表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~  作者: 鳥助
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/101

49.これからの道

第一章完


お読みくださりありがとうございます。

皆さまにお願いがあります。

もし、少しでも

「面白い」「続きが気になる」「更新頑張れ」

と、思われましたら、ぜひブクマや評価で応援してください。

皆さまの応援は執筆の糧となり、今後も継続していく力になります。

どうか、よろしくお願いします。

「凄いわ、ルイ! 錬金術が正式に認められたのね!」

「よく頑張ったな、ルイ。本当に偉いよ」


 屋敷に戻って王都での出来事を報告すると、アマリアお姉様とファルスお兄様は、自分のことのように目を輝かせた。次の瞬間、二人は揃って私を抱き寄せ、代わる代わる頭を撫でてくる。


「ルイの錬金術は、本当に素晴らしい技術だもの。最初から、いつかこうなるって信じていたわ」

「他に前例のないやり方だから、正直なところ心配もしていた。でも……ちゃんと評価された。これは大きな一歩だ」


 その言葉一つ一つが、胸の奥にじんわりと染み込んでいく。褒められるのは慣れていない。けれど、家族に認められるのは、こんなにも嬉しいものなのか。


「えへへ。そんな、大したことじゃ……」


 そう言いながらも、口元は自然と緩んでしまう。撫でられるたびに、嬉しさがこそばゆくて、少しだけ身をよじった。


「ほら、見て。顔がにやけてるわよ?」

「素直に喜べばいい。ルイが努力して掴んだ成果なんだから」

「……うん」


 小さく頷くと、胸の奥が温かくなる。家族に囲まれて、こうして褒めてもらえる。それだけで、また頑張ろうと思えた。


 そのとき、かすかな衣擦れの音が聞こえた。


「……ルイ」


 はっとして視線を向けると、寝台で休んでいたお母様が、ゆっくりと上体を起こしていた。まだ顔色は万全とは言えないけれど、その瞳はやわらかく、私をまっすぐに映している。


