僕とナナちゃんとお父さん 2
さっ、七不思議のノートは隠したし、僕達は図書館を後にした。
「ナナちゃんあとは、オジさんに会って、話をしてからになるんだけど、どうする?僕達剣道着と弓道衣だから、行内を闊歩するとかなり浮いて目立ってしまうよ。」
「そうなのよね。かと言って、私は着替えるわけにはいかないのよ。お父さんが会ったのは袴姿の女性だし、それに私の荷物現代に全部置いてきちゃったから。とっておきの弓も持ってきてないのよね。使うことがなかったからいいんだけど。」
「僕は、背負っているリュックの中に着替えが入っているから、大丈夫だけど、それも日曜だから私服なんだよね。浮くという意味ではあまり変わらないや。」
「もう仕方ないわね。目立ちたくないとか言っている場合じゃないわ。少なくともお父さんとお母さんが帰宅する前に話して、告白させないといけないから、休憩時間が残り1回あるかないかぐらいよ。」
「それもそうだね。じゃ~手当たり次第学生を捕まえて聞き込みして、組を割り出して突入しますか。」
「ええ、強硬策だけど、それしかないわね。あっ丁度あそこの廊下に歩いている男子学生がいるわ聞いてみましょう。」
廊下を歩いている学生に話しかけてみる。
「ちょっといいですか?真相探求俱楽部のものですが、七不思議の調査をしてまして。」
「ちょっと、ちょっとトシ君。」
ナナちゃんが僕の袖を引っ張って小声で話しかけてくる。
「何、ナナちゃん?」
「当たりよ当たり。私のお父さんよ。授業中なのになんでこんなところいるかわからないけど、後は私がやるわ。」
「あなたがこの神宮寺高校の七不思議について何かご存知ではないですか?」
「いえ、私はそういうのとは縁遠くて、聞いたことも耳にしたこともありません。」
「それはいけませんね。これを知ってないと人生の半分破損したことになりますよ。せっかくなのでこれまでに分かっている七不思議の内容を説明しましょう。」
とナナちゃんはおじさん相手に七不思議の秘密をこと細かに説明していく。おじさんは興味ないのか、右から左に流れているように見える。おお~~い、あなたの将来の娘さんですよ。もっと真剣に聞かないと後は怖いですからね。あなたの娘さん。心の声でおじさんに声援を送る。
でも、これで袴の女性がナナちゃんのお父さんに七不思議を聞かせるというミッションはクリアした。棚からぼた餅状態で、偶然の賜物に過ぎないが達成出来た。で、次元石をどうやって持っているのか確認するかだが。
ナナちゃんが懐からお守りと次元石を取り出しておじさんに見せる。
「この石どこかで見たことはありませんか?」
「ガラス玉じゃないのかい?いや見たことはないよ。これが初めてだ。」
「そうですか。実はこれは、告白するときに男性から女性にプレゼントすると、その二人が良縁で結ばれるというラッキーストーンでしてね。」
「えっ、良縁で結ばれる?」
おじさんがなぜか喰いついた。
「ええ、そうなんですよ。それで、持っている人を探してまして、恋する男性の方たちにお渡しして、カップルを増やすのが私達の第2の目的なんですよ。あなたも好きな女性がいて、告白しようと思っていたりしますか?」
「見ず知らずの女性や男性に聞かせる話ではないはずなのだが。なぜか話やすいな。そう、かれこれ小学校以来の腐れ縁でね。当初は仲のいい友達感覚だったのだが、年を重ねるに連れて好きになっていってね。かといって、今の関係を壊すのも怖いし、向こうが僕のことをタダの幼馴染だと考えると動くに動けなくてね。どうしようかと迷っていたとこなんだ。頼む、虫のいい話ではあるが、その黒い石を僕に譲ってくれないか?代わりに僕に出来ることならなんでもするから。」
ナナちゃん上手いよ。その作り話。と言っても未来のことを話しているからあながち作り話ってわけでもないけど。
「いえいえ私達は別に対価を求めて行ってるわけではありませんから、これを差し上げますよ。そうですね。代わりと言ってはなんですが、今日告白して下さいね。織姫と彦星が出会う、7月7日がもっとも効力が高くなると言われてますから。」
「わかった恩にきる。では、ありがとう」
「ちょっと待ってください。僕にも質問させて下さい。」
「きみもか。早く告白してきたいんだ。要件は手短にしてくださいね。」
「では、七夕の短冊に書いた内容と好きな人の名前を教えて下さい。」
「なぜそんなことを話さなければいけないんだね」
「私からもお願いしますわ。この黒い石の効果と、七夕の短冊の効果も私達、真相究明俱楽部が課題としているものなんです。なので、どうかお願いします。」
「はぁ~~。わかったよ一度しか言わないからね。短冊には、幼馴染の女性ともっと仲良くなれますようにってことを書いたよ。それから好きな女性は、同じ2年の跳田奈津美さんだ。もうこれでいいただろう。じゃ~いくから、ありがとう」
「ええ、ありがとうございます。成功を祈ってますね」
と言って、ナナちゃんが手を振って見送る。
「これで次元石はなくなってしまったね。なにか当てはあるのかい?」
「ええそうね。あてはないこともないわよ。その前にトシ君お父さんにどうして、あんな質問をしたの?お父さん照れ屋だから、怒ってたわよ。」
「それはね。今回のタイムトラベルは、なぜここに飛んだのか気になってね。なにか、時間軸の基準がおいてあるんじゃないかと思って。短冊は7月7日から7月7日に飛んだから、七夕由来の現象かと思ってさ。それなら、短冊が個人の願いを一番反映しやすいだろ。それにナナちゃんの短冊の願い事がこの現象を誘発させた可能性があるからね。」
「なるほど確かに私は七不思議にまつわる願い事にしたわ。トシ君は?」
「僕はナナちゃんが危険な目に会いませんように。だね」
「私のことか、嬉しいわね。ならきっと危険な目にはあわないから大丈夫ね」
「そう、そして、おじさんは、幼馴染つまりナナちゃんのお母さんとの良縁を望んだ。そして、将来、明日までには付き合うことになる。これはちょっと短冊の願いが叶い過ぎなんだよ。」
「ということは本当に織姫様か彦星様が私達の短冊の願いごとを叶えてくれているってことね。で、トシ君はまだなにか考えているんでしょ。」
「うん、それだけでは足りないから、僕達をこの時代に呼んだ1ピースがどこかにあるんじゃないかと思ってさ。」
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