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この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~  作者: 鳥助
第二章

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71.風邪薬の改良(1)

「じゃあ、どんな風邪薬がいいか考えていこう」


 そう言って、ファルスお兄様が話を仕切った。すると、すぐにスウィンが答える。


「薬師でも扱えるものにするなら、風邪薬の形態は素材を乾燥させたものがいい。保存も簡単だし、扱いも楽だ」

「ルイ、それは可能?」

「うーん……」


 私は腕を組んで考え込む。


「一つの素材は乾燥に弱いし、もう一つは液体なんだよね……」


 もし私のレシピで風邪薬を作るとなると、問題は二つある。


 一つは、乾燥に弱い素材をどう扱うか。そしてもう一つは、液体の素材を物体化させて乾燥させることが可能かどうか、という点だった。


 それに、気になることがある。


「薬師が作った風邪薬は品質が低くて、効果がいまいちだった。だから、それを底上げするのも必要だと思う」

「そうか……ルイの目にはそう見えたんだね。薬師の一人としては、完璧な風邪薬を作れたと思ったんだけど」

「多分、保存方法とか処理方法とか見直せば、きっと効果が上がると思う。その辺りの調整も必要なんじゃないかな」


 あの風邪薬はちゃんとした効果がなかった。あれじゃあ、症状を抑えられない。


「なるほど……。じゃあ、全部見直さなくちゃいけないということか。でも、どうやって見直せばいいか……」

「それなら、私の鑑定に任せて。私の鑑定は他の人とは違って、色々と詳細に教えてくれるから」

「それは助かる。じゃあ、ルイの鑑定を中心にして、風邪薬の改良に取り組もう」


 ◇


「まずは素材の処理方法からだね。ルイなら魔法で一発だけど、一般にはそんな魔法はない。だから、一つずつどんな乾燥方法がいいか試してみよう」


 ファルスお兄様がそう言うと、スウィンが頷いた。


「じゃあ、まずは一般的な乾燥方法から試そう。天日干しと陰干しだな」


 私は乾燥に必要な道具を【道具召喚】で呼び出した。網を張った木枠だ。そこにそれぞれの素材を並べていく。


 準備が終わると、みんなで外へ出た。日のよく当たる場所と、建物の影になっている場所を選び、それぞれに枠を置く。


「じゃあ、これで私がどれくらい乾燥させればいいのか確かめてみるね」


 そうして私たちは、素材の変化を見守りながら、地道に乾燥の様子を観察する作業に入った。


 ――翌日。


「えーっと、どんな感じかな?」


【天日干しのイイキカの葉】


 ・品質:98


 ・薬効:十分に備わっている


 ・程よく乾燥している。粉末化。


【陰干しのイイキカの葉】


 ・品質:98


 ・薬効:十分に備わっている


 ・程よく乾燥している。粉末化。


【天日干しのレトレトム草】


 ・品質:97


 ・薬効:十分に備わっている


 ・程よく乾燥している。粉末化。


【陰干しのレトレトム草】


 ・品質:97


 ・薬効:十分に備わっている


 ・程よく乾燥している。粉末化。


「うん。この二つの素材は、天日干しでも陰干しでも問題なさそう。となると、気を付けるべきなのは素材を採取してから乾燥させるまでの時間かも……。たぶん、採取してから乾燥するまでの間に品質が落ちて、薬効成分が減ってしまったんだと思う」

「じゃあ、今までの薬草の管理方法を見直す必要があるね。どうしたらいいかな?」


 スウィンの問いに、私は腕を組んで考えた。


「素材を採取したら、すぐに乾燥の工程に入ればいいと思うよ」

「……そういうことか」


 スウィンは小さく息をついた。


「これまで薬草は、採ってきた時点で十分な薬効を持っているものだと思っていた。品質によって薬効成分が落ちるなんて、考えもしなかったよ。でも、薬師は忙しいし……採取した直後に乾燥の工程へ回すのは難しいかもしれない」


 スウィンが難しい顔で考え込む。すると――


「だったら、その工程を外部の人間に任せればいい」


 ファルスお兄様が、あっさりと言った。


「えっ、でも……薬に関わる作業は、薬師かその助手がやるものですし……」

「だが、実際には手が足りていないんだろう?」


 ファルスお兄様は肩をすくめる。


「なら、効率化すればいい。素材を干して管理する程度なら、薬師や助手でなくてもできるはずだ」

「確かに……。どうやら、少し固定観念にとらわれていたようだ。だけど、それには薬師たちの説得が……」

「それなら、僕に任せて。協会長に話しておくから」


 にっこりと圧のある笑顔を見せた。ファルスお兄様にお願いすれば、諸所の問題も解決だね。だったら、この二つの素材は外部に専門の人を雇うことになりそうだ。


「じゃあ、ミットの根はどうかな?」


 ミットの根には刺激成分が入っており、刺激成分を抜くために長時間水に浸さなければならなかった。だけど、そのせいで薬効成分も溶けだしてしまう始末だった。


 だから、私は水に浸す時間を鑑定で確かめた。三十分ごとに鑑定をして、刺激成分が抜け出て、薬効成分が残っている状態を見極めた。


 すると、水に浸すのは六時間が最適だという結果が出た。六時間であれば、刺激成分がなくなり、沢山の薬効成分が残っていることが分かったのだ。


 そして、それを乾燥させると――。


【天日干しのミットの根】


 ・品質:90


 ・薬効:十分に備わっている


 ・程よく乾燥している。粉末化。


【陰干しのミットの根】


 ・品質:95


 ・薬効:十分に備わっている


 ・程よく乾燥している。粉末化。


「ミットの根は陰干しの方が良さそう。その方が品質も高くて、薬効成分も十分だよ」

「なるほど! これは、今までとの処理とは違う方法になるね。まさか、ルイの鑑定で詳細に分かるとは……。お陰で最適解を導き出せたよ」


 これで、ミットの根の処理の仕方も定まった。この方法なら、十分に薬効を引き出した薬が出来るはずだ。


 そして、最後の素材――乾燥に弱いエイリカの花は。


【天日干しのエイリカの花】


 ・品質:52


 ・薬効:半分損なわれている


 ・程よく乾燥している。粉末化。


【陰干しのエイリカの花】


 ・品質:58


 ・薬効:半分損なわれている


 ・程よく乾燥している。粉末化。


 結果はこれだけど……さて、他の方法を考える必要がありそうだ。

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