1.勇者殺し
魔王討伐記念の祝賀会の日。街中がお祭りムードで、和やかな雰囲気に包まれていた。
その日は魔王討伐を盛大に祝うパーティーが行われていた。それもそのはず、世界を恐怖に陥れていた魔王が、ようやく討ち取られたのだ。
人々の楽しげな声が聞こえる中、勇者パーティーの一員であったシオンは、ホテルの屋上で屋台の料理をゆっくり味わっていた。
騒がしい場所が苦手なシオンにはホテルの屋上が一番落ち着いていられる場所。
しかしシオンは、民衆の雰囲気に何か違和感を感じていた。彼には、人の感情をほんの少しだけ読み取ることができる。楽しげな感情の中に混じる、かすかな不穏さ。背筋に薄く残るような嫌な感覚。
そしてまもなく、楽しげな音はピタリと止んだ。
出来上がったばかりの勇者パーティーの像の周りから悲鳴が上がり始める。それは会場をあっという間に飲み込んでいった。ホテルの屋上にいたシオンには何が起きたのかわからず、助けを求める声と困惑した悲鳴だけが聞こえていた。
勇者が死んだ。
会場は恐怖と混乱に包まれ、誰も誰かを信じることができなくなっていた。
警察による事情聴取では、誰一人として殺害現場を見ていないことがわかった。
そんな中、一人の貴族が声を上げた。
「じゃ、じゃあシオンは何をしていたんだ?」
シオンは言葉に詰まる。その時一気に群衆の目はシオンに向かう。
「ぼ、僕はホテルで……」
群衆は、もう誰も信じることができなくなっていた。だからこそなのかもしれない。言葉を詰まらせたシオンへ、一気に疑いの視線が向けられる。
そして有る事無い事が噂され、シオンへの疑惑は、あたかも真実であるかのように町中へ、そしていつしか町の外へも広がっていった。そのとき国王は、どうするのが最適解なのかわからなくなっていた。勇者を失った焦りと悲しみで動揺し、国王自身も誰を信じればいいのかわからなかったのだ。
「わしは...どうするべきなんじゃ...」
そして彼は、冷静な調査結果が出ないまま、シオンの追跡命令を出した。
シオンは街中に貼られたポスターで、自分が勇者殺しの犯人として追跡命令を出されたことを知る。
「勇者が……殺された? これはデマだ。そんなわけない……勇者が負けるわけない」
シオンは、自分が疑われたことよりも、仲間を失ってしまったことの方が悔しく、悲しかった。
「でも僕が言ったところで……」
しかしそれと同時に、自分の無力さを痛感する。
このままでは冤罪をかけられて捕まる。
そう悟ったシオンは、そのまま街を後にすることにな
った。
「あれじゃないか? おい待て、シオンだろ!」
シオンは咄嗟に走り出した。
町ですれ違う人々が、自分へ向ける恐怖、疑念、そして「よくも勇者を殺したな」という怒りを感じ取る。
誰も殺害現場を見ていない。真実を知らない。
それなのに、不確かな情報だけで自分が敵になっていく。
シオンは、それがただただ悲しかった。
初投稿いかがだったでしょうか?現在中学生なので少し文章がおかしなところがあるかもしれませんがお許しください。
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