「イザベルお母様……? 無理しないで」


 慌てて駆け寄ろうとすると、お母様は小さく首を振り、穏やかな声で私を呼んだ。


「いいの。少しだけこっちへ来て」


 その声に導かれるように、私は寝台のそばまで歩み寄る。お母様はゆっくりと腕を伸ばし、私の手を取った。


「王都でのお話……聞いていたわ」


 その一言で、胸がきゅっと締めつけられる。


「大変だったでしょう。でも、よく頑張ったわね、ルイ」


 静かで、あたたかな声。責めるでもなく、急かすでもない。ただ、私の歩みをそのまま受け止めてくれる声だった。


「皆のために考えて、努力して……あなたらしい錬金術を、ちゃんと形にしたのね」

「イザベルお母様……」


 次の瞬間、そっと引き寄せられ、私はお母様の胸に抱きしめられていた。細い腕なのに、不思議と安心する。昔から変わらない、やさしいぬくもり。


「誇りに思うわ。あなたは、私たちの大切な娘よ」


 その言葉に、胸の奥がじんと熱くなった。喉の奥が詰まって、うまく言葉が出てこない。


「……うん」


 ただ、それだけ答えて、お母様の服をぎゅっと握る。背中を撫でる手はゆっくりで、穏やかで、心まで包み込んでくれるようだった。


 家族のぬくもりに囲まれて、私は静かに思う。この人たちのために、もっと強くなりたい。もっと、役に立てる存在になりたい、と。


「本当に、ルイはよくやった」


 低く、けれど深く響く声に、私は顔を上げた。


 いつの間にか、ロザンお父様が私たちのそばに立っていた。その表情は穏やかで、しかし瞳の奥には確かな感慨が宿っている。


「誰かに言われて動いたわけじゃない。自分で考え、迷い、選び取って……錬金術の道を切り開いた」


 お父様はゆっくりと言葉を選ぶように、続ける。


「王都で認められたという結果以上に、私はその過程が嬉しい。困難から逃げず、自分の信じたやり方を貫いた。その姿は実に立派だった」


 胸の奥が、きゅっと締めつけられる。厳しくも優しい、いつも背中で示してくれるお父様の言葉だからこそ、重みがあった。


「……ロザンお父様」

「もう胸を張っていい」


 そう言って、お父様は私の前に膝をつき、そっと手を伸ばす。大きな掌が、いつもより少しだけ優しく、私の頭に触れた。


「ルイ。お前は、もう一人前の錬金術師だ」


 その一言で、胸に溜まっていたものが一気にあふれそうになる。


「……はい」


 震えそうになる声を、必死に抑えて答える。すると、お父様は小さく笑った。


「その返事で十分だ」


 頭を撫でる手が、最後にぽん、と軽く置かれる。その温もりが、胸の奥にしっかりと刻まれた。


 家族の視線が、やさしく私を包む。私は思う、この人たちに恥じない錬金術師でありたい、と。


「……ルイはこれからどうするんだ?」


 ロザンお父様の問いに、部屋の空気が静まった。皆の視線が、私に向けられる。


 私は一度、胸に手を当てて、ゆっくりと息を吸った。この答えは、もう何度も心の中で繰り返してきたものだ。


「……第一の目標は家族の病気を治すこと」


 一瞬の沈黙。けれど、私は目を逸らさず、続けた。


「まだ分からないことが多いし、今の知識だけじゃ足らない。だから……薬師協会で、もっと素材の知識を学びたい。病に効く成分、体にどう作用するのか、正しく理解したい」


 それは、逃げでも夢物語でもない。今の自分に出来る、確かな道筋だった。


「第二に……今回、解毒剤を作って分かったの」


 握っていた拳を、そっと開く。


「錬金術は、自分のためだけの技術じゃない。他人のために使える。誰かを助けられる力なんだって」


 王都での出来事が、脳裏をよぎる。苦しむ人、救われた人、驚きと安堵の表情。


「だから……」


 私は、はっきりと顔を上げた。


「人の役に立ってみたい。錬金術を広めて、必要としている人に届けたい」


 胸の奥が熱くなる。けれど、言葉は迷わなかった。


「私にしか出来ない錬金術があるなら、それを形にしたい。誰かの未来を、少しでも良く出来るなら……そのために、私は錬金術師でありたい」


 言い切った瞬間、心の中で何かが、静かに定まった。


「……それが、私の目標だよ」


 しん、とした空気の中で、私は背筋を伸ばす。家族の前で口にしたこの決意は、もう後戻り出来ない。


 すると――。


「ルイが誰かのことを思って力を使おうとするのは、とても尊いことよ。だから……必ず、やり遂げなさい」


 イザベルお母様の声は、弱々しさを感じさせないほどまっすぐだった。その言葉に、ロザンお父様も深く頷き、穏やかな笑みを浮かべる。


「そんな想いを胸に抱いていたとはな……。ルイは、あの日からずっと成長し続けている」


 誇らしげな眼差しが、私を包む。


「だったら、私はそんなルイを全力で支えるわ!」


 アマリアお姉様は一歩前に出て、楽しそうに胸を張った。


「素材探しには、私の力が必要でしょう? 遠慮しないで、何でも言ってちょうだい」

「僕も力になりたい」


 ファルスお兄様も、少し照れたようにしながら続ける。


「出来ることは限られているけれど……それでも、ルイのために出来ることがあるなら、何でもやるよ」


 胸がいっぱいになる。この人たちがいてくれるから、私は立っていられる。この人たちがいるから、前を向ける。


「……みんな、ありがとう」


 私は一人一人の顔を見渡し、深く息を吸った。


「私、これからも錬金術師として頑張る。迷っても、立ち止まっても……この道を、ちゃんと歩いていく」


 言葉にすると、不思議と心が澄んでいく。決意は、もう揺がない。


 家族の温もりに背中を押されながら、私は静かに思う。この手で未来を掴み取ろう。誰かのために。そして、この大切な居場所を守るために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載!

スラムの孤児は慎ましく生きたい~大賢者の遺産を継いだけど、救世主にはなりません~

旧作

転生難民少女は市民権を0から目指して働きます!

転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~

追放を計画的に利用して自由を掴んだ王女、叡智と領地改革で無双する

転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした

スラムの転生孤児は謙虚堅実に成り上がる〜チートなしの努力だけで掴んだ、人生逆転劇〜

ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる

元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~

異世界喫茶で再出発ライフ

ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する

推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする

過保護なお姉ちゃん系王女を救うために何度も死に戻っていたら、全部バレていて曇らせてしまった


この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~

コミュ障クラフターの私、引き継いだ能力が異世界では規格外すぎて無自覚に無双してしまう件~地味に暮らしたいだけなのに、なぜか注目されて怖いんですが~

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