第十二条
「可愛らしいお方ですね。私がいなくてそんなに寂しかったのですか? しかし、そこまで輝いた目を向けないで下さい」
ご主人様は妹子様でいらっしゃるのに、私が帰ると妹子様は主人を待っていた子犬のような目を向けてくる。
妹子様の可愛らしさを独占したいから、外に出さないというのもある。ただ、これも理由の一つだ。
一日部屋に置き去りにして、寂しい想いをさせて、私がいかに大切な存在なのか常に実感して貰うんだ。
ここまで素直に寂しがってくれて、私を求めてくれる。そんな子供ぽい妹子様だからこそ、虐め甲斐があるってのもあるけどね。
「五月蝿いです。太子、今度そんなことを仰られてはお仕置きを致しますよ? 誰が主人なのかもう一度考え直してみてはいかがでしょう」
不満気にそうは言うけれど、私の上着と鞄を受け取って、手際よく片して行ってくれる。
妹子様がご主人様で、私が奴隷。そうはなっているけれど、この様子だと妹子様は私の妻としか思えない。
勿論、妹子様に対する敬意が尽きることはないから、いつまでもご主人様ではあるけどね。
だから今でも、命令さえされればそれに従うつもりはある。命令されないってだけなんだ本当に。忠誠心は変わっていない。
太子ったら、最近調子に乗っちゃってて困るね。
尊敬する先輩ではあるけど、僕が主人なんだからこのままじゃよくないや。
「お仕置き? 妹子様がそうしたいのなら、是非宜しくお願い致します」
どんなお仕置きを与えようとも、太子は何もかもを喜んじゃうんだよね。僕のことを愛してくれてるって感じで、それは嬉しいんだけどさ。
それでも、なんかね? なんも出来ないんだもん。
嫌がってくれないんだから、僕が主人なのに、子供扱いをされてるような気がする。
「僕は毎晩全裸で眠ることにします。しかし、太子とは一緒に眠らないことにします。どうですか? 太子にはそれを我慢して貰うのです」
何をしろと言っても喜ぶ太子だから、何もするなと言うしかない。
僕としても毎晩全裸で眠るなんて軽くお仕置きを受けているに近いけど、本当に全裸である必要もないし。
だって、太子には我慢をして貰わなきゃいけないんだからね。
「全裸妹子様がそこにいるのに、私は何も出来ないと? それは確かに、今までで一番辛いお仕置きです。妹子様、私のことを熟知して下さっているのですね」
辛そうにはしているけど、でも嬉しそうな表情をするんだから太子には困る。
こんな太子が本当に我慢なんて?




