僕とナナちゃんとお父さん
「いえ、まずは今の時代のお父さんを探しに行きましょう。もしかしたら、次元石を持っているかもしれないわ。もっていなかったとしたら、これを渡さないとお母さんに渡すことが出来なくなるし、そうなると、付き合う事もなくなって、私が生まれることもなくなるかもしれないわ。」
「そうだね。なら、まずはナナちゃんのお父さんを探そう。っていうけど、ナナちゃんのお父さんて何年何組?ていうか、今の時代の顔で判別できるのかな?分かってそうなのは名前ぐらい?」
「そうね。お父さんの名前は、時渡流司、お母さんの名前は、跳田奈津美よ。何年何組かは多分2年だと思うわ。組みはわからないわね。お父さんの顔なら若くてもきっとわかるわ。顔の目の下に黒子があるもの。正面から見ればばっちり本人確認できるわ」
チャイムがなった。授業が始まったようだ。
「チャイムが鳴ってしまったね。これだと授業を受けている教室を覗きにいくことはできないよ。お父さんも多分授業受けていると思うし、授業が終わるまでに、会えそうなポイントを特定しとかないとね。それと、七不思議はどうやって伝えるの?」
「そうね。お父さんもお母さんもまじめだから授業中はきっと授業を受けているわ。七不思議はどうやって伝えようかしら。口頭で教えると、お父さんってそこまでオカルトに興味ないから忘れそうなのよね。実際、一昨日聞いたらほとんど忘れてたわ。私なんて、30年後に聞かれても一言一句間違わずに答える自信あるのに。」
「いや、それは僕も自信ないや。きっとナナちゃんしか覚えてないと思うよ。でも、そうなると、口頭で言っても、七不思議が僕らの代まで伝わらない可能性が出てくるね。紙に書いて渡そうか?」
「それもちょっと難しいかな。お父さん几帳面だし、もらったら保管はするんだけど、興味ないものにはとことん興味ないのよね。紙ももらって「あっ、ありがとう大切にするね」で、ノートかクリアファイルに挟んで終わりそうだし、そもそもお父さんから他の人に七不思議の話をするのが考えられないわ。」
「えっ、それはつまりこういうこと?袴の女性はお父さんに七不思議の話は伝えたけど、七不思議自体は別の人がうわさを流して、それをみんなが伝承して語り継いでいるってこと?」
「うん、多分そんな感じだと思うわ。こんなことになると分かってれば、もっとお父さんとお母さんから高校時代の話を聞いておいたのに。もう、私のバカ、バカ、バカ。」
といって、両手でポンポン頭を殴るナナちゃん。いやそれ、他の男子生徒が見たら、キュンキュンしてナンパしてくるやつなのでやめようよ。他の人がいないし、見てるの僕だけだからいいけど。
「あっ、思い出したわ。お父さんはもお母さんも2年生の七夕に付き合ってたって言ってたわ。なら、2年の教室にいるはずよ。特定は出席名簿か座席表を見ればなんとかなるわね。おしかったわ。昼休みに気付いていれば動けていたのに……」
「ナナちゃん終わったことはおいておこうよ。問題はこれから何をするかだよ。とり当たっては、おじさんにナナちゃんが会って、七不思議の話をして、次元石を持っているかの確認をすることだね。」
「そうね。他の子が七不思議を伝えたと思うのが筋でしょうから。そうなると噂好きは女子よね。」
「そういえば、僕たちが七不思議を調べたのって、ナナちゃんがきっかけだっけ?」
「そうね。私がこの学園にも七不思議があるはずだから、それを探してみようって言ったのがきっかけよ。その後、二人で、手分けして、七不思議を聞いてまわったわ。」
「そうそう、そうだったよね。男子生徒は知らない子が多かったんだよ。女子の方が知っている子が多かったけど、人によって、七不思議の知っている内容が違ったから、正確なものが特定しづらかったんだよね。」
「そう、それで、3年生の女生徒に聞いたら、古びたノートを持っていたのよね。そこに今回の七不思議が書いてあったわ。他の生徒に出回っているものと大体一致してたから、これが原本だと思ったのよね。」
「そのノートって今どこにあるの?」
「その女生徒がそのまま持っているわ。えっ、トシ君まさか?」
「そのまさかだよ。僕たちがノートに七不思議を書いて置いておこうよ。そしたら、気になる人がきっと見つけてくれるよ。古いノートだったんだろ。幸い、僕のリュックの中に新品のノートが一冊入っているから、それに書いておこう。どこに置いたらいいと思う?あっ、七不思議はナナちゃんが書いてね。女の子が書いた方がそれっぽい感じがするでしょ。」
とナナちゃんにボールペンと、新品のノート、そして、七不思議の書いてある手帳を渡す。
ナナちゃんはそれを受け取って、綺麗な丸文字で可愛く七不思議の内容を写していく。
ノートの表紙には『「神宮寺高校の七不思議」、開けちゃだめよ~~』って書いてある。これって、こういうの書いてあると読みたくなるんだよね。ナナちゃんだけ合って相手の心理を考えた上でちゃんと書いている。
一番最後のページには、『この七不思議を見たものは、代々後輩に伝承していくこと、出来ない場合は神隠しにあうぞ』との怖い一文も書いていた。
いやそれ書くと、八不思議になっちゃわない?七不思議と別のページだし、いいのかな?
「そうね。置いておくなら、図書館のオカルト系の分野のちょっとわかりづらい所に置いておきましょ。きっと見つけた人が不思議に思って開けてくれるはず。」
「でも、こうやって七不思議を書いていると、作ったのは自分か~~~って気になってくるわね。」
「ホントそうだよ。あれだけ、検証した七不思議を自分らで後世に伝えて、それが自分たちで検証するなんて思ってなかったもんね。」
「さっ、書き写し終わったわ」
僕たち二人は図書室の占いやムー大陸などの本が置いてあるコーナーに本の下敷きにしておいておいた。これで、いつの日か見つかる日がくるだろう。なかったら、ナナちゃんが自分で見つける未来になるかもしれないけど。多分大丈夫だ。世の中には不思議なことに興味のある人が沢山いるから。
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