、長いし退屈」とアハト。

「ボクは待つのは苦手じゃないけど…」とノイン。

「なにか飲み物を用意しようか?」とツェーンが席を立とうとすると、

「座っていなさい」とエルフが言った。

 好き勝手に喋る住人達。

 何も言わないツヴェルフ。

 そんな彼を不思議に思い、どうしたものかと考えたアインスは、「じゃあ、先にヌルからお願いします」と促し、流れを作ろうとした。

「あ、はい」ヌルはその場で立ちあがり、一礼した。「始めまして、ヌルと言います。いちおう訓練は受けましたが、まだまだ狩人としては駆け出しです。せめて皆さんには ご迷惑かけないように頑張ります」

 ヌルが挨拶すると、小さく拍手が鳴った。

 さて、次はツヴェルフの番だ。

 しかし、口をヘの字に曲げて不満顔のツヴェルフは、何も言い出す気配がない。

 だが、彼も子供ではない。機嫌を取り直して重い口を開けようとした。が、その時、

「彼は、ツヴェルフ。今日は少し喉を痛めていて…」

 気を遣ったアインスが、言ってしまった。

「よろしく」と、しゃがれた声でツヴェルフは、一言しか言えなかった。 


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